イオン Facebook利用し集合知で事業化
イオンがインターネット通販事業で「ビジネスコンテスト」を実施する。FacebookやTwitterといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に秀でた若い世代から、イオンのEコマースについて新しいアイディアを募る。
アイディアを事業化することで若い応募者の夢を具現化し、一方でイオンも革新的なデジタルサービスの提供を目指す。
インターネット上に「イオンビジネスコンテスト専用WEBサイト」を開設し、12月2日から来年の1月13日の間、「あなたの考える『もっとワクワクするデジタルビジネスプラン』」というテーマで募集する。プランは未発表のものに限る。18歳以上の個人から3人までのチームを対象とし、営利目的や企業からの応募はできない。
今日29日の日本経済新聞朝刊によれば、1月14日~17日の間に行われるイオン従業員による1次選考で10~15程度のプランに絞られる。その後、1月24日~2月23日までFacebook上で公開一般審査が実施され、入賞者5名が決定される。
審査員は小玉毅イオン(株)Eコマース事業最高経営責任者兼イオンリンク(株)代表取締役社長と、テレビ番組プロデューサーのおちまさと氏が務める。表彰の内訳は、一般審査によるFacebookユーザー支持率上位賞3名(賞金は1位30万円、2位20万円、3位10万円)、おちまさと賞(同20万円)、イオン従業員審査によるAEON賞(同20万円)。
さらに、3月14日から最終選考に入り、5名の入賞者がプレゼンテーションをする。そして、4月上旬に最優秀者が決まる。最優秀者はビジネスプラン実現のため、プロジェクトメンバーとして迎えられる。
今回のイオンのこの試み。これは現在、ITの世界で使われている「クラウドソーシング」の考え方に基づくもの。
『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2013年9月号は「集合知を活かす技術」を特集した。つまり、SNSなどを利用して世界中からさまざまな知識や専門技術を集める方法のことだ。
この特集の中の論文で、ロンドン・ビジネス・スクールのケビン・J・ブードロー助教授とハーバード・ビジネス・スクールのカリム・R・ラカニー准教授はクラウドソーシングの方法を、①コンテスト、②コラボレーション・コミュニティ、③コンプリメンター(補完業者)、④労働市場の4つに分類している。
この4類型の詳細な説明は省くが、今回のイオンの取り組みは「ビジネスコンテスト」という名が示すように、①のコンテスト形態のクラウドソーシングだ。
このコンテストの形態は、「ある問題に対する最高のソリューションを生み出すには、どのようなスキルを組み合わせればよいのか、さらには、どの技術的アプローチを使えばよいのかも判然としない場合」に威力を発揮するとされている。
つまり、問題が複雑で、目新しく、ベスト・プラクティスがない状況のことで、まさにいまのEコマースの現状そのものだ。
コンテストで採用されるアイディアが最終的に1件だとしても、多数の応募案件を評価できるので、どこに切りひらくべき最先端のフロンティアがあるのかがわかる。だから、企業にとってはデザインや創造的なプロジェクトを行うときに有効だとされている。
先日のオムニチャネル・リテイリング戦略といい、今回のクラウドソーシングといい、イオンは最先端のデジタル・イノベーションを試みていると言ってよい。
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