ワークマンnews|日赤災害救護研と“冬の津波避難”を想定した実証実験実施

(株)ワークマン(群馬県伊勢崎市、小濱英之社長)の「WORKMAN 快適ワーク研究所」は11月10日(月)、北海道根室市で日本赤十字看護大学附属災害救護研究所とともに、防災ウェアの実証実験を行った。

ワークマンと日赤災害救護研は、2023年7月に連携協定を結んでいる。これまで同研究所に所属する災害救護のエキスパートとともに「健康・安全を守るための普段使い、非常時には災害対策製品として」をテーマに災害時に役に立つ製品の共同開発を進めてきた。

7月30日にカムチャツカ半島で大規模地震が発生し、日本各地の沿岸に津波警報が出された。夏場の避難では暑さが課題だったが、「これが真冬だったら?」という問いへの答えを探るため、厳しい気象(厳暑・厳冬期)条件下での避難を想定したウェアや野外用品の共同開発に取り組んできた。

そして11月10日、北海道根室市歯舞地区の歯舞漁業協同組合の津波避難訓練と連携し、津波避難を想定した防寒ウェア、アウトドア用品の実証を行った。当日、現場は風速10m/sを超える強風、気温約7℃、実証終盤には冷たい雨が降る、といったまさに“冬の津波避難”を想定した環境下で、既存の製品や、開発中の衣類を検証した。

実証した製品の一部は、防水防寒コート、ライトウォームパンツと、ブーツ。

「NRP1001A INAREMU PREMIUMイナレムプレミアム防水防寒コート」は発熱わた、グラフェンわた、ダウンを使用することで保温性が高い防水防寒コート。フードは視認性を確保できる調節ダイヤル付き。さらに脇下のべンチレーション(通気口)によって脱がずに、衣服内の蒸れや温度を調整できる。価格は7800円(税込み、以下同)。

「XW108 XShelterエックスシェルター断熱βライトウォームパンツ」は外部からの冷気に影響されにくい断熱素材「XShelter」を搭載する。ボタンとファスナーの前開き仕様で、ウエストはベルトループで調整ができる。価格は2900円(税込み)。

「FC382 氷雪耐滑ケベックNEO」は、ガラス繊維配合のオリジナルのアイスソールで雪や氷の上でも滑りにくい仕様となっている。暖かいボール状の中綿を使用した高い保温性と雨や雪に対応する防水構造を備えた万能ブーツだ。3200円で販売する。

実証結果では以下の点が明らかとなった。

・屋外の高台の避難場所では、風雪、雨、強風下で長時間の待機を想定する必要がある
・「自助」の一環として、防寒、防水機能を有する衣類や履物を着用することが必要
・停電を想定し、屋内の避難場所でも、防寒着や履物の着用が必要
・津波避難である以上、迅速に防寒着や履物を着用する必要がある
・風雪下では、車内での待機も考えられるが、その場合、一酸化炭素中毒やエコノミークラス症候群のリスクを考慮する必要がある
・燃料不足の危惧から車内待機時にエンジンを切ると、車内の気温は屋外気温レベルまで低下するため防寒着の着用が必要

その他にも衣類や履物等に関する留意点として、以下を挙げる。

●日常生活
・停電を想定し、部屋の暖房を入れずに過ごすことができる服装、履物(ルームシューズ)を確認しておく
・迅速な避難を想定した服装や滑りにくい外履き、温かい上履きを普段使いしておく(就寝時を含む)
・避難場所で着用する着替えと履物の備蓄(濡れないように大きなビニール袋に梱包してリュック等に入れる)

●避難場所への移動
・風雪、冷たい雨で濡れることを想定して、防水、防寒機能を有するウェアや履物を着用する必要がある
・積雪地域では凍結路でも滑らない履物を着用
・帽子、ネックウォーマー、手袋、バラクラバ等を着用し、皮膚を露出させない
・首回り、袖回りからの冷気の侵入を防ぐ
・迅速な避難のため、スリップオンの履物が望ましいが、足首が遊ばないことも大事
・徒歩避難しても蒸れにくい、汗をかかない衣類の組み合わせが大事

●避難場所での待機
・冷たい床の上での生活を想定して防寒機能を有するルームシューズが必須
・長期間、入浴ができないことを想定した消臭機能がある下着、靴下が求められる(メリノウール)
・運動量が低下しがちなので、断熱性のあるウェア(特にボトム)は保温を助ける

●その他、冬の避難生活での注意点
・車内での待機中、マフラーの閉塞による一酸化炭素中毒に注意する。発電機の運転、煉炭等も大量の一酸化炭素を発生するため屋内では使用しない

Workman 快適ワーク研究所の柏田大輔所長は、「過酷な作業現場と災害時の避難所生活で必要としている機能は多くの部分で一致しています。例えば、防寒、防水、防風、冷感、吸汗、通気や消臭、軽量などの機能です。これからも日赤災害救護研の皆様からアドバイスをいただきながら、実証実験を繰り返し製品化していくことで、被災者の方々のストレスを少しでも解消できればと思い取り組んでいきます」とコメントしている。

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