ユニー50店舗閉鎖に続く、イトーヨーカ堂不採算店2割40店舗閉鎖

イトーヨーカ堂の店舗閉鎖のニュースが各メディアで報じている。
昨日のユニー50店舗閉鎖に続く総合スーパーの不振店閉鎖の話。「イトーヨーカ堂よ、おまえもか」といいたいほどのタイミング。

さて、公式にセブン&アイ・ホールディングスより発表された全文を紹介する。

             事業構造改革について

 当社の平成28年2月期第2四半期業績連結営業利益は過去最高益達成の見通しであり、通期においても同様に過去最高益を目指しております。

 当社グループは持続的成長に向け、過去のチェーンストア理論の否定、店舗主体の運営体制の構築・強化、オムニチャネル戦略の推進を今年度の重要経営方針として事業を推進しております。

 特に、総合スーパー事業及び百貨店事業におきましては収益性の改善に向け様々な対策を行っており、今上期におきましても、イトーヨーカ堂ではMD改革・大幅な組織変更・単品管理に基づく在庫削減・テナントミックスによる売場活性化、新店開発及び不採算店舗の閉鎖等を実行しております。不採算店舗の閉鎖につきましては、今後、構造改革による活性化が進まない店舗を中心に数年間で約40店舗の閉鎖方針を固めましたが、現段階で具体的な内容は決定しておりません。

                                         以上

つまり報道されているように、今後数年間(2020年2月期までの5年間)で、活性化の進まない不採算店、老朽化店舗を約40店舗スクラップする。2015年8月時点で、国内店舗は184店だから、これは全体の2割に相当する。

イトーヨーカ堂は昨日のDaily商人舎ニュースで報告したように、都市部では、小型スーパーマーケット「食品館」を展開し、郊外ではSC「アリオ」などの出店を進めていく。
その中で、SCの核店舗となる総合スーパーの収益性向上が喫緊の課題で、その1つが今回の店舗のスクラップということになる。

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つまりSCの核店舗という立地にない、例えば駅前立地、駅裏立地、単独出店などの総合スーパーをピックアップし、それをスクラップするという考え方だ。スクラップ&ビルドは経営戦略上、必須のことで、店齢が経った店舗はスクラップし、ビルドしたほうが断然良い。イトーヨーカ堂の今回の発表ではビルドには触れていないから、閉鎖の話が大きく報じられた。ただし社会問題としてみれば、そのスクラップされた店は今後どうするかという問題は残る。儲かるときだけ利用して、儲からなくなったら、いかに大型物件だろうと「知らん顔」という姿勢だったとしたら、大規模小売業としての社会的責任が問われる。

同じ総合スーパーを柱として成長してきたイオンは、岡田元也社長が「食品スーパーマーケットをグループの基幹業態とする」と発言し、総合業態を運営するイオンリテールをはじめ、グループの総合スーパーを展開する企業を鼓舞する。イオンリテールは、今必死で、イオンスタイルストアを模索している。つまり業態発想の「総合スーパー(GMS)」から、業態が分化した形の「フォーマット」開発の途上で、新しいビジネスモデルを追求している。それがイオンである。

またイトーヨーカ堂が「過去のチェーンストア理論の否定、店舗主体の運営体制の構築・強化、オムニチャネル戦略の推進」を本年度の重要経営方針としてい るように、イオンリテールも店舗現場に権限を委譲し、地域対応力、現場力を高める施策を打っている。これまでの本部主導の古典的チェーンストア理論だけでは対応できないマーケットの変化や競争が起こっているからだ。

イオンは古典的チェーンストア理論を全面否定はしない。近代化から現代化を志向するというのがイオンである。セブン&アイは全面否定を主張する。この考え方の違いが両社の戦略の差異となってくることは明らかだ。

ちなみにセゾングループ総帥だった故堤清二氏はその著『変革の透視図』の中で述べている。
「流通産業は、まだ大きく変化する可能性を内蔵した産業である。そしてその変化は、『近代化』を内に含んだ『現代化』へとすすめられなければならない」

堤氏の論理の道筋に乗れば、近代化理論の全面否定は、逆にいまだ近代化を脱していないことを示すことになる。

 

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