AJS田尻一会長「スーパーマーケットの課題は人手不足・生鮮需給ギャップ」
オール日本スーパーマーケット協会(AJS)の田尻一会長(サミット社長)は、14日の横浜市内での年頭記者会見で、2016年のスーパーマーケット業界の課題として人手不足を挙げるとともに、生鮮食品の需給ギャップの拡大に危機感を示した。
また、消費税の再増税に当たって本体価格表示の継続を求めた。
田尻会長は「(業界を取り巻く)激しい環境変化は自分たちが起こしている自業自得の面もある。スーパーマーケットはトレンドを創っていく産業ではない。一歩遅れながらトレンドをうまく取り込んでいくこと、2歩3歩遅れないようにしなければならない」と環境認識を示した。その上で「人手不足が大きな課題だ」と述べた。
スーパーマーケット業界ではパートタイマーらの採用が難しくなっており、サミットでもある新店で60人を派遣社員で確保したことや、技術派遣制度を活用してベトナムから研修スタッフを招く計画があることなどを紹介した。
また、最近の客数減を客単価の上昇で補っている販売状況を踏まえつつ、「数量が売れないということは(加工食品などの流通)在庫が増えているということ。このモノ余り感は大きな問題で、価格を下げる方向に働く。一方、農水産業は生産者が減少し、生鮮品はモノが足りないという真逆な動きとなっている」と解説した。
今後については「TPPが発動されればますます国産志向が強まるはず。生産者と連携した取り組みが欠かせない」と語った。
昨年末の税制改正大綱で決まった食品に対する軽減税率の導入については、「早く(線引きなどの)結論を出してほしい。準備が間に合わない可能性がある」と危惧。スーパーマーケットでも軽減税率が適用されない雑貨などがあることから、「(混乱がないように)時限立法の本体価格表示を永続すべきだ」とした。これに関連し、他の小売り関連団体と連携し、政府などへの働きかけを強めていく考えも示した。
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