今年のウォルマート年次株主総会で発表披露された二つのこと
米国のアーカンソー州ファイエットビルで、6月6日から開催された。
オープニングでは、音楽プロデューサー兼歌手のファレル・ウィリアムスがパフォーマンス。
そのほかに歌手のサラ・マクラクランやカントリー・デュエットのフロリダ・ジョージア・ラインなど。
毎年のことだが、世界から集まった従業員株主など参加者を大いに盛り上げた。
もちろん第5代CEOのダグ・マクミランも、シェリー夫人とともに、音楽を楽しんだ。
2月に就任したばかりの47歳。
その年次総会で、取締役会副議長にはグレゴリー・ペナーが指名された。
議長は故サム・ウォルトンの長男のロブソン・ウォルトン。しかしロブも現在、69歳。
その後継者とみられるのが、ロブ・ウォルトンの娘婿のペナー。
ペナーのキャリアは、2002年から2005年まで、ウォルマート・ストアーズ本部長兼日本最高財務責任者。さらに2008年からウォルマート役員に就任している。
ロブ・ウォルトンが統率するウォルトン・ファミリーは、ウォルマートの全株式の51%を所有している。これは世界最大の資産額で、ウォルトン家の力を示すもの。
ペナーがそのリーダー役を継いでファウンダーの役割を担い、経営はCEOのマクミランが担当する。
この年次総会のなかで7日、ロブ・ウォルトンは、創業者サム・ウォルトンのメッセージを披露。
内容は1985年の年次総会で、サムが参集した400名ほどの株主や社員に送ったもの。
①カスタマーは、どんなビジネスにとっても、最も大切な存在である。
②カスタマーは、私たちの仕事に頼ってはいないが、私たちは彼らを頼っている。
③カスタマーは、私たちの仕事の邪魔をするものではないうえに、彼らそのものが私たちの仕事の目的である
④カスタマーは私たちの店で好意で買物してくれるが、私たちがカスタマーに奉仕するのは好意ではない。
⑤カスタマーは、私たちの仕事の内側の一部であって、外側の存在ではない。
⑥カスタマーは、私たちが、言い争いをしたり、言い負かしたりする存在ではない。
⑦カスタマーは、私たちに購入意欲を示してくれる存在であって、私たちの仕事はそれを満たすことである。
⑧カスタマーは、統計の数字ではない。カスタマーは生きた人間で、私たちと同じ感情や感覚を持っている。
⑨カスタマーは、最も丁寧で、十分に配慮の行き届いた、私たちの応対を受ける価値をもっている。
⑩カスタマーこそが、私たちの給料の支払いと受け取りを可能にしてくれる。
⑪カスタマーこそが、私たちはもちろん、ほかのすべてのビジネスにおける源泉である。
11の項目のすべてが「カスタマー」に関する説明だ。
1985年1月末の決算は、売上高64億ドル、純利益2億7000万ドル。従業員数は10万人だった。
前年にサムはデビッド・グラスをCOOに就任させて、後継者指名をしたばかり。
今回のロブ・ウォルトンの「11のカスタマー・メッセージ」は、この継承問題をもイメージさせる。
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