流通経済研究所news|大手コンビニ3社による共同物流の実証結果発表
(公財)流通経済研究所(東京都千代田区)は、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム「スマート物流サービス」において、2022年2月に実施した、大手コンビニ3社によるチェーン横断的な共同物流の実証実験に関する実証結果を発表した。
コンビニエンスストアは全国で約5万8000店舗あり、駅前の商業施設や大学、病院などさまざまな施設に展開する。セブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソンは災害対策基本法に基づく指定公共機関にも指定されており、災害時においても重要な役割を果たすなど、社会インフラになっている。
2022年2月21日~2月28日の1週間、北海道の函館エリアにおいて、①コンビニの配送センター間の物流の効率化と②遠隔地店舗(買物困難地域)の配送の共同化の2つの実証を行った。
①配送センター間の物流の共同化
コンビニエンスストアの物流では、多くの在庫をもつ基幹センターと遠隔地にあるサテライトセンターの間で商品の横持ち配送が行われている。これまで自社のセンター間でしか実施されてこなかったこのセンター間の横持ち配送をチェーン横断的に実施した。
セブン‐イレブンとファミリーマート、セブン‐イレブンとローソンの2つの組み合わせで、札幌近郊の基幹センターから、函館のサテライトセンターまでの横持ち配送の共同化の実証を行った。この実証実験の結果、幹線でのセンター間の横持ちを共同化することにより、1便当たり以下の効果があることが分かった。
②遠隔地における店舗への商品配送の共同化
物流効率があまり良くない遠隔地における店舗への商品配送の共同化の効果測定(2020年度は都市沿岸部であったため)を行った。
函館南西エリアで商品配送の共同化を行った結果、チェーン毎に別々に配送する場合と比べて、「配送距離の短縮化」をはじめ、「CO2 排出量の削減」、「配送時間の短縮」などの改善効果を確認することができた。
「内閣府戦略的イノベーションプログラム」とは、総合科学技術・イノベーション会議が自らの司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野の枠を超えたマネジメントに主導的な役割を果たすことを通じて、科学技術イノベーションを実現するために新たに創設するプログラム。このプログラムは 13 のテーマで実施されており、この実証実験はそのうちの「スマート物流サービス」の研究開発の一環として実施される。スマート物流サービスは、サプライチェーン全体の生産性を飛躍的に向上させ、世界に伍していくため、生産、流通、販売、消費までに取り扱われるデータを一気通貫で利活用し、最適化された生産・物流システムを構築するとともに、その社会実装を目指す。