ファストリnews|バングラデシュで難民の自立支援プロジェクトを開始
(株)ファーストリテイリング(山口県山口市、柳井正会長兼社長)は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と協働し、バングラデシュのコックスバザールにある世界最大規模の難民キャンプで、ロヒンギャ難民の女性を対象に、自立支援プロジェクトをスタートさせる。
ファーストリテイリンググループの生産パートナーの協力を得て、難民キャンプで日常的に必要とされ、かつ持続的な供給が不可欠な、繰り返し使える布ナプキンなどの縫製スキルのトレーニングを実施する。2025年までに1000人に対するトレーニングの修了を目指す。トレーニング修了者が有償ボランティアとして継続して製作に携わることで、キャンプ内での生理用品やその他の必需品の充足を図る。
UNHCRの統計によると、現在、94万人以上のロヒンギャ難民(2022年9月末時点)が、バングラデシュの難民キャンプでの避難生活を余儀なくされている。ロヒンギャ危機から5年が経ち、避難生活は長期化しており、緊急支援のみならず、帰還などを含め、その後の人生で安定した暮らしを持続できるようにするための就業に必要なスキルの習得や継続的な収入を得るための支援が必要とされている。
縫製スキルのトレーニングに参加する人の多くは、バングラデシュに避難する途中で夫を亡くすなどして、一人で家族の生計を支える女性たちだ。彼女たちを中心に生理用品を製作するコミュニティが整備されることで、女性の悩みを相談する場をつくることができ、さらに有償ボランティアとして収入を得ることも可能になる。
プロジェクトでは第一段階として、2023年3月末までに250人の女性を対象に、縫製スキルのトレーニングを実施し、77万点の生理用品の生産を行う。次年度以降は、難民を受け入れるコックスバザールの地元コミュニティへのプロジェクトの拡大も検討している。
このプロジェクトの初年度予算は、UNHCRとのパートナーシップ合意に基づき、80万USドル(約1億1500万円)を予定している。また、2022年6月に始まったPEACE FOR ALLプロジェクトによる寄付の一部も、このプロジェクトに充てられる予定だ。
ファーストリテイリングは、難民支援をサステナビリティ活動の柱の一つとして、2006年からUNHCRと連携し、世界の難民・国内避難民への衣料支援を行ってきた。2011年には、より包括的に世界の難民問題の恒久的な解決に寄与するため、アジアの企業として初めてUNHCRとグローバルパートナーシップを締結した。店舗で回収した衣料の難民キャンプなどへの寄贈をはじめ、難民の自立支援プログラム、ユニクロ店舗での難民雇用、難民問題の啓発活動などを行っている。