高島屋news|年商4985億円・経常利益604億円・経常利益率12.1%
(株)高島屋(大阪市中央区、村田善郎社長)が2025年2月期の本決算を発表した。
2024年3月1日~2025年2月28日の業績は、営業収益4984億9100万円(前期比6.9%増)、営業利益575億0300万円(25.2%増)、経常利益603億9600万円(22.8%増)、当期純利益395億2500万円(25.0%増)の増収増益だった。利益はいずれも過去最高を更新した。
営業利益率11.5%、経常利益率12.1%。
国内百貨店業は、営業収益3182億1000万円(8.1%増)、営業利益285億3000万円(35.5%増)。国内百貨店では、インバウンド売上げが増大したことに加え、全体の約85%を占める国内売上高が堅調に推移した。商品別では、ラグジュアリーブランドを始めとする高額品のほか、婦人服、紳士服、化粧品などファッション関連商品も伸長した。
当年度は消費動向の変化を踏まえた新規ブランドの導入や、百貨店ならではのアイテム平場・自主編集売場の再構築に取り組んだ。9月に日本橋店で紳士服の新アイテム平場「item SELECT」をオープンし、10月には横浜店で紳士服セレクトショップ「CS case study」のリニューアルを実施した。また12月には新宿店の「味百選」をリニューアルオープンした。
ECでは、8月に主力商品である化粧品の専門オンラインストア「TBEAUT(ティービューティー)」が誕生した。自家需要比率が高い化粧品の購入フローを簡便化したほか、顧客の興味関心・趣味嗜好に応じたコンテンツを提供する機能を導入するなど、顧客の利便性向上や楽しい購買体験の創出につながっている。
商品利益率は、利益率の低い高額商品の好調による売上げプロポーションの変化もあり、前年を下回った。一方で、商品利益額は売上げが増大した結果、商品利益率の悪化影響を吸収し、前年を上回った。販売管理費は前年からの増加を最小限に抑制した。ベースアップなど人的資本投資や、新規ブランドの導入など営業力強化につなげる費用は積極的に投下する一方、店舗運営体制の効率化などコスト削減に向けた取り組みを継続的に推進したことにより、総額営業収益に対する販売管理費比率は前年を下回る水準となった。なお、岐阜店は2024年7月末日をもって、47年の歴史に幕を下ろした。
海外百貨店業は、営業収益342億8700万円(5.3%増)、営業利益83億6300万円(4.4%増)。シンガポール高島屋では、為替影響で増収となったが、長引くインフレによる消費の停滞に加え、ツーリストもコロナ禍以前の水準に戻らない状況が続いている。人件費など販売管理費が増加したことによりわずかに減益となった。上海高島屋では、新たなテナントの誘致など収益基盤の強化に継続して取り組んでいるが、中国経済の低迷の影響が大きく、減収・赤字となった。ホーチミン高島屋では、成長分野である子ども用品や顧客の支持が高い化粧品・食料品を中心に、売場改装や品揃え強化に取り組んだことで増収増益となった。サイアム高島屋では、顧客ニーズに基づいた日本ブランドの品揃え拡充や物産イベントの実施などの収益拡大策を実施した。内需の低迷や売場改装の工事影響が大きく僅かに減収となったが、商品利益率の改善やコスト削減により、赤字幅は縮小している。
国内商業開発業は、営業収益408億3300万円(6.2%増)、営業利益68億5100万円(12.8%減)。東神開発(株)では前年2023年10月に開業した「京都高島屋S.C.」、同年11月にリニューアルオープンした「立川高島屋S.C.」のテナント賃料の収入が増加したことで増収となった。一方、2024年の「玉川高島屋S.C.」改装に伴う費用や、前年に「京都高島屋S.C.」の増築した専門店部分を(株)高島屋に引き渡した反動が大きく、減益となった。
海外商業開発業は、営業収益154億3400万円(14.2%増)、営業利益59億0800万円(43.2%増)。トーシンディベロップメントシンガポール PTE.LTD.では、賃料収入が増加したことに加え、費用減もあり、増収増益となった。また、段階的に開発を進めるベトナム事業についても増収増益となった。8月にはベトナムのハノイに学校不動産賃貸事業の2校目となるハイクオリティースクールを開校した。ベトナム第3の都市であるハイフォンでの大規模都市開発事業では、6月に参画した街区に加え、12月には新たな街区での住宅開発事業への参画が決定した。
金融業は、営業収益188億5100万円(6.2%増)、営業利益48億3100万円(4.8%増)。高島屋ファイナンシャル・パートナーズ(株)では、収益の柱であるカード事業の取扱高が伸長や新規入会会員の増加により、手数料・年会費収入が増加し、増収増益となった。
ライフパートナー事業では、今年からスタートした新しいNISA制度(少額投資非課税制度)にあわせて「タカシマヤのカード積立」の積立上限月の引き上げや各種セミナーの開催などにより、顧客の資産形成促進に向けた取り組を行ってきた。また、6月に高島屋が株式の過半数を取得し子会社化した「ヴァスト・キュルチュール株式会社」は、ウェルス・マネジメントという、資産を総合的に管理する金融サービスなどを提供している。
建装業は、営業収益299億9700万円(7.3%増)、営業利益21億7100万円(前年同期は営業損失7億3100万円)。高島屋スペースクリエイツ(株)では、ラグジュアリーブランドやホテルを中心に受注が増加し、黒字転換した。
その他の事業は、営業収益408億7700万円(2.6%減)、営業利益19億7700万円(5.2%減)。人材派遣業の(株)センチュリーアンドカンパニーが増収増益となった一方、卸売業のタカシマヤトランスコスモス インターナショナルコマースPTE.LTD.が減収・赤字となったことから、その他の事業全体では減収減益となった。
2026年2月期は、営業収益5212億円(4.6%増)、営業利益580億円(0.9%増)、経常利益610億円(1.0%増)、当期純利益400億円(1.2%増)を見込む。