プラネットnews|「エシカル消費(賞味・消費期限)に関する意識調査」を実施
国内1400社超が利用する日用品流通の情報基盤を運営する(株)プラネット(東京都港区、田上正勝社長)は、消費財や暮らしにまつわるトピックスを掲載したニュースレター『Fromプラネット』第168号で「エシカル消費(賞味・消費期限)に関する意識調査」を行った。
「エシカル消費」は、消費者基本計画において「消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと」と定義されている。
⑴「あなたは『エシカル消費』という言葉を知っていますか」という問いについて。
「聞いたことがない」と回答した人が67.7%と圧倒的多数だった。「聞いたことがあり、内容も理解している」人は若い世代のほうが多い傾向はあるものの、全体で見ると9.0%と1割に満たない。
エシカル消費は 「持続可能な開発目標」(SDGs)とも関係の深い概念だが、「あなたは『SDGs』という言葉を聞いたことはありますか」という質問では、「聞いたことがない」が18.8%だった。「聞いたことがあり、内容も理解している」という人は45.5%と半数近くになっていて、 広く認知されつつある状況が見てとれる。
⑵「あなたが住んでいる地域で生産・加工された食品と、ほかの地域で生産・加工された同じ種類の食品が売場に並んでいた場合、 あなたはどちらを選びますか」という問いについて。
エシカル消費につながる行動はいろいろあるが、地産地消もその一つだ。「同じ値段であれば自分が住んでいる地域の食品を購入する」と回答したのは52.0%だった。「高価であっても自分が住んでいる地域の食品を購入する」と回答した人は全体では5.1%だが、性年代別に見ると、「男性・20代」が10.1%と、最も高いという結果になった。また、「同じ値段であれば自分が住んでいる地域の食品を購入する」と回答した人は、男女ともに年齢が上がるにつれて増える傾向がある。
⑶「あなたは自分が住んでいる地域にある食品を生産・加工する企業のなかで、お気に入りの企業、応援したい企業はありますか」という問いについて。
「ある」と回答した人は17.9%。男性は若い人ほど「ある」と回答した割合が高い傾向にあり、そこまで大きな差ではないものの、性年代別では「男性・20代」が最も高い割合(22.6%)になっている。先ほどの質問と合わせて考えてみると、若い男性はほかと比べて、地元産食品かどうかを気にかける人が多いと言えそうだ。
また、これを地域別に見ると、「ある」と答えた人が最も多いのが北海道(30.5%)、最も少ないのが関東(13.8%)で、その割合の差は2倍以上ある。関東で「ある」と答えた割合が多い順に並べると、群馬県(24.3%)、栃木県(18.4%)、千葉県(15.1%)、東京都(14.3%)、神奈川県(13.2%)となった。最も低かった埼玉県は8.2%となっており、同じ関東圏でも結構な差がある。
⑷「あなたは『賞味期限・消費期限』が切れる前に食べ切る工夫をしていますか」という問いについて。
「いつもしている」と回答した人が47.2%と約半数になっている。2017年に同じ質問をしたときの結果を見てみると、「いつもしている」が36.4%だったので、10ポイント以上上昇した。一方で、「全くしていない」という人は前回の16.8%から11.7%に減少している。
前回調査では「いつもしている」という女性が41.5%だったが、今回は51.3%と半数超えになった。男性も33.0%から43.2%に上昇していて、男女ともに「買ったものは食べ切ろう」という意識が強まっていることがわかる。フードロスへの関心の高まりもあるだろうが、コロナ禍で外出がはばかられる、経済的にも不安を感じるといった事情も関係しているようだ。
⑸「スーパーやコンビニなどで『賞味期限・消費期限』を理由に安売りしている場合、 あなたはどんな食品だったら購入しますか」という問いについて。
まず「消費期限が理由なら購入する」と「賞味期限が理由なら購入する」を比べると、すべての品目で後者のほうが割合が高くなっている。 また、消費期限が理由なら購入しないという人は34.5%だが、賞味期限が理由なら購入しない人は22.1%と、10ポイント以上の差がある。
男女差を見てみると、 それぞれの食品・食材を「購入する」という割合は、多くの項目で女性のほうが高くなっている。 「賞味期限が理由」の場合、 男性が女性を上回ったのは「お惣菜/お弁当」のみ。 「消費期限が理由」だと、「カップ麺」「レトルト食品」「缶詰」は男性のほうが割合が高くなっている。 また、「生鮮食品(肉や魚)」(7.2ポイント差)、 「生鮮食品(野菜)」(4.3ポイント差)といった、 調理を必要とするものは男女差が大きくなっている。
⑹「あなたは食べる(料理する)際、 『賞味期限』と『消費期限』を意識していますか。」という問いについて。
「消費期限を意識する」品目では「レトルト食品」「カップ麺」「缶詰」で、男性が女性をわずかに上回っているが、賞味期限については、すべての食品・食材で女性のほうが高い割合となっている。
先ほどの質問では、安売りになっていても「購入しない」と回答した男性のほうが女性よりも多かったが、 食べる際に「意識しない」と回答したのも、 男性のほうが多くなっている。
ということは、「品質が心配だから安売りになっていても買わない」のではなく、「普段から期限を意識していないから、 期限切れで無駄にしてしまうだろうし、 買うのはやめておこう」という意識が働いているのだろうか。
⑺「近年、 人や社会、 環境に配慮した消費を求められるようになっている。 そのことについての考えや、 あなたが実際にしている配慮などがあれば教えてください」という問いについて自由回答で答えてもらった。
「マイバッグ・エコバッグを使用している」という回答が多く寄せられた。 今年2月の調査 (https://www.planet-van.co.jp/shiru/from_planet/vol153.html)でも、 「買物の有無に関わらず、 常に持ち歩いている」という人が半数を超えるなど、かなり浸透していることが明らかになっている。また、コンビニでの廃棄前の値引き販売についても、好意的な反応が多かった。
ポジティブな声があるなかで、「個人の行動がどれだけ影響があるのかわからない」「リサイクルの仕組みがわからないので、自分の行動に本当に意味があるのか疑問」という声もあった。意義を理解し、納得して取り組んでもらうには、行政による説明や教育がまだまだ必要なようだ。
■調査概要
回答者数/4000名
調査期間/2021年9月30日~10月4日
調査方法/プラネットによる調査企画をもとに、 (株)ネオマーケティングが「エシカル消費(賞味・消費期限)」に関する意識調査をインターネットで実施。