【1月百貨店】既存店売上高▲1.2%、春節効果売上げ24.8%増だが追いつけず
日本百貨店協会から1月の百貨店売上高概況が発表された。調査対象店舗は、81社234店で前月とかわらず。
売上高は5209億円。前年同月比は既存店ベースで▲1.2%と11カ月連続でマイナスとなった。顧客別に見ると、95.8%を占める国内顧客は▲2.1%で6カ月連続減。一方、シェア4.2%のインバウンドは、購買顧客数が31.0%増加し、単月で過去最高となる217億円を売り上げた。これは前年同月比24.8%と大幅な伸びを見せた。この顧客の増加は春節の日程によるもの。今年の春節休暇は1月27日~2月2日と1月下旬から始まった。ちなみに前年は、2月7日~2月13日だった。ともに7日間。
主要10都市は対前年同月比▲0.7%。
プラスとなったのは、札幌4.0%、大阪2.1%、福岡1.7%でインバウンド効果の影響を受けた3都市。
一方、残る7都市はマイナス。
広島▲4.6%、仙台▲3.4%、神戸▲3.2%、京都▲2.0%、名古屋▲1.9%、東京▲1.5%、横浜▲1.5%という結果。この中で名古屋、広島は1月中旬の積雪によって客足に影響がでた。
10都市以外の地域は、▲2.3%。こちらは全地域でマイナスとなった。
東北▲6.8%、四国▲6.3%、中部▲5.2%、中国▲3.8%、関東▲1.8%、
近畿▲0.2%、九州▲0.2%。
主要5品目の1月の動向は以下のとおり。
主力の衣料品は、1929億4849万円、▲2.7%で、15カ月マイナスが続いている。詳細を見ても婦人服の▲3.3%を始め、全カテゴリーが不調に終わった。
身のまわり品は、744億1789万円、▲1.6%。6カ月連続減少。
雑貨は、827億2828万円、3.5%増と、2カ月連続でプラスを維持。その中で化粧品は10.8%、二桁増となり、22カ月連続で好調を維持している。一方、美術・宝飾・貴金属は11カ月連続のマイナスと不調が続く。
家庭用品は、224億1039万円の▲4.8%、13カ月連続減。家電の▲24.6%を始め家具、その他の家庭用品もマイナスだった。
食料品は、1208億1042万円で▲1.0%、11カ月連続マイナス。菓子は0.3%と6カ月ぶりにプラスとなったが、生鮮にいたっては34カ月連続でマイナスが続いている。
大手百貨店グループの1月の業績は下記のとおり(%はすべて対前年同月比)。
㈱三越伊勢丹ホールディングス
国内百貨店事業(三越伊勢丹計+国内グループ百貨店計)▲0.9%。
三越伊勢丹合計は▲0.3%。
三越伊勢丹単体では、主力の衣料品は、紳士服0.9%、婦人服が0.8%とプラスとなり、全体では0.4%。家庭用品は▲2.7%だが、その中で雑貨だけは6.7%と好調。食料品は▲7.2%と低迷。初売りやクリアランスセールが順調で、また気温の低下でコートやマフラーなどの冬物衣料に動きが見られた。インバウンドも春節が1月末からだったことが影響し、大きく売上げを伸ばした。しかし家具インテリア▲12.1%、家電▲13.0%など二桁減のカテゴリーもあり、全体ではマイナスとなった。
J.フロント リテイリング㈱ 0.7%増
中旬の雪によるマイナス影響や気温の低下により、婦人服の定価商品が苦戦したものの、クリアランスセールによるコート、マフラーの動きはよかった。訪日外国人により、ラグジュアリーブランドや化粧品、宝飾品も売上げを伸ばした。
㈱髙島屋および国内百貨店子会社17店舗 0.1%増
円高や株高の影響もあり、免税品や高額品が売上げを伸ばし、3カ月連続でプラスを維持した。カテゴリー別では、雑貨6.5%、食料品2.0%、身のまわり品0.4%とプラス。一方、家庭用品▲7.5%、衣料品▲3.8%という結果。
エイチ・ツー・オー リテイリング㈱ 百貨店は1.5%増。
詳細は阪急阪神百貨店の数字だが、家庭用品4.6%、身の回り品3.5%、雑貨3.3%、食料品1.5%とおおむね好調。衣料品は0.0%の横ばいで、唯一、食堂・喫茶だけが▲0.8%。
三越伊勢丹ホールディングスがマイナスとなったが、J.フロント リテイリング、髙島屋、エイチ・ツー・オー リテイリングはプラスを計上し、大手百貨店はまずまずの年の始まりとなった。
百貨店の1月は▲1.2%と苦戦するも、春節の時期が1月下旬からだったことに助けられ、インバウンド需要の増加によって、マイナス幅を抑えることができた。しかしそうなると、この春節時期のズレは2月のマイナス要素となることは必須だ。バレンタイン商戦は限定品を中心に好調なスタートだというが、どこまでこれをカバーできるか。
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