ヨーカ堂、中国内陸部でSC多店舗展開の意味

「中国の成都ではイトーヨーカドーは百貨店」

イトーヨーカ堂の役員はそう表現する。

 

そのヨーカ堂、中国内陸部でショッピングセンター(SC)を多店舗展開することにした。

2014年春に同社で中国初となるSCを出店。同社最大規模の物件を含め、16年までに計4カ所を計画する。

 

今日2日の日本経済新聞朝刊が1面で伝えた。

 

中国国内の総合スーパー「イトーヨーカドー」は現在13店舗。子会社の華糖ヨーカ堂有限公司(北京)が8店舗、同じく子会社の成都イトーヨーカ堂有限公司(成都)が5店舗をそれぞれ展開している。

 

成都ヨーカ堂の2012年度の売上高は535億1300万円(前年同期比5.6%増)。一方、華糖ヨーカ堂の同期は279億0200万円(同▲2.0%)。昨年秋の反日デモや中国景気の減速懸念もなんのその、中国内陸部ではイトーヨーカドーが強い支持を受けていることがわかる。

 

消費社会が大きくし進展した沿海部と異なり、内陸部では中間層の消費意欲が高まっており、まだまだこれから。ちょうど日本で総合スーパーが成長したころと同じ状況だ。つまり、中国内陸部はいま「近代化」を迎えていると言ってよい。

 

成都のイトーヨーカドーでは、衣料が売上構成でなんと60%も占めている。ちなみに日本のイトーヨーカドーでは衣料は17%台(2012年度)で、食品が約5割を占める。

 

冒頭の「中国の成都ではイトーヨーカドーは百貨店」という表現の真意はそこにある。だから、ユニクロもZARAも、成都では近接する伊勢丹ではなく、イトーヨーカドーに出店した。

 

さて、その中国初のSC。既存の成都伊藤洋華堂・高新店に併設する形でオープンする。SC部分の延床面積は約11万㎡(約3万3000坪)。ヨーカ堂が日本で展開するSCの「アリオ」は、最大規模で6万㎡強。ただし、これはイトーヨーカドーを含めたモール全体の延床面積だから、中国のSCの規模は日本よりはるかに大きい。

 

衣料や雑貨、シネマコンプレックスなど、日中合わせて約150のテナントを誘致する。

 

14年後半に2カ所目としてオープンを予定している最大規模のSCは、イトーヨーカ堂部分を含め約19万㎡(約5万8000坪)。アリオの3~4倍の規模になる。

 

ヨーカ堂は同じく内陸部の重慶市にも出店を計画しており、現地法人の設立を準備している。1施設当たりの投資額は十数億円になるという。

 

イオンは2014年度から沿海部中心にSCを年10カ所強を出店する方針。対してヨーカ堂は「市場規模に比べ大型店が少なく、中国全土の中でも成長率が高い」内陸部から攻める。

 

日本の総合スーパー2強の戦略の違い。これ戦略の違いはむしろ日本勢の多様性を示していて、とてもよろしい。

 

ここでも必要なのは「虫の目・鳥の目・魚の目」だ。現場の虫の目は、日本独自の細密性を持ち、全体を俯瞰する鳥の目は、戦略の多様性を生み出し、そして時代性を認識する魚の目は日本チェーンストアの学習の確かさに裏付けされている。日本のチェーンストアの国際性が試されているが、それが実証されることになるだろう。

 

 

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