公取委「消費増税後の食品PB取引」実態調査で優越的地位の濫用10.8%
『流通ニュース』が昨日の6月30日に報じた6月20日発表の大事な報告。
「公取委/食品PBの取引調査、優越的地位の乱用は10.8%」
『流通ニュース』のこの網羅性は実にいい。
商人舎公式ホームページの巻頭テロップでチェックしてほしい。
さてそのNEWSは公正取引委員会が調べたもの。
「食品分野におけるプライベート・ブランド商品の取引に関する実態調査報告書」。
珍しく長文でガイダンスしている。
今年4月の消費税引き上げに際し、小売業による優越的地位の乱用、
ならびに価格転嫁のトラブルが生じていないかの実態を把握するのが調査の目的。
調査は増税前の2月から3月にかけて行われた。
対象は、PB商品の製造委託を行っていると思われる小売業者等500名。
製造を請け負いPB商品の納入取引を行っていると思われる製造業者等3000名。
彼らに調査票を送付し、書面調査を実施。
回答数はそれぞれ334名(66.8%)、940名(31.3%)。
小売業者の回答率66.8%も高いし、334名も多い。
さらに回答した製造業者等27社に対してヒアリングしている。
その結果。
まずPB商品の取引条件の設定等について、
優越的地位の濫用となり得る行為を受けたかどうか。
10.8%に当たる198取引者が何らかの行為を受けていると答えている。
一番多かったのが、
「原価構成や製造工程に係る情報など、開示することにより価格交渉等において不利な立場に立つこととなる情報の開示を取引条件として設定するもの」。156社。
そしてこの156取引のうち56取引(35.9%)が、取引開始後も、取引の対価の一方的な決定、減額等となり得る行為を受けたと回答している。
次いで90取引が、NB商品と同水準の原材料の使用を求められるにもかかわらず、取引価格はNB商品より著しく低い価格での取引を要請されたと答えている。
この90取引のうち46取引(51.1%)は、取引を開始した後にも小売業者等から、同業他社の価格水準に合わせて 納入価格の引下げを求められていると回答。
表①PB商品の取引条件の設定等に係る要請についての回答
行為の内容 | 優越的地位の濫用と なり得る行為を受けたと回答した取引数 |
集計対象取引数に 占める割合 |
原価構成や製造工程に係る情報など,開示することにより価格交渉等において不利な立場に立つこととなる情報の開示を取引条件として設定するもの | 156取引 | 8.4% (156/1835) |
利益率が低い等により製造委託の要請を断ろうとしたところ,NB商品の取引の中止,取引数量の減少をちらつかせ,製造委託に応じるように要請するもの | 39取引 | 2.1% (39/1835) |
PB商品の取引を開始することを条件に,本来支払う必要のないリベート・協賛金等の負担を要請するもの | 20取引 | 1.1% (20/1835) |
その他(月1回特売をすることを取引条件とするもの,PB商品を製造するためにNB商品の製造を取り止めるよう要請するもの等) | 25取引 | 1.4% (25/1835) |
合計 | 198取引 | 10.8% (198/1835) |
表②B商品の取引に係るその他不当な要請
行為類型 | 優越的地位の濫用となり得る 行為を受けたと回答した取引数 |
集計対象取引数に 占める割合 |
購入・利用の要請 | 42取引 | 3.7% (67/1835) |
協賛金等の負担の要請 | 67取引 | 3.7% (67/1835) |
従業員等の派遣の要請 | 30取引 | 1.6% (30/1835) |
受領拒否 | 10取引 | 0.5% (10/1835) |
返品 | 12取引 | 0.7% (12/1835) |
支払遅延 | 2取引 | 0.1% (2/1835) |
減額 | 7取引 | 0.4% (7/1835) |
取引の対価の一方的決定 | 16取引 | 0.9% (16/1835) |
その他不利益となる要請 | 40取引 | 2.2% (40/1835) |
「その他不利益となる要請」では、契約上特に定めがないにもかかわらず、出荷の条件として新たな検査を受けるよう求められ、その検査に要した費用を負担させられるという回答が22取引と多い。
PB商品の取引条件の設定等に係る要請(表1)と、PB商品の取引に係るその他の不当な要請(表2)の重複を排除すると、調査対象とした1835取引のうち、小売業者等から1つ以上の「優越的地位の濫用となり得る行為」を受けたと回答した取引は290取引(15.8%)。
この290取引について、その要請等を行った小売業者の業態別内訳。
67取引(23.1%)に対して行っている総合スーパーが最も多い。
次いで生協53取引(18.3%)、卸売業者47取引(16.2%)、コンビニ34取引(11.7%)。
さらに食品スーパーマーケット31取引(10.7%)となる。
これら小売業者等からの要請が、PB商品の取引開始後に行われるようになったかどうかでは、「PB商品の取引開始後に初めて行われるようになった」が116取引(40.0%)、 「PB商品の取引開始前から行われていた」が147取引(50.7%)。
さらに 「PB商品の取引開始前から行われていた」と回答した147取引について、PB商品の取引開始後に負担の程度がどのように変化したかを聞いている。
「増加している」30取引(20.4%)、「変わらない」95取引(64.6%)、「減少して いる」18取引(12.2%)。
表③PB商品年間取引高と優越的地位の濫用となり得る行為がみられた取引との相関
小売業者等とのPB商品に係る年間取引高 | 5000万以下 | 5000万超~ 1億円以下 |
1億円超~ 2億円以下 |
2億円超~ 3億円以下 |
3億円超 | 合計 |
優越的地位の濫用となり得る取引の割合 | 10.5% | 16.4% | 16.0% | 17.5% | 22.5% | 15.7% |
優越的地位の濫用となり得る取引数 | 69 | 34 | 38 | 24 | 104 | 269 |
区分に該当する取引数 | 657 | 207 | 238 | 137 | 470 | 1709 |
優越的地位の乱用は公正取引に違反する。10.8%のベンダーがそれを受けたとするのは、ゆゆしき問題。総合スーパーが一番、その優越的地位の乱用を行っていることも、大いに問題だ。
襟を正せ!
詳細は公正取引委員会HP
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h26/jun/140620.html
検索ワード:公正取引委員会 優越的地位の濫用 消費増税後 プライベートブランド