公取委news|「1円戦争」の犬山市カネスエとワイストアに「不当廉売」警告
公正取引委員会が(株)カネスエ商事と(株)ワイストアに、独占禁止法第19条に違反するおそれがあるとして警告を行った。
2社は独禁法第19条第2条第9項第3号の[不当廉売]の規定に「違反するおそれ」がある行為を行っていた。
警告の相手方は2社の二人。
(株)カネスエ商事、愛知県日進市浅田町平池260番地。牛田喜博代表取締役。
(株)ワイストア、愛知県津島市新開町一丁目6番地。伊藤彰浩代表取締役。
愛知県犬山市にカネスエ五郎丸店が出店していた。平成29年4月26日、同市にワイストア犬山店が新規開店した。
これが契機となって、キャベツ、ホウレン草、モヤシ、キュウリ、大根、レタスの販売価格を引き下げ競争が始まった。以降、2店は対抗して販売価格を順次、引き下げた。カネスエ五郎丸店は小松菜も対象とした。
平成29年5月11日から同月18日までの間に、2店は先の品目を1円で販売した。カネスエ五郎丸店はキュウリを3本3円で販売した。当該野菜の販売数量は大幅に伸びた。それによって、周辺地域に所在する野菜等の販売業者の事業活動を困難にさせるおそれを生じさせた疑いがある。
これが「1円戦争」と称された。
平成29年5月18日、公正取引委員会が調査を開始した。同月19日以降、カネスエ五郎丸店およびワイストア犬山店におけるキャベツ等の販売価格は順次引き上げられ、「1円戦争」の行為は取りやめられている。
独占禁止法というとすぐにカルテルだとか「優越的地位の乱用」を思い浮かべるかもしれないが、第19条(同法第2条第9項第3号)には「不当廉売」の項目がある。
条文は「正当な理由がないのに、商品または役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することであつて、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの」となっている。
「正当な理由」とは、例えば「需給関係から販売価格が低落している場合において、市況に応じて低い価格を設定しているとき」。さらに「キズ物、季節商品の処分のために低い価格を設定しているとき」などだ。この場合は違法にはならない。
今回の「1円戦争」は、この不当廉売規定に違反するおそれがあることから、公正取引委員会の警告となった。
今後、このような行為を行ってはならない。
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