Walmartを脅かす倉庫型SMのWinco

 Winco Foods ウィンコ・フーズをご存じだろうか。

アイダホ州を本拠地とする倉庫型スーパーマーケット。
「スーパーウェアハウスストア」と称するジャンル。

現在アメリカ西部の7州で、
87店舗を
展開するディスカウント型のグロサリー・チェーン。
winco

アメリカの流通アナリストたちの間では、非常に評価が高い。
「WalmartはWincoを恐れている」
「WincoのほうがWalmartよりも安い」
「Wincoはアメリカ西部で最高の小売企業」
「だれもWinCoの勢いを止められない」
「WalmartにとってWincoは最悪の悪夢である」

なぜか。
端的に言えば、
「安さ」「働きやすさ」の2点に絞られるだろう。

ウィンコの店内に入ると、まず目に映るのがこの壁。
winco-2
「Wall of Values」
巨大な棚に特売品がびっしりと並べられている。
まさに「特売品の壁」である。

そして、この商品たちは本当に安い。
天下のウェルマートよりも安い。

WinCoはどのようにして、この「安さ」を実現しているのか。
価格を下げる戦略として一番重要なのは、
中間業者を間にはさまず、
工場や農家から直接仕入れること。

まさに「利は元にあり」。

また、Wincoではクレジットカードは使えない
設備投資や無駄な経費を削減できるため、
その分、価格を抑えることができる。

日本では買ったものを
自分で袋詰めするのが当たり前。
しかし、アメリカでは通常、
袋詰めまでしてくれるのがレジサービスの一環。
サッカーサービスは当然のこと。

その点で、WinCoは日本流。
お客に袋詰めをしてもらうことによって、人件費を削減。

店づくりはノンフリルでいたってシンプル。

ここまでは「利は内にあり」。

品揃えはベーシック品に絞り込み、
単品量販を行っている。

これは「利は売りにあり」。

このように、
徹底した低コストオペレーションと単品大量販売を
実現していることが
安さの秘訣なのである。

もう一つのWinCoの大きな特徴は
従業員が働きやすい環境を整えているということ。

WinCoでは従業員が会社の全株式を保有。
つまり、「従業員持ち株制度」導入している。
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・採用から6カ月間で最低500時間勤務
・年間1000時間以上勤務
・年齢19歳以上
上記3つの条件をクリアすれば、
パートタイムでも正社員でも持ち株制度を利用できる。

さらに、健康保険や生命保険、
年金、有給休暇などの福利厚生制度が
他社と比べ、充実している。

従業員にとって「自分の会社」という意識が
芽生えるのも不思議ではない。
だから、店舗のクレンリネスも行き届き、
顧客に対するホスピタリティがある。

これがWinCoの強みなのである。

決め手は「利は人にあり」。


最後に朗報。
来年、テキサス州ダラス・フォートワース地区に
WinCoは2店舗出店を予定している。
ここは、商人舎USA視察研修会スペシャルコースの定番視察地。
しかもウォルマートが34.8%の高シェアを持つエリア。
近いうちにWinCoの力を結集した最新店とウォルマートの闘いを、
見ることができそうだ。

検索キーワード: アメリカ ウィンコ・フーズ ディスカウント ウェアハウス スーパーマーケット 持ち株

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