10月百貨店売上速報|前年の消費増税後の反動/高島屋全体売上高102.7%
主要百貨店4社の10月の売上高速報が発表された。既存店売上高は三越伊勢丹百貨店は前年比97.2%まで回復した。前年の消費増税直後の買い控えの反動が、売上げを押し上げる要因となったが、大丸松坂屋百貨店は59.9%、阪急阪神百貨店は63.7%、高島屋は64.3%と、依然として厳しい状況が続く。
(株)三越伊勢丹ホールディングス(東京都新宿区、杉江俊彦社長)の既存店は前年同月比97.2%。伊勢丹新宿本店の店頭売上げは前年比101.0%、日本橋本店店頭売上げは104.2%だった。
大都市圏の店舗を中心にラグジュアリーブランドや宝飾・時計等の高額品が堅調に推移し、国内百貨店(既存店計)の売上げは前年並みを確保した。
伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店では、ロイヤリティの高いお客を中心に宝飾・時計など高額品への購買意欲が高まり、客単価は前年を大きく超えた。また、家の中での生活を充実させるニーズの高まりで、クリスマスケーキやおせちの予約販売が好調に推移している。
J.フロントリテイリング(株)(東京都中央区、山本良一社長)は、(株)大丸松坂屋百貨店が前年同月比96.3%。博多大丸、高知大丸を含む百貨店事業全体では93.8%。外商顧客向け催事の強化などでラグジュアリーブランドが対前年2割増、美呉宝(美:美術品、呉:呉服、宝:宝石)が4割増となった。
エイチ・ツー・オーリテイング(株)(大阪市北区、荒木直也社長)の(株)阪急阪神百貨店(大阪市北区、山口俊比古社長)は前年比97.2%。阪急本店が前年比98.9%、阪神梅田本店が89.6%だった。
物産催事や海外フェアなどの再開に加えて「Go To トラベル」キャンペーンの後押しもあり、両本店の来店客数が徐々に回復している。売上げは、前年が消費増税直後の落ち込みや台風の影響で、前年対比97%と上振れ。インバウンドを除く国内売上一昨年対比も91%と回復基調だ。
阪神梅田本店は、建て替え工事により9階と地下1階の一部を閉鎖している。人気のワイン催事を試飲のみで開催し販売はEC限定にするなど、安全・安心を意識した新しい取り組みにも挑戦した。その他、EC売上は受注ベースで前年の約2倍と高伸している。
(株)高島屋(大阪府大阪市、村田善郎社長)の10月度店頭売上高は、高島屋単体の11店舗で既存店前年比101.9%、国内百貨店子会社3社を加えると前年比101.0%となり、全体では前年比102.7%。10月は外出を控える動きは引き続き継続している一方で、前年は消費増税の駆け込み需要の反動があった影響などにより、13カ月ぶりに前年を上回った。