9月百貨店売上速報|4社とも大幅に前年クリア/前年反動増と高額品好調
主要百貨店4社が9月の売上高速報を発表した。既存店売上高は三越伊勢丹百貨店は前年比130.2%、大丸松坂屋百貨店は122.4%、阪急阪神百貨店は136.1%、高島屋は120.1%だった。4社とも大幅に伸長した。
(株)三越伊勢丹ホールディングス(東京都新宿区、細谷敏幸社長)の総売上高は、前年同月比130.2%。伊勢丹新宿本店の店頭売上げは前年比134.7%、日本橋本店は131.0%、銀座店は132.9%、立川店は111.7%、浦和店は109.1%と好調だった。
9月は新型コロナウイルス感染拡大の影響は限定的で、高額品への購買意欲が高く、売上前年比は国内百貨店計で122.8%だった。とくに、伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店では増税前の大きな駆け込み需要があった2019年実績には届かなかったものの、2018年実績を大きく上回り、引き続き売上げを牽引している。
伊勢丹新宿本店・三越日本橋本店では、引き続き高付加価値な商品への購買意欲が高く、宝飾・ハンドバッグに加え、ラグジュアリーブランドや、デザイナーズブランドを中心に秋冬アイテム(婦人ではコートなどの重衣料やショートブーツ、紳士ではトップスなどの軽衣料)も好調に推移している。また、お得意様向けのイベントや外国展も好調に推移し、売上げを押し上げた。
免税売上げは、入国制限の規制がさらに緩和されたこともあり、回復基調がより強まり、国内百貨店計で前年実績を上回った。
J.フロントリテイリング(株)(東京都中央区、好本達也社長)は、大丸松坂屋百貨店合計が既存店前年同月比122.4%。博多大丸、高知大丸を含む百貨店事業全体では121.8%。
9月は、台風による臨時休業や営業時間短縮などの影響があったものの、前年の反動増に加え、ラグジュアリーブランド、宝飾品などが好調だった。
大丸松坂屋百貨店合計の免税売上高(既存店)は対前年418.9%増(客数同586.6%増、客単価同24.4%減)だった。
エイチ・ツー・オーリテイリング(株)(大阪市北区、荒木直也社長)の(株)阪急阪神百貨店(大阪市北区、山口俊比古社長)は、既存店前年同月比136.1%。阪急本店では135.4%、阪神梅田本店が348.2%だった。
前年の反動もあり、売上高は約4割増と前年実績を大幅に上回った。都心店の売上高が前年の約5割増と好調で、なかでも、8月末にモード売場がオープン、化粧品売場がリニューアルした神戸阪急が高い伸びを示した。
インバウンドを除く国内売上高の2019年対比は103%とコロナ前水準を上回った。なかでも阪急本店の2018年対比は105%(同国内売上高対比106%)、阪神梅田本店は109%(同110%)と実績を大きく上回った。
(株)高島屋(大阪府大阪市、村田善郎社長)の店頭売上高は、高島屋単体の11店舗で既存店前年同月比120.3%、国内百貨店子会社3社を加えると前年比120.1%だった。全店が前年実績を上回った。
9月度の店頭売上げは、前年の反動に加え、高額品が好調だったことから、前年をクリアした。ただし、2019年比では同年10月の消費増税前の駆け込み需要の影響を受け74.7%で及ばず。
商品別売上げでは、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、呉服、子供情報ホビー、スポーツ、リビング、美術、食料品、食堂が前年実績を上回った。