注目のヤオコー 2014年3月期中間決算発表

6月に大型旗艦店「東大和店」をオープンしたヤオコー。その2014年3月期中間決算が昨5日、発表された。

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2014 年3月期上半期の実績は、営業収益(売上高と営業収入の合計)1317億1300万円(前年同期比7.3%増)、売上総利益(粗利益)356億6300万 円(同7.0%増)、営業利益63億4300万円(同1.2%)、経常利益62億8400万円(同1.8%増)、四半期純利益37億7000万円(同1.8%増)だった。

 

昨年度から買上げ点数の上昇が続いており、また6月からは原則として全店で開店時間を10時から9時30分に繰り上げたことが寄与して、上半期の既存店売上高は当初計画を上回る前期比1.0%の伸びとなった。

 

利益面では、今年1月から全店でエブリデー・ロープライス(EDLP)を実施している影響や、デリ部門で粗利益率の低下がみられたものの、各店各部門での経費コントロールの細かい積み重ねによって経常増益を確保した。

 

この結果、期初の増収減益予想から連結・単体ともに増収増益となった。

 

経営指標は売上高売上総利益率(粗利益率)28.3%、売上高販管費率(経費率)27.9%、売上高営業利益率5.0%、売上高経常利益率5.0%。

 

決算説明会の説明者は川野澄人社長。上半期を振り返り、「4月1日に社長に就任してから新店の開店が続き、その準備に追われたという印象。下期に入った先月10月も3店舗をオープンした」と語った。

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また、景気の現状については、「アベノミクスで百貨店では高額商品の消費が上向くなど一部では国内景気の持ち直しの兆しもあるが、お客様の低価格志向・節約志向は大きく変わっていない」との認識を示した。その上で、「さらにスーパーマーケット業界は業態の垣根を超えた競争が激化しており、消費税増税も控えますます厳しさを増している」と語り、気を引き締めた。

 

2012年4月~2015年3月までの「第7次中期経営計画」のスローガンは “チェーンとして明らかに差をつける”。

これは商人舎の言う「アウトスタンディング」そのもの。

 

その中計の最終目標は、売上高2690億円、経常利益117億円、売上高経常利益率4.3%、店舗数141店を達成すること。ちなみに2013年3月期は売上高2373億円、経常利益108億円、売上高経常利益率4.6%、店舗数123店。

 

今期は中計3カ年のちょうど中間の年度。そして、その中間決算だからまさに「折り返し地点」と言える。

 

さて、その今期の基本方針は①ヤングファミリー層の支持獲得、②商品開発・育成の強化、③筋肉質な企業体質の実現だ。

 

まず、ターゲットとするヤングファミリー層のロイヤルカスタマー化については、昨年1月に導入したFSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)である「ヤオコーカード」を活用。前期は1年をかけてデータ分析やターゲット・マーケティングのためのシステムやインフラ整備に努めた。「FSPデータを使うことで、ターゲットを絞り込んだキメの細かい取り組みが可能になってきた」(川野社長)。

 

今年3月末に126万人だった会員数は9月末で138万になり、この半年で12万人増加。ヤオコーではヤングファミリー層を49歳以下の子育て世代と定義しており、現在、ヤオコーカード全会員の3割強に当たる40万人以上がヤングファミリー層だ。また、2013年3月に72.1%だった会員売上比率は、9月末に1.2ポイント増えて73.3%まで上昇した。現在の推移から今期末には75%程度になる見込みで、最終的には8割までこの比率を上げたい考えだ。

 

商品開発では、東大和店のオープンに合わせて集客の核となる「名物商品」の開発に取り組んだが、川野社長は「競合各社に差をつけることができていない。セブン&アイ・ホールディングスをはじめとする先進企業とはむしろ差が開いてしまった」と説明。主力商品は2倍売れる商品づくり、サブメイン商品では10倍売れる商品づくりを目標に商品開発力の強化を進める。

 

また、9月から販売を開始したライフコーポレーションとの共同開発プライベートブランド(PB)「star select」については、1アイテム1億円の売上げを目標に今後も取り組みを進める。トイレットペーパーでは2ケタに近い利益率の改善があった。

 

筋肉質な企業体質の実現に向けては、何よりも生産性の向上に取り組んでいる。開店までの朝一作業の見直しや、一部商品のアウトパック化、グロサリーの自動発注システムの全店導入などでマンアワー(MH)を捻出。モデル店舗では朝一作業時間が15.5MHから11.0MHに削減された。浮いたMHをより付加価値の高い業務や意思を入れた売場づくりに投入している。

 

さらに、10月16日に開店した埼玉県の「戸田駅前店」では「人事制度改革プロジェクト」と連動した柔軟な雇用体系を導入した。具体的には、「あるべき作業割り当て」を基準に考え、採用の面接時にメンバーの希望する労働時間に合わせてMHを投入するフレキシブルなものにしている。

 

中計の達成に向かって着実に歩を進めるヤオコー。今期は過去最大となる10店舗の新規出店を行うが、来期はこれを超える新規出店を計画する。埼玉以南への「南下政策」を継続して、来期以降も年間10店以上の店舗成長を目指す考えだ。

 

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