J.フロントnews|売上高8753億円(13.8%増)・営業利益94億円の増収増益
J.フロントリテイリング(株)(東京都中央区、山本良一社長)が、2022年2月期の本決算を発表した。
2021年3月1日~2022年2月8日の業績は、総額売上高は8752億8100万円(前期比 13.8%増)、売上収益3314億8400万円(前期比3.9%増)、営業利益93億8000万円(前期は242億6500万円の損失)、純利益43億2100万円(前期は261億9300万円の損失)となった。
売上収益は、前期の百貨店・パルコでの店舗休業や時短営業の反動増で、前期を上回った。利益面でも、年度を通じて投資抑制や経費削減に努めた結果、回復傾向にある。
今期は、サステナビリティを経営の中核に据え、2030年の目指す企業像に向けて新たな中期経営計画をスタートさせた。この中期経営計画は、①経営数値においてコロナ禍前の2019年度水準への「完全復活」を果たすとともに、②2024年度以降の「再成長」に着手する期間と位置づける。
デジタル活用においては、百貨店・パルコでのアプリ会員数拡大など顧客接点のデジタル化の推進、またオンラインを活用したビジネス拡大に向けて、コスメやアートなどリアル店舗を起点とした独自のOMO(リアル店舗とオンラインの融合)の開発に取り組んだ。
また、オンラインを活用したCSV(共通価値の創造)視点の事業活動として、ファッションサブスクリプションに新規参入した。
百貨店事業の売上収益は1907億3900万円(9.7%増)。営業利益は構造改革関連費用の計上により、45億9400万円の営業損失となったものの、前期(営業損失207億8500万円)から改善した。
店舗の魅力化に向け、基幹店を中心に重点カテゴリーの拡充やお得意様ラウンジの構築などの改装を実施したほか、各地域に密着した新たな店づくりに向けて、3月に大丸須磨店、7月に松坂屋高槻店をリニューアルオープンした。
大丸東京店ではD2Cブランドのショールーミングスペース「明日見世(asumise)」をオープンするなど新規コンテンツの開発を推進した。なお、松坂屋豊田店は9月に営業を終了した。
SC事業の売上収益は525億5600万円(5.2%減)、営業利益20億5500万円(前年は69億6800万円の営業損失)。店舗事業は増収だったが、6月に専門店事業のヌーヴ・エイの全株式を譲渡した影響により、減収となった。営業利益は前期の店舗閉鎖関連費用の反動により、大幅増益となった。
店舗のリブランディングでは、浦和PARCO、仙台PARCO、福岡PARCOなど基幹店を中心に改装を実施したほか、渋谷PARCOではラグジュアリーブランドとの独自性の高いポップアップストアを積極的に展開した。
ウェルネス領域の新規事業として医療モールの開発・運営事業に参入し、新しいコンセプトの医療ウェルネスモール「Welpa(ウェルパ)」の1号店を、11月に心斎橋PARCOに開業した。
デベロッパー事業の売上収益は506億3300万円(5.9%減)、営業利益は47億1100万円(137.7%増)。休業に伴う賃料減免措置、建築内装工事での特需の反動減や受注工期の延期見直しにより減収となった。営業利益は固定資産売却益を計上したことで137.7%増の47億1100万円となった。
前期に実施した不動産事業のパルコへの集約をふまえ、3月に松坂屋流通センター跡地での商業施設の開業や商業以外の多用途な開発、非事業用資産の売却など既存物件の活用を推進した。7月には熊本市中心部の新規ビル(旧熊本PARCO建て替え物件)への出店を決定した。
次期は、総額売上高1兆0200億円(16.5%増)、売上収益3700億円(11.6%増)、営業利益210億円(123.9%増)、税引前利益175億円(182.7%増)、当期純利益115億円(166.1%増)を見込む。