J.フロントnews|第1Q売上高819億円/前年店舗休業等の反動で大幅増収増益

J.フロントリテイング(株)(東京都中央区、好本達也社長)が2023年2月期第1四半期の連結決算を発表した。

3月1日から5月31日までの連結業績は、売上収益819億0500万円(前年同期比10.5%増)、営業利益75億6000万円(前年同期は営業損失38億1900万円)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は59億7400万円(前年同期は四半期損失30億6200万円)だった。

前年の店舗休業等の反動影響も加わり、売上収益は大幅増収、営業利益は前年の休業に伴う費用および(株)ヌーヴ・エイの株式譲渡に伴う損失計上などの反動もあり大幅増益となった。

 

同社は、中期経営計画の2年目となる2022年度を、中期経営計画で掲げるコロナ禍からの「完全復活」への足取りを確かなものとし、また2024年度以降の「再成長」に向け、攻めの経営に転じる「ギア・チェンジ」の年度と位置づけている。

具体的には、3つの重点戦略・施策を着実に成果に結びつける。「リアル×デジタル戦略」では、中核事業の百貨店事業でデジタル技術を活用したオンラインビジネスの高度化やマーケット変化に対応した大型改装、SC事業では旗艦店舗での大型リニューアルを計画・実行した。

「デベロッパー戦略」では、保有不動産の最大活用と不動産ポートフォリオの拡大を目的としたレジデンス事業への新規参入、また名古屋栄地区に加え、大阪心斎橋地区におけるエリア最大級の複合開発を推進している。

「プライムライフ戦略」では、堅調な富裕層マーケットに対応したコンテンツの拡充、国内外の富裕層マーケットに向けた新規施策の企画立案を進めている。

さらに、今年度より持株会社である同社においてグループ戦略の立案、推進体制を強化した。具体的には、2030年を見据え事業ポートフォリオ変革に向けた計画を立案・実行する「事業ポートフォリオ変革推進部」、グループ保有不動産の価値最大化に向けた戦略を推進する「CRE企画部」、また顧客データベースの統合活用など顧客政策を推進する「デジタル推進部」を新設した。

これらにより、全体最適・シナジー追求の観点から、各事業会社や他社との連携強化による重点戦略の拡張、CSV視点の新規事業領域の検討、経営資源の重点配分による戦略具現化にスピードを上げて取り組んでいく。

大丸や松坂屋の百貨店事業は、売上収益488億1200万円(22.9%増)、営業利益22億6300万円(前年同期は営業損失39億7900万円)だった。

各地域での人流回復に加え、各店での改装効果や集客催事等の実施、また前年の店舗休業等の反動もあり、入店客数・総額売上高ともに大きく改善した。

重点戦略にもとづき、大丸・松坂屋アプリを基軸とした顧客接点のデジタル化の取り組みを推進した。これらの活用により、時間や場所などの制約を越え、メディアを通じた情報発信など顧客コミュニケーションの進化を図っていく。あわせて、オンライン活用ビジネスの高度化に向け、大丸松坂屋オンラインストアをリプレイスしたほか、リアル店舗や人財など百貨店の強みを活かしたコスメのメディアコマース「DEPACO」をローンチした。

リアル店舗の魅力化への取り組みでは、神戸店など基幹店での主力カテゴリーの強化に加え、高知大丸では32年ぶり、静岡店では25年ぶりに大型改装を実施した。

パルコ事業は、売上収益131億8100万円(4.4%減)、営業利益28億8000万円(前年同期は営業損失9億5500万円)だった。

旗艦店を中心とした戦略改装や新規の大型プロモーションによる集客効果に加え、前年の店舗休業等による反動もあり、入店客数・テナント取扱高は大幅に改善した。一方、前年同期比では、前年6月の(株)ヌーヴ・エイの株式譲渡に伴う影響により減収となった。

時代変化やコロナ禍における生活スタイルの変化を見据え、重点戦略にもとづく旗艦店を中心とした大型改装を推進している。なかでも店舗構造改装計画の一環として、池袋PARCOでは駅直結部となるグランドフロア改編やエリアとの親和性の高いコンテンツの拡充、名古屋PARCOではジェンダーレス、エイジレスをキーワードとした大規模改装を実施するなど、それぞれの店舗に変化感を持たせ、マーケットに対する店舗のイメージを一新した。

不動産事業は、売上収益133億4500万円(14.6%増)、営業利益10億3400万円(18.1%増)だった。

同社グループの保有不動産の最大活用と不動産ポートフォリオの拡大に向けた重点戦略を推進した。具体的には、名古屋栄地区での「(仮称)錦三丁目25番街区計画」に加え、新たに大阪心斎橋地区のランドマークとなるエリア最大級の複合施設「(仮称)心斎橋プロジェクト」に参画し、開発を推進している。また、保有不動産の有効活用を目的に、レジデンス事業に新規参入した。

クレジット金融事業は、売上収益31億5400万円(35.1%増)、営業利益10億2500万円(前年同期は7500万円)だった。

年会費改定による増収効果に加え、百貨店事業及び外部加盟店でのカード取扱高が前年実績に対し大きく改善したことから大幅な増収となった。

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