イオンnews|営業収益9兆5536億円4.8%増/売上高・利益とも過去最高更新

イオン(株)(千葉市美浜区、吉田昭夫社長)の2024年2月期連結業績は、営業収益が9兆5535億5700万円(対前期比4.8%増)、営業利益が2508億2200万円(19.6%増)、経常利益が2374億7900万円(16.6%増)といずれも過去最高を更新した。当期純利益は446億9200万円(109.0%増)と大幅増益となった。2025年2月期は営業収益10兆円、営業利益2700億円、経常利益2600億円を計画している。

吉田昭夫社長は「2023年度の営業利益のうち、小売構成比は52.4%を占めて、中計の目標値を達成した。2019年度の34.4%から、小売事業の稼ぐ力が増した」と語った。また、次年度10兆円の売上げを達成することについて「これが目標ではなく、あくまで通過点」と語った。

すべてのセグメントが増収した。営業利益は、主力の小売事業を構成するGMS(総合スーパー)事業、SM(スーパーマーケット)事業、DS(ディスカウントストア)事業では、プライベートブランド(PB)のトップバリュを戦略の中心に据えた商品本位の改革やDXを活用した生産性向上のほか、収益構造改革を軸にしたコストコントロールにより増益となった。

また、ディベロッパー事業、サービス・専門店事業では、社会経済活動の正常化で客足の回復が進んだことから、増益となった。一方、営業債権残高に合わせて貸倒引当金繰入額が増加した総合金融事業のほか、各国のマクロ経済環境悪化の影響が顕著となっている国際事業と、コロナ対策関連商品の需要減の影響を受けたヘルス&ウエルネス事業が減益となった。

グループ共通戦略ではイオングループ中期経営計画(2021~2025年度)で掲げた5つの変革「デジタルシフトの加速と進化」「サプライチェーン発想での独自価値の創造」「新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化」「イオン生活圏の創造」「アジアシフトの更なる加速」を推進し、「環境・グリーン」の取り組みを進めている。

GMS事業は、営業収益兆3893億5000万円(103.7%)、営業利益283億5900万円(前期より142億6200万円の増益)となった。

中核会社のイオンリテール(株)は、「荒利益額の最大化」「ショッピングセンター収益改善」「デジタル売上げ拡大」を実行しながら、さまざまなコスト上昇に耐えうる経営基盤を構築すべく「収益構造改革」を加速した。その結果、増収を果たし、すべての段階利益において増益および損益改善となった。

人流が回復し、集う機会が増加したことで食品に関しては、寿司・オードブルなどのごちそうメニューや、帰省の手土産品などが好調に推移した一方で、節約志向のベストプライスを中心としたPBも好調に推移し、消費の二極化に対応した。荒利益額の最大化に向けては、成長カテゴリーの売場拡大を進め、特に食品・H&BC(ヘルス&ビューティケア)が牽引した。

衣料では、商品そのもの、ビジュアルマーチャンダイジング(VMD) を活用した売場環境、オペレーションを包括的に刷新して接客を強化する「専門店モデル」によって粗利益率が上昇した。

住居余暇では、PBのHOME COORDYを一新した。売場変革と接客強化によって収益性が高まった。

デジタル領域は、まずネットスーパーの規模が拡大した。ECのイオンショップやイオンスタイルオンラインにおいて実店舗と連動した「イオン ブラックフライデー」「BUZZTTO SALE(バズっとセール)」などの施策強化に取り組んだ。そして過去最高の売上高を達成した。

収益構造改革は、店舗・本社の経費削減とデジタルを活用した生産性改善の両輪を推進した。

SM事業は、営業収益2兆7821億7100万円(105.3%)、営業利益419 億1100万円(前期より190億6700万円の増益)となった。ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(株)(U.S.M.H)は3カ年の中期経営計画に着手している。①商品と店舗変革による店舗収益の拡大、②OMO(Online Merges with Offline)による店舗外収益の拡大、③保有する知的財産を活用したビジネス領域の拡大である。

DS事業は営業収益4004億2800万円(104.4%)、営業利益84億8900万円(前期より48億0600万円の増益)となった。EDLP(Everyday Low Price)戦略の採用によって定番商品やDS専用PBが好調に推移した。単位当たりの安さを追求したケース販売と大容量商品の訴求によって、客単価が上昇した。

店舗作業の削減と省力化による投入人時の削減に取り組むなど、ローコストオペレーションを確立したDSフォーマットの構築に力を入れた。そのほかにはiAEONやAEON Payの活用によって、顧客の利便性向上に取り組んだ。

ヘルス&ウエルネス事業は、営業収益1兆2351億1500万円(107.4%)、営業利益426億円(22億2700万円の減益)となった。ウエルシアホールディングスおよび同社連結子会社では、新型コロナウイルス感染症対策関連商品や検査キットに対する需要が減少した一方で、各国の行動規制緩和を受けたインバウンド需要の回復が見られた。

物販部門は総合感冒薬などの医薬品が伸びた。外出需要の増加を背景に化粧品の売上げも増加した。オリジナルPB「からだWelcia」「くらしWelcia」の開発が進み、これらにイオン全体のPBトップバリュを含めて、拡販に取り組んだ。

調剤部門は、調剤併設店舗数の増加(期末国内外計2159店舗)や医療機関受診頻度の回復によって、処方箋受付枚数が増加した。またWAON POINTサービスを全国の店舗に導入した結果、同社のポイント会員であるウエルシアメンバーが期末で 1072 万人となった。移動販売車「うえたん号」の稼働は期末で17台まで増加し、2024年1月の能登半島地震被災地域でも臨時運行した。

総合金融事業は、営業収益4835億0200万円(106.3%)、営業利益512億3100万円(前期より78億1400万円の減益)となった。イオンフィナンシャルサービス(株)では国内および海外でグループ共通ポイントを活用した利便性の向上、モバイルサービスの拡充、新規事業の創出などに取り組んだ。国内では、総合金融窓口としてスマホアプリ「イオンウォレット」のリニューアルを図った。AEON Payの機能拡充および利用可能場所の増加にも取り組んだ。

(株)イオン銀行の預金口座数は858万口座(期首差30万口座増)、国内カード有効会員数は3149万名(期首差67万名増)、カードショッピング取扱高は7兆814億8200万円(108.5%)と堅調に推移した。

ディベロッパー事業は、営業収益4683億4200万円(105.6%)、営業利益473億4800万円(前期より21億0600万円の増益)となった。

サービス・専門店事業は、営業収益7974億9100万円(104.2%)、営業利益172億 8400万円(前期より70億1300万円の増益)となった。主な事業会社ではイオンディライト(株)が全7事業で増収となり、中でも省エネ関連工事や改装・修繕工事の受託を拡大した建設施工事業、ならびに各種資材の受注を拡大した資材関連事業が2桁成長となった。

国際事業(連結対象期間は主として1月から12月)は、営業収益5087億4100万円(102.3%)、営業利益103億7200万円(前期より24億8600万円の減益)となった。アセアン諸国ではウクライナ・ロシア情勢や米中経済摩擦などが年間を通じて影響した結果、各国のGDP成長率は当初想定から大きく下落した。タイでは3年ぶりにCPIがマイナスとなった。イオンマレーシアでは顧客の生活ニーズ対応に注力した結果として食品の粗利益高が昨年より改善した。

また、テナント入居率が向上し、ショッピングセンター収入に対する営業利益率が改善した。AEONVIETNAM CO.,LTD.は、生活必需品のトップバリュ商品を年間で230品目追加したことで食品売上高が大きく伸長した。非食品は製造小売り化を進めた。SPAを推進する衣料品ではPBのMY CLOSET、住居余暇でも同じくHOME COORDYの各店舗への拡大を図った。商品の開発、生産双方の現地化によって事業拡大を進めている。

中国は、厳格なゼロコロナ政策下の2022年からの反動が期待されたものの、消費の低迷や不動産不況など困難な環境が続いている。

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