ファーストリテイリング2014年8月期決算1兆3829億円/21%増の増収減益で日本第4位に
㈱ファーストリテイリングの2014年8月期の連結決算が今日9日に発表された。
売上高1兆3829億円(前年同期比21.0%増)、営業利益は1304億円(同2.8%減)、当期利益は793億円(同26.2%減)、当期利益は745億円(同28.7%減)。
結果は、増収減益。
今期の営業利益が減益となった要因は、12年に買収した「J Brand」事業において減損損失193億円、店舗の減損損失46億円を計上したため。さらに当期利益では、金融収益が前期の222億円から今期は60億円に減少したことにより減益幅が拡大した。
ただしユニクロ事業は、国内ユニクロ、海外ユニクロともに増収増益。
国内ユニクロ事業の売上高は7156億円(同4.7%増)、営業利益は1063億円(同11.6%増)。
既存店売上高が1.9%増収となったこと、スクラップ&ビルドによる店舗の大型化で1店舗当たりの売上収益が増加したことが増収増益につながった。
8月期末の国内ユニクロの直営店舗数は831店舗(フランチャイズ店21店舗除く)。
ただし客単価が4.5%増ながら客数は2.4%減。客数減はやや厳しい。
商品面では、春夏のコア商品や新商品の販売が好調だった。
今やユニクロの客数、客単価は、日本の衣料品販売のトレンドを示している。
各社ともユニクロとの比較をして、自分の状態を確認することができる。
海外ユニクロ事業は、営業収益4136億円(同64.7%増)、営業利益329億円(同165.1%増)と、大幅な増収増益。
とくにグレーターチャイナ(中国・香港・台湾)、韓国、欧州は、既存店売上高が好調に推移。海外ユニクロ事業全体の8月期末の店舗数は、前年同期末比187店舗増の633店舗と、出店スピードを加速させている。
グレーターチャイナの店舗数は374店舗、韓国133店舗、東南アジア・オセアニア地区は80店舗。この中で、今年4月にはオーストラリアのメルボルンへ初出店。
一方、欧州事業(英国・フランス・ロシア・ドイツ)も順調で増収増益。4月にドイツへ初出店したベルリンのグローバル旗艦店も順調な売上げを達成している。
ただし米国事業は、上期の業績が好調だったが、下期は冷夏の影響と新規出店の前倒しによる経費増で、赤字幅はほぼ前年並み。
アメリカの競争の厳しさが浮き上がった観がある。
グローバルブランド事業は、売上高2512億円(同21.8%増)、営業損失は41億円と増収減益。
減益はJ Brand事業の赤字継続が主な要因。
ジーユー事業は増収減益。下期は販売が苦戦し、在庫処分による値引き販売が増えたためだ。
セオリー事業は増収、営業利益は若干の減益。
コントワー・デ・コトニエ事業は増収増益、プリンセス タム・タム事業は増収減益。
中期ビジョンに「世界No.1 アパレル製造小売グループとなる」「グループ売上高5兆円、営業利益1兆円」を掲げるファーストリテイリング。
「グローバル化、グループ化、再ベンチャー化」を進め、世界主要都市にユニクロのグローバル旗艦店・繁盛店、大型店を出店する一方、事業全てを統合する「グローバルワン」の経営体制を推進するための東京、ニューヨーク、パリ、上海、シンガポールを拠点とする各本部機能を強化する。
今期2015年8月期の連結業績予想は、売上高1兆6000億円(前期比15.7%増)、営業利益は1800億円(38.0%増)、税引前利益1800億円(同32.9%増)、当期利益は1080億円(同36.1%増)。
国内ユニクロ事業は既存店売上高約3.5%増、海外事業は200店を出店し、大幅増益を見込む。
世界のアパレルチェーンでは第4位。スペインのZARA、スウェーデンのH&M、そしてアメリカのGAPに続くが、GAPの2014年1月期決算年商が161億4800万ドルだから、来季のファーストリテイリングの予算1兆6000億円で肩を並べることになる。
2014年2月・3月期の日本小売業ランキングニコの年商を組み入れて順位付けると、7位だったファーストリテイリングはユニーグループホールディングス、Jフロントリテイリング、そして三越伊勢丹ホールディングスを抜いて、第4位に入る。
歴史的に見るとダイエーが三越を追い抜いたのが、1972年だが、2014年にファーストリテイリングは三越伊勢丹を抜くことになる。
感慨深い。
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