セブン-イレブンの6月販促キャンペーンは nanacoカードとセブンプレミアム

セブン-イレブンの販促キャンペーンが変わってきている。

ゴールデンウィークなどの連休に実施する「おにぎり100円セール」はプロモーションの常套手段だが、ここにきて目立つのがnanacoカードとセブンプレミアムの販促だ。

 

1つは6月1日(月)から7月3日(金)まで実施される「nanacoでお得キャンペーン」。
対象商品をnanacoカードで購入すると、商品に応じて10ポイントから200ポイントのボーナスポイントを付与する。商品は食品、菓子、ドリンク、雑貨など。カード会員の特典キャンペーンであり、新規カード会員を獲得するための販促手段でもある。

 

もう1つは、6月15日から7月31日までの期間限定でスタートした「nanacoでセブンのプレミアム<ゴールド含む>お惣菜・冷凍食品を期間内に5個買うと(対象のプレミアム商品)1個もらえる」キャンペーン。
惣菜は冷蔵ケース内で販売されるセブンプレミアム商品でトレー入り惣菜は対象外。

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1個買い上げごとにレシートにnanacoマークが印字され、5個目に商品引換券が発行される。一度に5個購入しなくても、期間中に5個を購入すれば対象となる。

 

これまたnanacoカード会員向けの特典付きの販促であり、新規会員獲得のための販促だ。
さらにプライベート商品のセブンプレミアムを拡販するためのプロモーションになっている。

6月はとくにイベントや行事が少ない時期だから、各社のプロモーションは独自の企画が求められる。
だからセブン-イレブンはnanacoカード会員だけにセグメントした販促を連発している。
しかし、カード会員だけに特典を与えるこの販促手法はどうなのか。企業サイドはロイヤルカスタマー獲得のためのカード戦略、顧客囲い込みのCRMと位置付けているのだろうが、nanacoカードを持たないお客は、キャンペーンに参加できない。参加したければカードを持てばよい。これを「顧客識別戦略」と称する。

アメリカではクラブカードが全盛で、クローガーもセーフウェイも、そしてウェグマンズなども、カードを発行して顧客を囲い込もうとしている。店頭のプライスカードは、一般客のレギュラー価格と、カード会員割引価格の二重表記。しかしお客はクローガーのカードとセーフウェイのカードをしっかり持っていて使い分ける。もちろんカード枚数は増えるが、それ以外の店舗のカードも当然持っている。こうなると、クラブカードの効用はどこまであるのか疑問だ。
なにより二重価格は印象が悪すぎる。それはアメリカ視察をするとよくわかる。

ただしクローガーはダンハンビーUSAというマーケティング会社にこのカードの分析を徹底させ、ロイヤルティプログラムを展開して、45四半期既存店増収という大きな成果を上げている。一方、セーフウェイは、それができずに単なる店頭販促に終始して、結局、投資会社サーベラスに買収されてしまった。

現代小売業の企業戦略の決定的な相違となっているが、EDLPを掲げるウォルマートやトレーダー・ジョー、ウィンコフーズはクラブカードは発行していない。そして絶好調のホールフーズも。ただしウォルマートのトップは、FSP戦略を採用するというニュアンスの発言をしている。

nanacoカードを使って、セブンプレミアムの販促に傾斜するセブン-イレブン。セブン&アイ・ホールディングスグループの強みを生かした6月の販促ではある。カード戦略ならばFSPやCRMに向かうのが当然の帰結だろうが、いまのところ販促と顧客囲い込みに活用している。いつ、分析に入るのか。それが最大の関心事ではある。

 

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