4月24日リニューアルオープンのダイエー新さっぽろ店の成果

イオン岡田元也社長の発言が波紋を呼んでいる。
私は、実にいい考え方で、ダイエーの再生はこれしかないと思うくらいだ。
「ダイエーは縮小ではなく、スーパーの中心として成長させる」
つまり、「関西と関東に経営資源を集中」させ、イオンの「スーパー事業全体を引っ張る存在にしたい」。

昨日、日経新聞のインタビューに答えたが、その後、株主総会で同様の趣旨の発言をした。
「旧イオン、旧ダイエーという境目をなくし、合理的な企業集団に再編する」

このプロセスで、北海道や九州のダイエー店舗はイオンに移管される。
従って、この4月24にリニューアルオープンした新さっぽろ店もやがてイオン北海道の店舗となる。

しかしその新さっぽろ店は今、ダイエーの店。
そこに昨年12月20日にオープンしたイオン幕張新都心の店のノウハウが、
これでもかと導入された。

今年度のダイエーにとって新さっぽろ店のリニューアルは、
最初の既存店大規模活性化のケーススタディで、これが大型店舗のモデルとなる。

3層の古い店舗で、売場面積は2996坪。直営売場が2909坪で専門店のテナント売場が92坪。

マーチャンダイジングのリニューアルポイントは、4点ある。
第1が、「簡単・便利」ニーズに対応するために”中食カテゴリー”を強化したこと。

そのために惣菜など「中食売場」のスペースをリニューアル前の1.6倍にし、
アイテム数は1900品目まで拡大した。これは1.5倍。

さらに少量・適量ニーズに応えるために量り売り惣菜を進化させた。
揚げ物やサラダといった定番メニューだけでなく、
煮込みハンバーグ、パスタなどを加え、 約５０品目で展開。

それ以外にも、約10品目の｢100円均一惣菜」、約15品目の「ドーナツ・揚げパン」、
約30品目の「カットフルーツ」などを導入。

さらに開発商品の「フライパン・電子レンジ調理商品」「カット野菜」など、
簡単・便利ニーズ対応商品も拡大された。

一方、冷凍食品売場は約2倍のスペースで、品揃えは約650品目で約1.8倍。
ダイエーの北海道内店舗最大規模で展開。

第2のポイントも食品売場だが、道内産の生鮮食品や日配品、ワインなどの充実だ。
青果部門はもともとダイエーは、イオン本体よりも強いくらいだ。

畜産では「東原ファーム」の牛肉。これは、生産から出荷まで一貫生産した商材。

海産部門では、小樽・函館・札幌の各市場から仕入れた魚を店内で加工した干物などが目立つ。

さらに約20種類の北海道産ナチュラルチーズ。
ラーメンは道内有名ラーメン店10店舗の21種類の生ラーメンを品揃え。

北海道産ワインを含む約60品目の国産ワインを中心に、
従来の約1.8の400品目以上の品揃え。

ワイン売場に関連させて、生ハム・チーズなどワインに合う洋風オードブル、
さらにバケット、カンパーニュなどのハード系パンを扱う。

ベーカリーは、道産原料を使う1949年創業の老舗「京田のパン」を約30品目導入。
この部門では、同社の札幌市内工場から毎日、焼きたてパンを直送。

そして第3に、非食品ではテーマ・ターゲットを明確にした専門性の高い商品・売場を拡大。

1階のシューズ専門店『グリーンボックス』、
2階の文具のディスカウント専門店『ぶんぐのまち』。
最近充実しているイオングループ専門店が導入されて、総合力を活かす構成だ。

さらにこれもイオンの得意分野となったマットレス・枕などの快眠寝具を品揃えし、
そこには寝心地体験コーナーを配置。
“健康に欠かせない快適な睡眠”をサポートする『快眠寝具』コーナーを展開。

服飾雑貨売場は約1.2倍に拡大。

トラベル関連商品や帽子を強化。
衣料品売場全体で、旅行、おでかけ、ビジネスといったTPOS別のライフスタイルアソートメントを展開し、それらをビジュアルマーチャンダイジングのもと、コーディネート提案している。

そして第4は、各種サービスの強化。
住まいや暮らしのソリューション・サービスの 『暮らしのサポートカウンター』を開設。
これは北海道内の店舗で初めての試みだ。

そして1階フロアには、ダイエー新さっぽろ薬局を導入。
この調剤薬局は、スマートフォンでの調剤受付サービスを展開している。
スーパーマーケットの調剤薬局としては初めてチャレンジだ。

フロアの各所に、イオン葛西店のGGモールで成功したソファなど
くつろぎのスペースを設けている。

6月初旬には、新たにセルフチェックアウトレジを導入する予定。

さらにテナントもずいぶんよくなった。

生チョコレートのロイズのショップ。

ダイエーの店舗はとにかく、再投資がなされていなかった。
岡田社長発言にあるように、新さっぽろ店での改装効果がダイエーの再生につながる。
そしてその効果は確実に出ている。

〈結城義晴〉

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