イオン 11月にREIT上場し資金調達

イオンが大手小売企業としては初めて不動産投資信託(REIT)を上場する。

11月後半にも自社のショッピングセンター(SC)を組み入れたREITを、東京証券取引所に上場する予定だ。

日本経済新聞が3日の朝刊で伝えた。

 

REITとは、多数の投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産を購入して、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品のこと。だから、「不動産の証券化」ともいう。

 

イオンは自社で設立した「イオンリート投資法人」にグループ最大SC「イオンレイクタウン」など旗艦店を中心に15店舗強を売却し、賃借して運営を続ける。この中にはマレーシアのSCも含まれ、国内のREITとして初めて海外の物件を組み入れる。今後も物件の組み入れを増やして、将来的には5000億円規模の資金を調達する考えだ。

上場時の公募増資額は900億円程度。イオンの出資は一部になる見通しで、金融機関からの借入金と合わせて上場時に1700億円程度を調達する。

 

イオングループは中期経営計画(2011~2013年度)で「アジア」「大都市」「シニア」「デジタル」の4つの成長領域を策定。中でも、人口の増加が著しい東南アジアへのシフトを鮮明にする。

アセアン各国の2010年~2015年の人口(出生中位)は、シンガポールの2.02%を筆頭に、ラオス1.86%、カンボジア1.75%、フィリピン1.71%、マレーシア1.61%、ブルネイ1.35%、インドネシア1.21%と高い成長率が続く(国際連合の統計による)。

これに伴って、東南アジア主要5カ国の中間所得層も2011年の約2億7000万人から20年には4割も増えると考えられている。

 

成長市場のアジアでは、ウォルマートやテスコなど欧米の小売大手企業だけではなく、アジア企業もM&Aによる規模拡大を図っており、競争が激化している。イオンはこうした競争を勝ち抜くために、今後も積極的に東南アジアへの投資を進める必要がある。

イオンの2013年2月期連結決算によると、同社の有利子負債額は約1兆6000億円で有利子負債比率は111.2%。ライバルのセブン&アイ・ホールディングスは、同期末の有利子負債額が約8500億円とイオンの約半分で、有利子負債比率も42.8%となっている。イオンは、資産や負債を増やさずにスピーディーに資金を調達できるREITを活用する。

 

グローバル小売企業の競争は、経営資本であるヒト・モノ・カネをどこまで活用できるかを試される場でもある。

 

 

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