ストップ&ショップnews|世界最初のスーパーマーケット「キングカレン」買収

Supermarket Newsによると、ヨーロッパ資本のAhold Delhaize USA(アホールド・デレーズUSA)傘下の米国スーパーマーケットチェーンStop&Shop(ストップ&ショップ)が、ニューヨーク州ロングアイランドを中心に展開するローカルチェーンKing Kullen Grocery Co. Inc.(キングカレン)の買収を計画していることがわかった。


(画像出所:Supermarket News

ストップ&ショップによると、この取引にはキングカレン32店舗、オーガニックスーパーマーケットのWild by Nature(ワイルド・バイ・ネイチャー)5店舗、さらにニューヨーク州Bethpageに位置するキングカレンの本社オフィスが含まれるという。今のところ、買収金額は明らかにされていないが、2019年第1四半期中に取引を成立させる予定である。

ストップ&ショップのマーク・マクゴワン社長は、「キングカレンはロングアイランドで88年の長きにわたり、地域の支持を得てきた食料品チェーンです。優れた顧客サービスという伝統を持っています。私たちは、ナッソー郡やサフォーク郡(ロングアイランド東部エリア)に、より良い品質の商品、豊かな品揃えの選択肢、そして生活の価値をもたらすことを楽しみにしています」と述べている。

キングカレンは、スミソニアン学術協会によって認定されている「アメリカで最初のスーパーマーケット」である。伝統的なスーパーマーケット業態のほかに、ケータリング、デリ・ベーカリー・健康食品・オーガニック製品の販売、薬局などを展開している。オンラインショッピングにも対応している。

キングカレンは1995年にWild by Nature自然食品店のバナーを発表した。しかし、激しくなる一方の大型スーパーマーケットやオンラインリテイラーとの競争に打ち勝つことができず、年々店舗数が減少していた。

一方、ストップ&ショップは現在、ロングアイランドに51店舗を展開している。広報担当のジェニファー・ブローガン氏によると、現時点ではキングカレンのバナー転換や店舗閉鎖をする予定はないという。さらに、「私たちは、これから店舗を評価し、近い将来、なんらかの決定を下すでしょう。できるだけ多くのキングカレンの従業員を継続的に雇用することを約束します」と語っている。

最後に、キングカレンの共同会長であるブライアン・カレン氏は以下のように述べている。
「1930年、Michael J. Cullen(マイケル・カレン)はキングカレン1号店をオープンし、偉大なアメリカのスーパーマーケットの歴史に幕を開けました。私たちがつくり上げた伝統を誇りにし、長年にわたってサポートしてくれたすべての従業員やお客さまに深く感謝します。ストップ&ショップがこれからも伝統のサービスを継承してくれると確信しています」

【結城義晴の述懐】感慨深い買収の発表である。世界大恐慌の1929年の翌年、クローガー社のトレイニーだった若きマイケル・カレンが、独立して自らスーパーマーケットを開設した。それまではグロサリーストアの時代だったが、カレンは新しい「業態」を発明したのだった。その後、グロサリーストアの大チェーンを展開していたクローガーもセーフウェイもA&Pも、カレンの真似をして、次々にスーパーマーケットをつくっていった。そして既存のグロサリーストア大企業がスーパーマーケット業態を担っていった。それから90年近く経過した今、そのマイケル・カレンの企業が、ヨーロッパ外資に買収される。キングカレンの伝統の店名は残してほしいものだ。

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