ウォルマート第3四半期は増収減益、テコ入れはネイバーフッド・マーケットとEコマース
ウォルマートの2015年第3四半期は10月末締め。
第3四半期だけ見ると、売上げは伸びても減益。つまり増収減益。
ウォルマート全体では売上高は1180億7600万ドル(100円換算で11兆8076億円)、昨年同期比102.8%。営業利益が62億6500万ドル(6265億円)、99.3%。
売上げはプラス2.8%、利益はマイナス0.7%。
第3四半期までの累計売上高は3515億7900万ドル(35兆1579億円)、102.1%。
ウォルマートは決算上、3つの事業体を持つ。
その内訳。
第1に米国ウォルマートは、売上高が700億2500万ドル、昨対3.4%増。営業利益は49億3200万ドルで昨対1.2%のマイナス。
第2はウォルマート・インターナショナルで、売上高336億5900万ドル、1.7%増、営業利益は14億3000万ドル、3.7%増。
第3がメンバーシップホールセールクラブのサムズクラブで、売上高143億9200万ドル、2.3%増、営業利益は4億9300万ドル、12.0%増。
つまり国際部門、サムズクラブが増収増益で、米国内のスーパーセンターやネイバーフッドマーケットなど増収減益。こちらが利益面で未だ、足を引っ張っている状況。
セグメント別の既存店売上げは、ガソリン販売を除いて、米国ウォルマートが0.5%増、サムズ・クラブが0.4%増、全体では0.5%増。ただし、アメリカ国内の既存店売上げは0.5%増加しても、純利益は37億1100万ドルと0.7%減にある。
ウォルマートCEOのダグ・マクミロンの弁。
(写真はウォルマートの6月の株主総会でのダグ・マクミロンCEO/AP)
「われわれは1株あたりの利益を1.15ドル上げることができた。米国ウォルマートの既存店売上げがプラスとなった。とくにネイバーフッド・マーケットの既存店売上げが5.5%増加し、Eコマースは21.0%増加した。国際部門とサムズ・クラブの利益率も堅調だった」
したがって、今後の方針はこうなる。
「国内の人件費にもう少し金を使い、同時に電子コマースやモバイル機能などの主要分野に投資することで、ビジネス成長のチャンスを探している」
ウォルマートの価格競争力については、こうコメント。
「プライスリーダーであることは顧客に対してのコミットメントだ。これからの重要なホリデーシーズン商戦に店舗とEコマースの両面から全力を挙げる。顧客の『低価格で買う』という価値体験がウォルマートの成長には欠かせない」
ちなみに「カンター・リテール」というコンサルティング会社が3年前から毎年、ウォルマート、ウォルマート・ドット・コム、アマゾン・ドットコムの価格比較の調査をしているが、今回、アマゾンはウォルマート・スーパーセンターよりも12%高く、ウォルマート・コムよりも17%高いという結果。ウォルマートが店舗でもネット販売でもアマゾンを上回る。特にEコマースで価格を下げて、プライスリーダーを狙っていることはマクミロンの言うとおりだ。
一方、この第3四半期の業績発表時には、小型フォーマットのエクスプレスをネイバーフッド・マーケットに統合すると発表している。これまでもこのニュースは出ていたが、マスコミの先導的な報道だった。それを認めたかたちだ。
そしてこのバナー転換は第4四半期から順次、進められる。
米国ウォルマートCEOのグレッグ・フォーラン。
「ネ イバーフッド・マーケットの既存店売上高が、昨対5.5%増加している」
出店の状況。
「第3四半期には49店舗のスーパーセンター、28店舗のネイバーフッド・マーケッ トをオープンさせた。また、第4四半期には、100店以上のネイバーフッド・マーケット、70店の小型フォーマットのネイバーフッド・マーケット(エクスプレス)をオープンさせる予定だ」と、フォーランは強気。
ダグ・マクミロンCEOは嬉しいことを言っている。
「生鮮食品の販売では、日本など他の展開地域で学んだノウハウをによって改善が進んでいる」
だから「ネイバーフッド・マーケットは企業全体の戦略の鍵となっている」。
ウォルマートがスーパーマーケットに本格的な軸足を置くということだ。
その際、「オーガニック商品も強化する方向だ」。
これもアメリカ中のスーパーマーケットが驚異に感じるに違いない。
新しい時代がやってきている。
ウォルマートにとっても、米国スーパーマーケットにとっても。
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