ウォルマート「NEWブラックフライデー」と「サイバーウィーク」の早仕掛け
ウォルマートは目下、サンクスギビング週間のプロモーションを大々的に展開中だ。
明日の「サンクスギビングデー」、明後日の「ブラックフライデー」、そして来週月曜の「サイバーマンデー」に向けて、店頭とネットを連動させたオムニチャネル戦略を躍動させている。
ご承知のように、アメリカでは第4木曜日がサンクスギビングデー(感謝祭)の祝日。
この日を中心にした1週間はいわば、日本のお正月のようなもので、木曜から日曜までを4連休とする州や、前日の水曜から休みとなる州もある。先週の土曜日からずっと連休にする会社や個人的に9連休にする人もいる。
多くの人が休暇をとり、家族や友人と集まり、ターキーを食しながら感謝祭を祝う。
さらに、感謝祭の翌日の明後日は「ブラック・フライデー」、「黒字の金曜日」。この日、小売業は大きな黒字を計上することからこの呼び名が付いた。
そして、さらにさらに来週の月曜日は「サイバー・マンデー」と呼ばれ、休日を終えて月曜に、出社した人たちが、職場からEコマースでプレゼントを購入する。
アメリカの小売サービス業にとっては今週から来週にかけて、盆と正月が一緒に来たような商戦が繰り広げられる。
どの企業も毎年、新手のプロモーションを考案するが、ウォルマートは特にすごい。
まず、1週間前の11月21日金曜から「プレ・ブラック・フライデーセール」を展開。
40インチのLED HDTV、LG、ソニーの60インチテレビ、プレイステーション4、キヤノンワイヤレスプリンタ、スタンドミキサー、レゴセット、おもちゃなどの目玉セール商品は、前日20日(木)にウォルマート・ドットコム・サイトで特売価格を発表した。
感謝祭当日には、午後6時と8時に、全店店頭で大規模なセールイベントを実施。
そしていよいよ「ブラック・フライデー」当日は、朝6時からスタートさせ、サイバーマンデーの月曜日までセールは続けられる。
一方、11月29日(土)からは併行して「サイバーウィーク」セールをキックオフ。
「サイバーウィーク」はブラック・フライデーの翌日の土曜から、サイバーマンデーをピークにする8日までのオンラインでの販促週間となる。
この時、昨年の2倍と言われる500アイテム以上を「どこよりも低価格で販売する」と発表しており、テレビやタブレット、玩具は最大50%オフを掲げ、送料無料で提供する。もちろん、ネットで購入した商品は店頭で受け取ることができる「ピック・アップ・トゥデイ」の仕組みがあるから、店頭への誘導にもつながる。
2週にわたって繰り広げられているウォルマートのサンクスギビング商戦。店頭からネットへ。ネットから店頭へ。全チャネル展開のまさに「早仕掛け、早仕舞い、そして際の勝負」。そしてこれが、クリスマス商戦まで続けられることになる。
そんな折、ウォルマートUSナンバー2と言われるチーフ・マーチャンダイズ・オフィサー(CMO)のダンカン・マクノートン氏の辞任が報道された。
マクノートン氏は、クラフト・フーズ、H.E.バット、アルバートソンズ、スーパーバリュなどで要職を務めたのち、2009年にウォルマート・カナダのチーフ・マーチャンダイジング・オフィサーとして入社。2011年に現在の役職に就き、国内ウォルマートのマーチャンダイジング全般を統括していた。ウォルマートUSのグレッグ・フォーランCEOは当面、彼自身が統括するとしているが、商品部門トップの突然の辞任劇は、ホリデーシーズンの真っただ中だけに、ちょっと痛い話。7月の前CEOビル・サイモン氏の退任に続く、今回のマクノートン氏の辞任。フォーラン氏との確執が原因と報道されている。
ウォルマートの若きダグ・マクミロンCEO。果たして国内の立て直しと組織体制の強化をどう図るのか。
生え抜き主義のウォルマートに、企業を渡り歩いたマクノートン氏は、最後には肌が合わなかったのか。こういった人事問題は繁忙期にこそ噴出することが多い。ウォルマートの場合、これまでこういった問題が表面化することが少なかった企業だけに、ホリデーシーズンへの影響が懸念される。
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