メイシーズがオフプライスストア実験「メイシーズ・バックステージ」を今秋スタート!!
全米最大の百貨店にして、世界最大の百貨店メイシーズ。2015年1月期決算で年商281億0500万ドル(1ドル100円換算で2兆8105億円)、伸び率0.6%、純利益15億2600万ドル、店舗数840。
2012年に世界に先駆けて、「オムニチャネル宣言」をしたメイシーズの新しいフォーマットは案の定、オフプライスストアだった。バナーは「メイシーズ・バックステージ」(Macy’s Backstage)。
今年の秋、ニューヨー クのメトロ地域で一挙に4店舗を実験オープンの予定。
住所は、以下の4カ所。
Sheepshead Bay (2027 Emmons Ave.), Brooklyn, NY
Queens Place, Elmhurst (Queens), NY
Lake Success Shopping Center, New Hyde Park, NY
Melville Mall, Huntington, NY
店舗面積は平均3万平方フィート、つまり840坪。
品揃えカテゴリーは女性服、紳士服、子供服、アンダーウェア、靴、服飾雑貨、宝飾・アクセサ リー、ハウスウェア、ホームファッションなどで、メイシーズ本体と重なる。
オフプライスストアとは有名ブランドの売れ残り品や、メーカー処分品をディスカウントして販売する業態。専業企業は年商290億7800万ドル・3395店のTJマックス、110億4200万ドル・1362店のロスストアがある。
アメリカの百貨店は基本的に返品をしない。しかしシーズンオフにはどうしても売れ残り品が出る。それを処分していたが、その処分品がTJマックスやロスに流れていた。
そのオフプライスストア専業企業が100億ドル、200億ドルを超え、純利益はTJマックスが22億1500万ドル、ロスが9億2500万ドル。
自分の処分品で自分の店の客が奪われる。
そこでまずノードストロームがオフプライスストアにチャレンジした。店名はノードストローム・ラック(Nordstrom rack)。現在はノードストロームのノーマル・デパートメントストア116店に対して、ノードストローム・ラックは176店。
ニーマンマーカスは、ラストコール・アット・ニーマンマーカス(Last Call at Neiman Marcus)を展開し、サックス・フィフス・アベニューはサックス・フィフス・オフフィフス(Saks Fifth OFF Fifth)を始めた。ニーマンマーカスは43店、ラストコールは44店。サックスフィフスはノーマル百貨店が40店、オフフィフスが79店。
さらにメイシーズはノーマル百貨店をメイシーズと名づけ、アップスケール・デパートメントストアをブルーミングデールのバナーで展開しているが、2010年からまず超高級百貨店のオフプライスストアを実験し始めた。バナーは「ブルーミングデールズ・アウトレット・ストア(Bloomingdale’s The Outlet Store)」で、現在13店舗。
そのメイシーズがいよいよ、オフプライスストアに挑戦する。まあ、自然な流れだが、超高級百貨店から始まったオフプライスストア業態への転換が、普通の百貨店でもスタートしたと見るのが妥当だろう。
商品の集荷は、第1にメイシーズのクリアランス商品。第2に著名なファッション・ブランドの処分品。それを通常売価の2割~8割引きで販売する。
過去半年間、同社のプロジェクトチームが「メイシーズ・バックステージ」フォーマットの研究を続け、作り上げた。店舗には、、十分な広さの試着室が用意され、今や当然となった無料のWIFIサービスが準備される。
月刊『商人舎』の昨年9月号は【商人舎特別編集】「2014年アメリカ小売産業ダイジェスト」だったが、この特集でも百貨店のオフプライスストアの驚異を指摘した。
このフォーマットを840店の大チェーン・メイシーズが増やしていく。
一番の影響を受けるのはTJマックスやロスのオフプライスストア専業チェーンであると思われがちだが、その前にシアーズとJCペニーの「ディスカウント・デパートメントストア」が大きな打撃を受けるだろう。これらは日本ではゼネラルマーチャンダイズストアと呼ばれる非食品総合スーパーだが、ますます特徴のない店となる。そしてジュニア・デパートと言われるコールズもこのところ業績が思わしくないが、さらに落ち込んでいくに違いない。
一方、メイシーズ・バックステージは1000坪弱の店舗で、出店スピードはどんどん急ピッチになる。
かくて百貨店のオフプライスストアとウォルマート、ターゲットにサンドイッチ状態のGMSは壊滅的崩壊状態となるだろう。
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