ウォルマートニュース|万引き防止対策新プログラム導入の「北風と太陽」

ウォルマートストアーズが米国内の店舗で、「万引き対策」の新しいプログラムを始めた。
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その内容が面白い。万引きを取り締まるのではなく、万引きを教育するという逆転の発想である。つまり、万引き犯を捕えて警察に届ける代わりに、初犯の、危険度の低い万引き犯に、商品の代金支払いをしてもらい、さらに万引き防止の教育プログラムに参加してもらう試みである。

すでに実験的に1500店舗でテストが始められている。その結果、警察への通報がアメリカ全体で平均35%減ったという報告がある。

ジョージア州ゲインズビル。この街の警察署には、地域に3店あるウォルマートの店舗から、昨年1年間で768件の万引きが通報されている。同じエリアに出店しているジュニアデパートのコールズからは53件、ウォルマートと同業態のターゲットからは64件であった。ウォルマートでいかに多くの万引きが発生しているかがわかる。

現在、アメリカの総人口の43%はウォルマートで買物をしている。したがって、その分、相対的に万引き件数も多くなる。実際に、米国ウォルマート全体では、毎日1億4000万件の万引きがあると報告されている。一部はプロの泥棒、およびそのグループである。

そこでウォルマートでは4つの施策を打つ。第1が店内のカメラによる監視を強化すること。

第2は、約9000人の「カスタマー・ホスト」(以前は「グリーター」と呼ばれた)が店舗の入口で入店客に挨拶をし、声掛けをすること。これは万引き防止に直結する。
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第3は、退店客の領収書を確認すること。これはコストコが常時、全店で実施している方法で、効果がある。

そして第4は、従業員教育を通じて盗難防止訓練を行う。アメリカでは万引きの大半は、従業員によるものといわれる。ウォルマートは従業員を「アソシエート」(仲間)と呼んで、これが極めて少ないチェーンではあるが、それでも従業員教育を徹底する。

今回の新しいプログラムによって、万引きがすべてなくなることはない。しかし、少しでも減らすことができれば成功である。「北風と太陽」を思わせる新プログラムである。

 

検索ワード;ウォルマート 万引き カスタマー・ホスト ターゲット コールズ

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