6月百貨店売上速報|三越伊勢丹・大丸松坂屋7割/阪急阪神9割/高島屋8割

主要百貨店4社の6月の売上高速報が発表された。「緊急事態宣言」が解除され、各社ともに通常営業となったが、外出自粛は続いて、都心店より近隣の店舗で買物する傾向が増えた。三越伊勢丹百貨店は前年比77.5%、つまり21.5%のマイナス。大丸松坂屋百貨店は同72.0%、阪急阪神百貨店は同90.0%、高島屋は同83.6%だった。

(株)三越伊勢丹ホールディングス(東京都新宿区、杉江俊彦社長)は、既存店は前年同月比77.5%。伊勢丹新宿本店の店頭売上げは前年比78.1、日本橋本店店頭売上げは、82.9%となった。一方、三越伊勢丹オンライン(EC)は6月9日に刷新されて、利便性が向上したこともあり、売上げは月を通して好調であった。

コロナ禍で不要不急の外出を控える状況が続いたことで、ほぼ全店で客数が減少し、国内百貨店合計の売上げは前年を下回る。一方で、買物の目的が明確なお客や購買意欲が高いお客が多く、多くの店舗において客単価は前年実績を上回り、売上げは5月よりも大幅に改善した。特に食品・リビング用品・子供用品などが好調だった。都心の店舗では、月初は生活必需品へのニーズが中心だったが、徐々にラグジュアリーブランドや宝飾品など、高額品のニーズも増えている。また、混雑を避ける目的で分散化して開催したクリアランスセールも、月の終盤まで比較的堅調に推移した。

J.フロントリテイリング(株)(東京都中央区、山本良一社長)の(株)大丸松坂屋百貨店は、前年同月比72.0%。博多大丸、高知大丸を含む百貨店事業全体では71.0%。14日までは短縮営業を継続したものの、土日営業を再開したことで、15日以降はほぼ通常通りの営業となった。

エイチ・ツー・オーリテイング(株)(大阪市北区、荒木直也社長)の(株)阪急阪神百貨店(大阪市北区、山口俊比古社長)の既存店売上高は、前年比90.0%。阪急本店が前年比79.5%、阪神梅田本店が同66.7%だった。5月21日からほぼ全面的に営業を再開し、5月30日からは都心店舗でも土日営業を再開したが、6月中も時短営業を継続し、集客につながる催事や販促施策の自粛も継続した。都心店の売上高前年比76%に対して、郊外店は91%。都心の混雑を避け、近隣店舗で買物をする傾向が増えた。来店客の集中を避けるために前倒ししたクリアランスセールも売上げを底上げし、中元は売上高前年比101%と好調だった。
ECの売上高前年比は196%と前月に引き続き伸長している。モードブランドでの取り組みを強化した阪急本店の婦人ファッションは547%、化粧品は284%で売上げを牽引した。

(株)高島屋(大阪府大阪市、村田善郎社長)の6月度店頭売上高は、高島屋単体の12店舗が17.3%減の82.7%、また国内百貨店子会社3社は83.1%減となり、全体では前年同月比83.6%。6月は、夏セールを段階的にスタートさせたが、引き続き外出を控える傾向や、店内外催事の中止、免税売上の大幅な減少の影響などにより、前年実績を下回った。

5月25日に緊急事態宣言が解除されたが、外出自粛は続き、近隣で買物する志向が強まったことから、地方・郊外店は減収幅が小さいという傾向が見られた。免税売上げは、4社ともに9割以上のマイナスだ。

関連カテゴリー

決算 最新記事

一覧

最新ニュース

一覧