イオンnews|コロナ禍で営業収益1.9%減・経常損失161億円/当期損失540億円

イオン(株)(千葉市美浜区、吉田昭夫社長)が2020年2月期第1四半期の業績を発表した。

営業収益は2兆762億7800万円(前年同期比1.9%減)、営業損失125億5200万円(前期は277億4600万円の利益)、経常損失160億7200万円(前期は242億4100万円の利益)、親会社に帰属する当期損失539億7300万円(前期は43億4200万円の損失)となった。

新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、行政等関係機関の要請に応じて感染拡大防止策として店舗の臨時休業、営業時間短縮などを実施した。これらの対応に起因する費用298億9300万円を新型感染症対応による損失として特別損失に計上した。

主な項目は、店舗等施設休業期間中の地代家賃、減価償却費等の固定費、テナント賃料減免相当額、特別有給休暇等の人件費、感染防止対策費用などだ。

GMS事業(総合スーパー)は、営業収益7061億8500万円(6.4%減)、営業損失は329億6800万円(前年同期より275億3300万円の減益)となった。

新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、生活必需品を取り扱う店舗として地域の生活を支えるため、感染拡大防止対策を実施しながら営業を継続した。商品の販売面では、卒業式や入学式など社会行事の大幅な縮小、旅行やイベントなどの自粛によって衣料品、住居関連品をはじめ、シーズン商品に大きな影響を受けた。

一方、外出自粛によって内食需要が高まり、生鮮品、冷凍食品、製菓材料などの売上げが大幅に伸長した。また、感染防止対策としてマスクやハンドジェル、ハンドソープなどの需要も高まり、食品と衛生用品の売上げは前年を大きく上回った。

イオンリテール(株)は20店舗の既存活性化を図り、5店舗を新規出店した。3月にオープンした「イオンスタイル戸塚」では、神奈川県のイオン店舗として初めて「レジゴー」を導入した。「レジゴー」は貸出用の専用スマートフォンで、商品のバーコードをお客がスキャンし、専用レジで会計する “レジに並ばない”“レジ待ち時間なし” のサービスだ。

また、ネットスーパーのドライブスルーによる受け取りサービスは、「イオンスタイル津南(三重県)」で開始していたが、感染症防止策としてニーズが高まり、「イオン羽生店(埼玉県)」「イオン小山店(栃木県)」「イオン熱田店(愛知県)」で5月から導入した。

イオン北海道(株)は3月1日にマックスバリュ北海道(株)と経営統合した。食品スーパーマーケット84店舗を承継し、「北海道のヘルス&ウエルネスを支える企業になる」を経営ビジョンとして新たにスタートした。食のSPA化を推進すべく、新たに設置した「食品商品開発部」による商品開発に取り組んでいる。ディスカウントフォーマット1店舗と小型スーパーマーケットフォーマット2店舗の計3店舗を出店した。

SM(スーパーマーケット)事業は営業収益8586億7900万円(8.4%増)、営業利益182億3300万円(前年同期より199億8600万円の増益)。新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、外出自粛や各種学校の臨時休校、在宅ワークの推進を要因とする「巣ごもり需要」に対応した結果、大幅な増収増益となった。

ヘルス&ウエルネス事業は、営業収益2343億7300万円(10.0%増)、営業利益99億5300万円(31.0%増)。ウエルシアホールディングス(株)および同社連結子会社は、「調剤併設」「カウンセリング」「深夜営業」「介護」を4つの軸とするウエルシアモデルを推進した。新型コロナウイルス感染症の影響で衛生用品や食品の売上げが伸長した。また、調剤についても薬価改定の影響があるものの調剤併設店舗数の増加(5月末時点で1452店舗)によって売上高は前年を大きく上回った。

3月に子会社化した高知県を地盤とする(株)よどやの24店舗を加え、グループ全体で26店舗の出店と6店舗の閉店を実施した。5月末の同社グループの店舗数は2056店。

総合金融事業は、営業収益1101億400万円(4.5%減)、営業損失6億6600万円(前年同期より171億8900万円の減益)。イオンフィナンシャルサービス(株)の連結子会社である(株)イオン銀行は、緊急事態宣言の発生により、一部店舗で休業や営業時間の短縮を余儀なくされた。

新型コロナウイルスの感染拡大によって事業や生活に影響を受けた顧客に対して、契約中の各種ローン返済について元本返済据え置きなどの対応を実施した。一方で、WEB、電話など非対面の対応を強化した。その結果、銀行口座数、預金残高、住宅ローンの貸出金残高は増加した。

ディベロッパー事業は、営業収益633億7000万円(31.6%減)、営業利益28億8300万円(81.6%減)。イオンモールの国内事業は、緊急事態宣言の発生を受けて4月18日から同社グループが管理・運営する全国165施設全てを臨時休業した。

中国、ベトナムでも新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、臨時休業、営業時間の短縮などを実施した。

サービス・専門店事業は、営業収益1332億8900万円(27.1%減)、営業損失119億1200万円(前年同期より40億7200万円の減益)。外出自粛要請や緊急事態宣言を受け、出店先の商業施設が臨時休業したこと、外出自粛、社会行事の中止、イベントの自粛・中止などが業績に大きな影響を及ぼした。

国際事業は、営業収益1189億6200万円(1.8%増)、営業利益14億3300万円(17.6%減)。
イオンマレーシアは、春節商戦を早期に取り組んだことが功を奏し、1月の売上げは前年を大きく上回った。新型コロナウイルスの感染拡大に伴って衣料品や住居余暇関連商品の販売が制限されたため、オンラインで注文した商品を店舗駐車場で受け取るドライブスルー型の受け渡しサービス、買物を代行するサービス、シニア向けに注文商品を配達するバイク便サービスなど、新たな取り組みを推進した。

イオンベトナムは、年間最大商戦の一つであるテト(ベトナム旧正月)商戦では重点商品の売り込みを強化した。衣料品ではアオザイ、食品ではギフト商品や生鮮食品を中心とした旧正月関連商材の売上げが好調だった。3月中旬から新型コロナウイルス感染症が拡大したため、衣料品や住居余暇関連商品の売上げに影響が出たが、健康・感染予防関連商品などのまとめ買いのほか、自宅での食事が増えたことで食品の売上げは堅調に推移している。

中国においては、1年でもっとも売上げ規模の大きい春節のピークに合わせた販促を実施したことにより、春節期間の売上高は昨年比5%増と好調に推移した。

春節後は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で衣料品、住居余暇関連商品の売上が減少したが、家庭での食事機会が増えたこと、グロサリー商品のまとめ買いによって、食品の売上げが大きく伸長した。とくに感染が拡大した2月のネットスーパーの売上げは前年対比で4倍を超える伸びとなっている。

通期の連結業績予想は、新型コロナウイルス感染症の第2波の可能性と業績への影響を精査中として、営業収益8兆円~8兆4000億円(2.4~7.0%減)、営業利益500億円~1000億円(53.6%~76.8%減)を見込んでいる。

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