イオンnews|第1Q営業収益・経常利益ともに過去最高を更新
イオン(株)(千葉市美浜区、吉田昭夫社長)が2022年2月期第1四半期の決算を発表した。
3月1日~5月31日の累計期間の営業収益は2兆1532億1500万円(前年同期比3.7%増)で、新型コロナウイルス感染症が拡大する前の2020年2月期第1四半期を上回って、過去最高を更新した。営業利益は391億8300万円(前年同期より517億3500万円の増益)、経常利益は過去最高の403億6500万円(前年同期より564億3800万円の増益)、四半期純利益は50億0100万円(前年同期より589億7400万円の増益)で、前年第1四半期に計上した新型コロナウイルス感染症対応による損失が大幅に減少したことによって、3期ぶりに黒字転換した。
それでも営業利益率は1.8%、同経常利益率は1.9%と2%に満たない。
総合スーパー事業は、営業収益7564億3400万円(前年同期比6.4%減)、営業損失72億8400 万円(前年同期より256億8300万円の改善)となった。
イオンリテール(株)は、12店舗の既存店を活性化し、3店舗を新規出店した。需要が拡大しているネットスーパーについては、ネットスーパー独自商品の予約販売の強化や、生鮮商品を中心に品切れを削減するためのシステム改修、午前便の拡充や配送枠数の拡大に取り組み、売上高は前年同期比16.0%増となった。
農産、水産、畜産の生鮮3部門とリカー部門では、既存店売上高がコロナの影響がなかった前年同期比でそれぞれ約6%~8%伸長した。母の日ギフトが好調だったガーデニング・グリナリー部門は15.8%増、惣菜部門も12.1%増と好調に推移した。また、ウォーキングやおうちフィットネス関連商品を提供するショップ「スポージアム」の売上高は49.4%増、予約会を中心に早期に売り込んだランドセルも139.6%増と大きく伸長した。
イオン北海道(株)は、総合スーパー2店舗、スーパーマーケット3店舗、ディスカウントストア1店舗で大規模改装を実施した。ネットスーパーは、新規会員の増加に加え、利用のしやすさが浸透して既存会員の利用回数が増えたことによって、15.2%増と伸長した。また、セルフレジ導入などオペレーション改革も積極的に推進した。
2020年9月にマックスバリュ九州(株)、イオンストア九州(株)と合併したイオン九州(株)は、「食の強化」「非食品分野の専門化」の実現に向けた施策を実行した結果、増収増益となった。3月に、鮮魚・切り身・寿司・魚惣菜などの集中加工を行う「旬鮮工房(水産プロセスセンター)」を熊本県に開設した。また、新店、活性化店舗を中心に、セルフレジ・キャッシュレスレジの導入を進めるとともに、デジタルプライサー(電子棚札)を3店舗に導入するなど、店舗の生産性改善に取り組んだ。
スーパーマーケット事業は、営業収益6794億2000万円(10.0%減)、営業利益52億2500万円(68.5%減)。ディスカウントストア事業は営業収益976億4000万円(6.4%減)、営業利益4億6100万円(71.8%減)。
マックスバリュ東海(株)は「個食」「内食」といったコロナ下における消費需要や購買動向に応じた売場展開を継続するとともに、購買頻度の高い商品の価格戦略やトップバリュの展開強化、同社専用アプリからの割引クーポンの配信など、根強い節約志向への対応に取り組んだ。商品面では、コロナ下で需要が大きく落ち込んでいる駿河鯛の販売企画を実施したほか、「じもの商品大商談会」をオンラインで開催した。サービス面では同社初となるキャッシュレスセルフレジの導入やネットスーパーの配送拠点の拡大を推進した。
マックスバリュ西日本(株)は3月に子会社の(株)マルナカ、(株)山陽マルナカと合併し、“新生”マックスバリュ西日本となった。産地や漁港からの直接配送など、自らが原料を調達し、製造し、販売するサプライチェーン改革に取り組むため、6月に岡山総合プロセスセンターの建設に着工した。
ディスカウントストア事業では、3月に首都圏における小型のディスカウントストア事業のドミナンスを加速し、新たな成長戦略を築くことを目的に、(株)ビッグ・エーとアコレ(株)が経営統合した。
ヘルス&ウエルネス事業は、営業収益2501億4400万円(6.7%増)、営業利益70億3000万円(29.4%減)。
昨年の感染症対策商品や食品などの需要急拡大の反動影響があったものの、調剤については、調剤併設店舗の増加(5月末時点で1688店舗)や新規出店によって売上高は前年を上回った。また3月にはイオンの連結子会社であるウエルシア薬局(株)を存続会社として、愛媛県を中心に四国エリアで調剤事業を展開する同社完全子会社の(株)ネオファルマー、(株)サミットを吸収合併した。5月末時点の同社グループの店舗数は2258店。
総合金融事業は、営業収益1232億800万円(12.0%増)、営業利益220億4000万円(前年同期より277億7000万円の増益)。
イオンフィナンシャルサービス(株)(AFS)はデジタル化対応を推進し、非対面営業や審査・回収部門における体制を強化した。
(株)イオン銀行は、住宅ローンに関して Web、電話、郵送を活用して顧客が自宅で契約を完結できる取り組みを推進した。また、提携事業者への営業を強化し、競争力のある金利プランや契約者限定のイオングループでの買物特典を訴求することによって、申し込み件数、貸出金残高が伸長した。
イオングループの戦略であるキャッシュレス化推進の一環として、Web限定の新規入会・利用キャンペーンやイオンモール(株)と連携した新規入会キャンペーンを実施した。コンタクトレス決済機能を搭載したクレジットカードの発行枚数は1000万枚を超えた。
カードショッピングについては、イオングループをはじめとする食品スーパーやドラッグストアなどにおいて売上高が引き続き好調に推移した。また、ポイント10倍キャンペーン、巣ごもり需要対策としての家電量販店での利用キャンペーンなどの販促施策の実施によって取扱高の拡大に注力した。オンラインショッピングでの利用も引き続き好調で、当第1四半期におけるカードショッピング取扱高は、前年同期の実績を上回った。
ディベロッパー事業は、営業収益885億3700万円(39.7%増)、営業利益108億1700万円(275.1%増)。
イオンモール(株)の中国事業では、高まる消費需要を受けて、モール専門店の売上高は好調に推移している。既存21モールの専門店売上高は前年同期比131.5%増と大きく伸長した。
最重点出店エリアであるベトナムでは、既存4モールの専門店売上高が前年同期比21.0%増となった。コロナ禍でアミューズメントやシネマなどの一部業種において営業制限があったものの、物販業種を中心に好調に推移し、コロナの影響がなかった2020年2月期以前の二桁成長のトレンドに回復しつつある。
サービス・専門店事業は、営業収益1703億4000万円(27.9%増)、営業損失11億1300万円(前年同期より107億9400万円の改善)。
イオンディライト(株)は、3月から国内全支社でカスタマーサポートセンター(CSC)の稼働を開始するとともに、CSC を中心とした新たな施設管理モデル「エリア管理」の展開を進めた。また、施設における換気改善を目的に、新たに「ネットワーク型 CO₂濃度モニターシステム」をメーカーと共同開発し、複数の施設へ導入した。
(株)イオンファンタジーは、緊急事態宣言等が適用された地域において臨時休業や営業時間短縮を実施した影響があったが、対象地域以外の店舗の売上高は順調に回復しており、大幅な増収増益となっている。
国際事業は、営業収益1101億6900万円(7.4%減)、営業利益21億5100万円(50.1%増)。
マレーシア事業はコロナの感染拡大によって、食品以外の売場を閉鎖したため、衣料や住居余暇商品の売上げに大きく影響を受けた。そのような環境のなか、食品の品揃えを見直し、生鮮品・冷凍食品の売場を拡大するなど内食需要の高まりに対応した。ベトナム事業では、贈り物用竹かごのハンパーやアオザイなどのテト(旧正月)準備商品の計画的な早期販売などに取り組んだ。その後の政府規制緩和に伴い業績は回復し、第1四半期は増収となり、黒字を確保した。
中国事業も、武漢市で事業展開するイオン湖北(AEON (HUBEI CO.,LTD.)の売上高が前年同期比で約1.5倍に回復した。青島イオン(青島永旺東泰商業有限公司)においても前年同期に営業制限を余儀なくされたテナントゾーンの営業が復活し、両社ともに損益が改善した。これらの結果、前年の食品の急激な需要拡大の反動があったものの、中国エリアの損益は改善された。
通期は、営業収益8兆6200億円(0.2%)、営業利益2000億円~2200億円(32.8%増~46.1%増)、経常利益1900億円~2100億円(36.9%~51.3%増)、当期純利益200億円~300億円(前期は710億円の当期損失)を見込む。