三越伊勢丹news|第3Q 両本店の客数増で売上げが回復/経常利益39億円に
(株)三越伊勢丹ホールディングス(東京都新宿区、細谷敏幸社長)が、2022年3月期第3四半期の決算を発表した。当期首から「収益認識に関する会計基準」等を適用しているため、適用前の前期の実績値に対する増減率は記載していない。
2021年4月1日~12月31日の業績は、売上高3146億5000万円(前年同四半期は6024億3500万円)、営業利益は30億0700万円(前年同四半期は営業損失148億7000万円)、経常利益は38億8500万円(同経常損失134億4400万円)、四半期純利益は9億2300万円(同純損失347億5900万円)で、前年同四半期から黒字転換した。
「収益認識に関する会計基準」の適用により、第3四半期の売上高は3668億900万円、営業利益は3億7600万円、経常利益および税金等調整前四半期純利益は2億7700万円それぞれ減少している。
売上高は緊急事態宣言が解除されて以降、来店客数が増加し、第2四半期の減収から増収に転換した。営業利益は2020年度第3四半期以来の黒字で、100億円超の黒字は2018年度第3四半期から3年ぶりとなった。
主力の百貨店業は、売上高2809億6500万円(前年同四半期は5539億0200万円)、営業損失61億9500万円(前年同四半期は営業損失219億0300万円)。収益認識会計基準等の適用により、売上高は3618億3100万円減少し、営業損失は5900万円増加している。
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種率の上昇と、新規感染者数の減少により来店客数は回復基調にあり、10月~12月の国内百貨店売上高は3カ月連続で前年同期を上回り、伊勢丹新宿店と三越日本橋店の両本店がその売上高を牽引してきた。10月からはクリスマスや年末に向けた消費意欲の高まりを受けて、ラグジュアリーブランドや宝飾品などの高付加価値商品が引き続き好調に推移したほか、両本店では、おせちやクリスマスケーキの受注が2年連続で伸長した。
またデジタル改革による顧客体験価値の向上への取り組みでは、リアル店舗と同様のショッピング体験をオンライン上で提供する「三越伊勢丹リモートショッピングアプリ」において対象の売場を拡大し、顧客の利便性向上を図った。
オンラインの取り組みは継続して強化しているが、オンライン売上の伸長率については緊急事態宣言が解除された10月以降は、それ以前に比べやや鈍化した。そんななかでも定期食品宅配の「ISETANDOOR」は、既存顧客向けにシーズンMDの提案を強化し、堅調に推移した。
クレジット・金融・友の会業は、売上高230億6100万円(前年同四半期は244億2600万円)、営業利益は47億2100万円(前年同四半期は営業利益31億9100万円)。収益認識会計基準等の適用により、売上高は22億3800万円減少し、営業利益は3億1600万円減少している。
(株)エムアイカードは、緊急事態宣言が10月から全国的に解除されたことでグループ内外でのカード利用が回復に転じ、百貨店を除いた外部利用ではコロナ禍以前の2018年水準を上回った。また、販売費及び一般管理費については、外部委託作業費の削減や営業施策費の効率化を進めたことで、営業利益は堅調に推移した。
不動産業は、売上高130億9000万円(前年同四半期は220億8000万円)、営業利益41億3400万円(前年同四半期は営業利益44億円)。不動産業セグメントにおいては、収益認識会計基準等の適用による売上高および営業利益への影響は軽微だった。
(株)三越伊勢丹プロパティ・デザインは建装・デザイン事業、コンストラクションマネジメント事業において、大型商業施設やホテル・リゾート施設などの受注は堅調であるものの、コロナ禍で工事の延期などが発生した影響を受け、売上高は前年度に比べて減少した。10月~12月には、グループ内における店舗リモデル工事の請負を開始したことで建装事業における売上高は堅調に推移した。
その他の事業は、売上高386億7900万円(前年同四半期は483億8000万円)、営業利益2億0700万円(前年同四半期は営業損失5憶2200万円)。収益認識会計基準等の適用により売上高は27億4000万円減少したが、営業損失への影響は軽微だった。
旅行事業の(株)三越伊勢丹ニッコウトラベルは、緊急事態宣言の影響により4月~9月は大きく低迷したが、10月~12月には取扱客数が急増し、この間の国内旅行売上高は前年を大きく上回った。しかしながら、主な収益源であった海外旅行売上高が見込めず、経営環境としては未だ厳しい状況にある。
物流子会社の(株)三越伊勢丹ビジネス・サポートは、店舗の売上げ回復とともに館内搬送業務が増加した。またグループ外向け取引では、新規クライアントの獲得や単発的な業務受託の増加と、既存クライアントの製造原価の見直しによる売上総利益率の向上により、全体として営業利益は堅調に推移した。
通期業績予想は、売上高については、新型コロナウイルス感染症の状況が不透明であることから、11月の売上高予想から100億円下回る4250億円に下方修正した。営業利益については経費構造改革を進め、11月予想値を据え置いた。経常利益については、第3四半期の実績を踏まえ、11月予想より10億円上回る40億円に上方修正した。当期純利益は、固定資産売却益約49億円の計上を考慮し、11月予想より40億円上回る70億円に上方修正した。