J.フロントnews|第2Qは総額売上高4641億円・16.8%増/3年ぶりの黒字化
J.フロントリテイング(株)(東京都中央区、好本達也社長)が2023年2月期第2四半期の決算を発表した。
3月1日~8月31日の業績は、総額売上高4641億3000万円(前年同期比16.8%増)、売上収益1691億2900万円(7.5%増)、営業利益132億3700万円(前年同期は13億8800万円の損失)、税引前利益122億2300万円(前年同期は28億7100万円の損失)、当期利益19億9500万円(前年同期は19億9500万円の損失)となり、3年ぶりに黒字転換した。
対4月公表数値では売上収益は減少したものの、営業利益は期中での経費節減等による事業利益の増加に加え、SC(ショッピングセンター)事業における助成金受入れなどにより増加した。当期利益は税金費用の減少も加わり増加した。
中期経営計画の2年目となる2022年度は、中期経営計画で掲げるコロナ禍からの「完全復活」への足取りを確かなものとし、また2024年度以降の「再成長」に向け、攻めの経営に転じる「ギア・チェンジ」の年度と位置づけている。
そのための「リアル×デジタル戦略」として、中核事業の百貨店事業では、大丸・松坂屋アプリを活用した顧客コミュニケーションの進化とともに、リアル店舗を基軸としたコスメのメディアコマースを開始し、店舗特性に応じたリアル店舗の魅力化に向けた改装を推進した。また、SC事業では重点戦略にもとづく大型改装計画において、池袋PARCO、名古屋PARCOなど基幹店を中心に大規模改装を推進した。
百貨店事業の業績は、前年の店舗休業等の反動もあり、売上収益1016億1000万円(前年同期比17.5%増)、営業利益38億1300万円(前年同期は営業損失45億6600万円)と黒字に転換した。
大丸松坂屋オンラインストアではスマートフォンでの利用を意識したサイトデザインへ変更し、価格やカテゴリーなどニーズに沿った検索機能を設けるなど顧客利便性を強化した。また、リアル店舗や販売サービス力など百貨店の強みを活かしたコスメのメディアコマース「DEPACO(デパコ)」を導入した。
松坂屋静岡店や高知大丸ではエリア特性を踏まえた大型改装を実施するとともに、基幹店を中心にラグジュアリーや高級時計など主力カテゴリーの強化・リニューアルなどコンテンツの充実に取り組んでいる。具体例として、名古屋店では7月から展開スペースを約2倍に拡大した新たな時計・宝飾売場「GENTA the Watch」をオープンした。
SC事業の業績は、売上収益266億5400万円(前年同期比0.4%減)、営業利益48億6100万円(前年同期比965.7%増)。
売上収益は基幹店を中心とした戦略改装や新規の大型プロモーションによる集客効果に加え、前年の店舗休業等による反動もあって、入店客数・テナント取扱高は改善した。しかし、前年6月の(株)ヌーヴ・エイの株式譲渡に伴う影響で減収となった。営業利益は店舗事業における売上収益の改善に加え、前期に計上した株式譲渡に伴う損失の反動、エンタテインメント事業における助成金受入れ等によって、大幅増益となった。
店舗構造改装計画の一環として、池袋PARCOでは駅直結部のグランドフロアを改編し、エリアとの親和性の高いコンテンツを拡充した。名古屋PARCOでは西館グランドフロアをメインにジェンダーレス、エイジレスをキーワードとした大規模改装を実施した。また、新規ビジネスとして、PARCOへの来客に新たな体験価値を提供する、アートフィギュアギャラリー「1/ONE SLASH(ワンスラッシュ)」を渋谷PARCOに開業した。
デベロッパー事業の業績は、売上収益258億2100万円(前年同期比0.3%増)、営業利益17億8600万円(前年同期比1.2%減)。
売上収益は(株)パルコスペースシステムズにおけるグループ内外工事や施設管理業務が増加したものの、既存物件の営業終了やJ.フロント建装におけるホテルなどの外部工事の減少などにより微増収となり、事業利益、営業利益は減益となった。
決済・金融事業の業績は、売上収益63億1400万円(前年同期比27.5%増)、営業利益18億5300万円(前年同期比265.7%増)。売上収益は年会費改定による増収効果に加え、百貨店事業及び外部加盟店での取扱高や保険代理店手数料の増加などにより大幅な増収となった。事業利益、営業利益は人件費やアクワイアリング業務の拡大等に伴う費用が増加したものの、売上収益増により大幅増益となった。
事業基盤の拡大に向け、百貨店事業との協業によるカード会員の拡大と利用促進に加え、独自のポイントサービス「QIRAポイント」の差別化、認知度向上に向け、会員向けのイベントを実施するなど特別な体験の提供に取り組んだ。また、リボ・分割の利用促進によるファイナンス債権残高の拡大とともに、加盟店事業では百貨店事業における加盟店契約の集約に加え、グループ商業施設へのアクワイアリング導入に向けた取り組みを推進した。