J.フロントnews|’22年度年商9988億円15.3%増・営利191億円の増収増益
J.フロントリテイング(株)(東京都中央区、好本達也社長)が2023年2月期の本決算を発表した。
2022年3月1日~2023年2月28日の業績は、総額売上高9987億5500万円(前年同期比15.3%増)、売上収益3596億7900万円(8.5%増)、事業利益248億5400万円(112.1%増)、営業利益190億5900万円円(103.2%増)、税引前利益168億7300万円(172.6%増)となった。
中期経営計画の2年目となる2022年度は、中期経営計画で掲げるコロナ禍からの「完全復活」への足場を固めつつ、2024年度以降の「再成長」に向け、攻めの経営に転じる年度と位置づけている。
そのため3つの重点戦略を掲げている。
第1に「リアル×デジタル戦略」として、中核事業の百貨店事業では重点カテゴリーの拡充に加え、地域・店舗特性を活かした売場・店づくりを推進した。SC事業では基幹店において大規模改装を推進したほか、各店において大型プロモーションを拡大展開した。デジタル活用の取り組みでは、主にアプリ会員数拡大による顧客接点のデジタル化を進めるとともに、潜在顧客の発掘などデータ活用の高度化を図った。
第2の「プライムライフ戦略」では、堅調な富裕層マーケットに対応するため、主に百貨店外商を基盤に、重点カテゴリーを拡充し、店頭・オンラインの両面から希少性の高い商品・サービスを提案するとともに、顧客層の拡大などに取り組んだ。
第3の重点戦略「デベロッパー戦略」では、主に重点エリアである名古屋栄地区や大阪心斎橋地区の大型複合施設の開発に加え、新たに、福岡天神地区において地域や他社との連携による再開発の検討を進めた。また、保有不動産の有効活用に向けレジデンス事業に参入した。
百貨店事業の業績は、3月下旬からの行動制限の解除以降、順調に客数の回復基調が続き、売上収益2157億5400万円(前年同期比13.1%増)、営業利益75億2900万円(前年同期は営業損失45億9400万円)と黒字に転換した。
アプリを通じた顧客接点のデジタル化の推進に加え、データ分析・活用を通じた潜在顧客の発掘など顧客政策の進化を図った。また、リアル店舗や販売サービス力など百貨店の強みを活かしたコスメのメディアコマース「DEPACO(デパコ)」を新たにスタートさせた。富裕層マーケットへの対応を強化するため、重点カテゴリーの拡充やお得意様ラウンジなど上質な店舗環境の構築、店頭・お得意様専用サイトでの希少性の高い商品やサービス提案の充実を図るとともに、顧客層の拡大などに取り組んだ。
SC事業の業績は、売上収益543億6100万円(前年同期比3.4%増)、営業利益37億3300万円(前年同期比81.6%増)。前期の店舗休業等による反動や3月下旬以降の各エリアでの人流回復に加え、基幹店を中心とした戦略改装や新規のプロモーション効果などにより、入店客数、テナント取扱高は改善が進んだ。
池袋PARCOでは駅直結部となるグランドフロア改編やエリアとの親和性の高いコンテンツの拡充、名古屋PARCOでは西館グランドフロアをメインにジェンダーレス、エイジレスをキーワードとした大規模改装を推進した。
各店において独自性の高いポップアップストアやキャラクターとのコラボレーション企画、地元連携による共同企画を展開した。また、テナントとの協働によるアプリ会員の拡大、店舗・オンラインストアの買い回りの向上などの基盤整備を進めた。なお、津田沼PARCOは2023年2月末に営業を終了した。
デベロッパー事業の業績は、売上収益546億7000万円(前年同期比8.0%増)、営業利益36億9500万円(前年同期比21.6%減)。売上収益は既存物件の営業終了による影響があったものの、グループ内外の内装・設備工事や施設管理業務が増加したものの、営業利益は前期の固定資産売却益の反動により減益となった。
保有不動産を活用した非商業施設の開発としてレジデンス事業に参入したほか、重点エリアにおいて大型複合施設の開発を計画、推進した。具体的には、2026年の竣工・開業を目指す名古屋栄地区「(仮称) 錦三丁目25番街区計画」、大阪心斎橋地区「(仮称) 心斎橋プロジェクト」に加え、新たに、福岡天神地区において魅力的で質の高い街づくりへの貢献を目指し、地域や他社との連携による再開発の検討を進めた。
決済・金融事業の業績は、売上収益128億8900万円(前年同期比16.8%増)、営業利益34億8500万円(前年同期比76.9%増)。
決済事業では、百貨店事業及び外部加盟店での取扱高の回復に加え、独自のポイントプログラム(QIRAポイント)の認知度向上に向け、会員向けの独自イベントを実施するなど特別体験の提供に取り組んだ。また、グループ商業施設での決済環境の整備など加盟店事業の強化を図った。金融事業では、保険代理店事業の強化に加え、他社連携による投信積立サービスなど金融サービスの拡充に取り組んだ。