三越伊勢丹news|年商5364億円10.1%増・経常利益99.5%増の増収増益
(株)三越伊勢丹ホールディングス(東京都新宿区、細谷敏幸社長CEO)が、2024年3月期の本決算を発表した。
2023年4月1日~2024年3月31日の業績は、売上高5364億4100万円(前年比10.1%増)、営業利益543億6900万円(83.6%増)、経常利益598億7700万円(99.5%増)、純利益555億8000万円(71.7%増)と増収増益となった。
営業利益率は10.1%、経常利益率は11.2%。
同社は、目指す姿「お客さまの暮らしを豊かにする “特別な” 百貨店を中核とした小売グループ」の実現に向けて、中期経営計画(2022年度~2024年度)に基づいて事業活動を進めてきた。第一フェーズである「百貨店の再生」を掲げた2年目として、着実に重要戦略を実行し、再生フェーズの早期達成を図った。
同時に次期フェーズである「まち化準備」フェーズに向けた取り組みを加速させ、事業構造改革への注力や科学的視点を取り入れ、経費や要員などをコントロールするための基準や規律を策定した手引書(百貨店の科学)の浸透による経費コントロールを推し進め、経営効率の大幅な改善によって財務体質の強化を図った。
主力の百貨店業の売上高は4483億1900万円(7.8%増)、営業利益は451億5900万円(前連結会計年度比121.0%増)。
国内百貨店においては、社会経済活動の正常化に伴い、入店客数が大幅に増加したほか、インバウンド消費も全国的に活況を呈した。特に、伊勢丹新宿本店、三越銀座店は両店舗ともに、総額売上高が過去最高額を記録した。さらに国内百貨店全体では、韓国や台湾、タイ、米国などからの訪日客数・購買金額が伸長した結果、コロナ禍前の2018年度の免税売上高を大幅に上回り、過去最高額も更新した。
伊勢丹新宿本店の「丹青会」、三越日本橋本店の「逸品会」では、自動車や楽器、不動産等の通常では取り扱いのない百貨店外MDや特別企画品を紹介。個客の多様な要望に応えることで、2024年2月開催時において共に過去最高の売上を更新した。
海外については、2024年4月に中国・天津市内の2店舗(天津伊勢丹・天津濱海新区伊勢丹)を賃貸借契約終了に伴い閉店した。海外計では増収増益となり、引き続き、国・地域ごとの状況に合わせた “選択と転換” を進めるとともに、商業運営ノウハウを活かした新たな取り組みの拡大を目指す。
クレジット・金融・友の会業は、売上高327億6600万円(前年比6.3%増)、営業利益40億5000万円(6.8%増)。
(株)エムアイカードが、百貨店業の売上拡大に伴うクレジットカード利用が好調に推移したほか、航空・旅行・飲食等のグループ外加盟店での取扱高も大幅に増加し、カード手数料収入が拡大。また、カードファイナンスの強化による割賦手数料収入の伸長や、収支構造改革の実行と経費コントロールの徹底により運営費を大幅に圧縮したことで、対前年で増収増益を達成した。
不動産業は、売上高267億8700万円(30.6%増)、営業利益30億4400万円(24.1%減)。
(株)三越伊勢丹プロパティ・デザインでは、高い技術力と高付加価値な提案営業の強みを活かし、ホテル・オフィス・商業施設等からの受注が増加。さらに都心の大型案件の完工等により、売上が拡大。原材料価格の高騰の影響を強く受けながらも、前年に対し増収増益を確保した。一方、保有物件におけるテナント入れ替え等で、賃料収入は減収した。
その他の事業は、売上高911億2300万円(17.2%増)、営業利益20億7300万円(82.4%増)。
旅行業の(株)三越伊勢丹ニッコウトラベルでは、国内外の旅行需要が本格的に回復し、三越創業350周年を記念した特別旅行企画や欧州リバークルーズ客船旅行など、高付加価値な旅行企画を中心に好調に推移した。コロナ禍における固定費の削減などの損益分岐点の引き下げの取り組みも寄与し、対前年で増収増益を達成し、4年ぶりの黒字転換となった。
メディア事業の(株)スタジオアルタでは、グループのリソースを最大限活用し収益を拡大させる「連邦戦略」の一環として、本年より百貨店内の広告メディア事業を統合したグループ統合ハウスエージェンシー化を推進。グループ内の広告案件の請負や主力の屋外広告販売が好調に推移し、大幅な増収増益となった。
次期(2025年3月期)は、売上高5480億円(前年度比2.2%増)、営業利益640億円(17.7%増)、経常利益690億円(15.2%増)、当期純利益530億円(4.6%減)を見込む。