ヤオコーの2013年度決算22期連続増益だがROAは上げ続けてほしい!

㈱ヤオコーの2014年3月期連結決算は、
営業収益2741億4900万円。
10.6%増。二桁成長。
営業利益は、119億9800万円、 9.2%プラス。
経常利益は、118億4000万円、 9.6%プラス。

これは22期連続の増益。

ただしスーパーマーケット事業単体の場合、
営業収益は2635億9200万円(前期比107%増)、
営業利益は112億1500万円(同9.8%増)で、
これは25期連続の増収増益を達成。
お見事。

連結決算の営業収益対比の営業利益率は4.38%。
経常利益率は4.32%。

昨年が経常利益率が4.36%、一昨年が4.45%だったから、
ジワリジワリと下がっている。

発表された来年度の計画は、
営業収益が2887億円で、経常利益が120億円。
これは経常利益率4.16%。

消費増税などの条件を加味して、
保守的に見積もった予算なのだろうが、
またさらにジワリと下がる。

ここは、本来ならば5%は欲しいところ。

総資産が1266億1200万円。
こちらは20.5%の伸び率。

総資産で営業収益を割り算すると、
総資本回転率が産出される。
それは2.17回転。

この総資本回転率と経常利益率を掛け算する。
総資本経常利益率が9.37となって、
ヤオコーの好調ぶりが明らかになる。
これはROAという最も重要な経営指標。

利益水準については自社でコメントしている。
「お客さまの毎日の生活に密接に関連する分野を
担わせていただいている企業群であることから、
安定的な利益率を確保しながら業容の伸長による利益の拡大をめざしてまいります」

しかしヤオコーの店舗や営業状態の水準からすると、
私はかなり高い評価をしていて、したがってROA10%が合格ラインだと思う。

昨年の総資本回転率が2.36回転、一昨年が2.39回転で、
それぞれROAは10.30、10.64だったから、
これも下がってきている。

経常利益率が5%ならば、総資本回転率が2回転でも、
ROAは10を超える。

ヤオコーには店づくりや売場づくり、マネジメントやマーケティングでも、
業界を引っ張ってもらいたいが、
経営数値もROA最低10 %で胸を張ってもらいたい。

そのヤオコーは、第7次中期経営計画の真ん中の年度だった。
期間は平成24年4月1日から平成27年3月31日。

そのメインテーマは、
「チェーンとして明らかに差をつける」。

私の言う「アウトスタンディング」。

そのために、第1に「ミールソリューションの充実」、
第2に「価格コンシャスの強化」を図り、
商圏内シェアの拡大に取組んだ。

ヤオコーらしく、それぞれに定義を明確にしている。

「ミールソリューション」とは、
お客さまの毎日の食事の献立の提案や料理のアドバイスなど
食事に関する問題の解決のお手伝いをすること。
「価格コンシャス」とは、お客さまが買い易い値段、値頃(ねごろ)を
常に意識して価格設定を行なうこと。
そこで、「ヤングファミリー層」(子育て世代)のお客さまの支持拡大を図るべく、
EDLP(常時低価格販売)政策による価格対応の強化、
ターゲットを明確にした販促企画の充実などに取り組んだ。

さらに「FSP(フリークエントショッパーズプログラム)を活用」して、
各種マーケティング施策を展開。
3月末時点のヤオコーカード会員数は150万人を超え、順調に増加。
イギリスのテスコの1600万人にははるかに及ばないが、この短期間での会員数増加は驚異的。

商品面では二つの施策を施した。
第1が新プライベートブランド戦略として「Yes! YAOKO」。
これは昨年4月1日から。

第2は、㈱ライフコーポレーションとの共同開発プライベートブランド「star select」。
こちらは9月から。

どちらも今後の展開次第。

店舗の運営では、第1に朝一作業の見直しを中心とする店舗作業の標準化、
si2ni ,自動発注などのITシステムを活用した業務改善。

店舗関連では、10店舗を開設し、既存店7店舗の改装。
私はこの既存店改装こそ、ヤオコーの力が試される場であると、重く見ている。

平成26年3月末現在の店舗数は、133。
埼玉県76店舗、千葉県21店舗、群馬県13店舗、東京都7店舗、
茨城県7店舗、栃木県5店舗、神奈川県4店舗。
関東のリージョナルチェーンと評してよいネットワークだ。

最後に、「独立系企業」であることを強調しつつ、
ヤオコーは基本経営戦略を再確認する。

『豊かで楽しい食生活提案型スーパーマーケットとして
ミールソリュションの充実を図る』こと。

そのための2014年度の重点施策は6つ。

① 生鮮強化
 産地ネットワークの拡大・深耕、物流センターを含めた生鮮物流の抜本的な見直し。
② カスタマーの確保
 FSP導入とEDLP店舗拡大に伴う、
 新たな価格政策・販促政策・商品開発戦略の構築。
③ 先進的・革新的なMDの開発
 SPAの本格的取り組みなどPB開発力の強化、
 小型店など新店舗フォーマットづくり。
④ 店舗間格差の縮小
 計画的な店舗改装の実施。
⑤ 生産性の向上
 店舗作業の標準化の徹底、作業量の削減のための仕組みづくり。
⑥ 従業員満足度の向上、待遇改善
 人事制度改革による業界トップクラスの労働環境、雇用条件の実現。

いずれも文句のない政策ばかりだが、
特に②のカスタマーの確保に重点が置かれるべきだろう。
それがヤオコーのポジショニング戦略の根幹をなすものだからだ。

〈結城義晴〉

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