イオンも第1四半期は過去最高の営業収益と営業利益を記録するもGMSは赤字
昨日のDailyニュースでセブン&アイ・ホールディングスの平成28年2月期の第1四半期決算を報告したが、今日は小売業第1位のイオン。1日遅れての発表がミソ。
イオンの2015年3月1日~5月31日の連結業績は、営業収益2兆194億1700万円(対前年同四半期比 117.9%)、営業利益349億1300万円(155.4%)となり、第1四半期として過去最高の営業収益および営業利益となった。
経常利益は、357億8400万円(142.2%)、四半期純利益も50億2000万円(383.1%)に着地した。
ただし、前年第1四半期は、数値があまりに悪かった。そこで、一昨年の同四半期の数値を改めて見てみると、営業収益1兆4616億8900万円、営業利益347億2300万円、経常利益381億4100万円、純利益131億7000万円。つまり、純利益は、まだ2年前の半分以下の水準にある。
主なセグメント別の営業概況
GMS事業は、営業収益 6628 億1100万円(97.5%)、営業損失47億9000万円(39億6700万円の減益)と、赤字。
GMS事業の柱のイオンリテールでは、各地域カンパニーへの権限委譲を狙いにした組織改革、人事異動を積極的に行っており、新たな組織体制で「売場の専門店化」や「プライベートブランドの強化」「既存店舗の活性化」、さらに地域密着経営の深耕に取り組んだ。しかし3月度が、消費税増税前の駆け込み需要が発生した前年の反動があり、4月度、5月度は健闘したものの、既存店売上高は97.3%となった。内訳は衣料96.5%、食品99.1%、住居余暇93.6%。昨年のイオンは、増税前の価格訴求がすさまじかったから、その反動の幅はどこよりも大きいが、食品が100を切るのは痛い。
直営荒利益率は、衣料品部門が、天候不良で季節商品の売上げが低調に推移したため、前年実績を 0.6ポイント下回った。ただし、既存店販管費も99.9%と抑制されており、経費コントロールは進んでいる。
SM・DS事業(スーパーマーケット・ディスカウント事業)は、営業収益7676 億920万円(128.6%)、営業利益29億6500万円(72 億3800万円の増益)。
マックスバリュ北海道は、圧倒的低価格を訴求した「安い値!」販促と「WAON」の会員拡大キャンペーンを継続展開した結果、集客力が向上。マックスバリュ東北は、夕食需要に向けた「4時からデリカ」の展開、火曜市や水曜市の販売強化によって収益を大幅に改善した。
マックスバリュ東海は、地域の特性を活かす取り組みや、惣菜、冷凍食品及び調理・加工済食品を中心とする簡易・簡便食品の拡充した結果、増収増益となっている。
小型店事業は、営業収益843億310万円(115.9%)、営業利益2億2100万円(9億5900万円の増益)。
ミニストップは、店内加工ファストフードの品揃えの充実や、チルド弁当・冷し麺のリニューアル、また新型コーヒーマシンの導入等の店舗改装に取り組み、既存店の競争力向上を図った。
とくに店内加工ファストフード部門は、「ソフトクリーム バニラ」「ハロハロ」などのコールドデザート商品が計画を大幅に上回り、国内の既存店日販は前年同期比100.5%と伸長した。
ドラッグ・ファーマシー事業は、営業収益1436 億8000万円(357.9%)、営業利益33億8400万円(613.4%)。3月に、関西地区を基盤に事業展開するタキヤ㈱およびシミズ薬品㈱を完全子会社している。
総合金融事業は、営業収益846億1800万円(113.9%)、営業利益124億5500万円(同 128.0%)。5月末の「WAON」の累計発行枚数は約5011万枚、取り扱い高は約5039億円(109.2%)と順調に増加。
ディベロッパー事業は、営業収益663億5000万円(112.5%)、営業利益113億4000万円(116.3%)。リゾートモール「イオンモール沖縄ライカム」、JR旭川駅に直結した「イオンモール旭川駅前」の開設。また国内5カ所の既存SCをリニューアル。海外では、中国江蘇省蘇州市に第2号店となる「イオンモール蘇州園区湖東」を開設。
サービス・専門店事業は、営業収益1865億1600万円(101.9%)、営業利益77億7600万円(103.2%)。国内で靴の独占販売契約を締結した米国発の人気ブランド「Keds」商品の好調な売れ行きにより、収益性は大幅に向上した。
国際事業は、営業収益1174億3800万円(126.9%)、営業利益7億4400万円(同296.0%)。
ベトナム市場への進出に際し、1月に、現地でスーパーマーケット事業を運営するFIVIMART社及びCITIMART社との資本・業務提携に合意。マレーシアでは、4月1日からの物品・サービス税(GST)導入前の駆け込み需要へ対応として、食品・日用品を中心とした最寄品を価格訴求した結果、同国で事業展開するイオンマレーシアおよびイオンビッグマレーシアの業績が好調に推移した。
イオンの結果を総括すると、
1.小売り事業は営業収益は高いが、価格訴求型ビジネスのため利益率が低い。
2.金融事業、ディベロッパー事業、国際事業は堅調。
3.小売りビジネスの柱となるGMS事業は改革を進めるも、イオンリテールは赤字。
となる。
第1四半期に進められたイオンリテールの施策。
ひとつは、イオンリテールが3月に、多店舗展開・ドミナント化を図るために、東京・埼玉・千葉県下に計117 店舗を展開していた小型DS(ディスカウントストア)の「アコレ」と、イオンSC(ショッピングセンター)内を中心に13店舗を展開する雑貨専門店「R.O.U」をそれぞれ新会社に事業分割している。
イオンリテールはGMS事業改革、「イオンスタイルストア」開発に専念する体制が敷かれたということ。
もうひとつは、ダイエー。4月に、イオン北海道、マックスバリュ北海道、イオン九州、マックスバリュ九州、イオンリテールへのGMS事業の一部、SM事業の一部の運営を承継する基本合意がなされた。イオンリテールは、ダイエーを、都市型の新業態「フードスタイルストア」として新フォーマットに変える。6月にはその1号店の「ダイエー赤羽店」がお目見えしている。
最後に、イオンは3月に、連結子会社で子ども向けアミューズメント事業を運営するイオンファンタジー、およびダイエーの完全子会社で、ファミリー向けアミューズメント事業を運営するファンフィールドを合併させると発表した。存続会社はイオンファンタジー。これにより国内アミューズメント施設運営業界で売上高No.1企業が誕生することになる。これもイオンの成長エンジンの1つとなりそうだ。
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