1月SC統計|既存SC売上高11.0%増・感染急拡大に伴い客数減
(一社)日本ショッピングセンター協会(東京都文京区、清野智会長)が3月11日(金)に2022年1月の「SC販売統計調査」を発表した。既存SC売上高は前年同月比伸長率プラス11.0%で3カ月連続で前年をクリアした。ただし、2019年比ではマイナス18.0%と、コロナ前の水準にはまだ戻っていない。
年始は2年振りに新春イベントや福袋販売といった販促施策を実施し、来館者増となったSCが多かった。しかし1月9日に広島県、山口県、沖縄県でまん延防止等重点措置が発出され、21日、27日と段階的に対象範囲が34都道府県まで拡大され、全国的に外出自粛傾向が強まったことから来館者数に大きな影響を受けた。中旬以降は売上げも総じてマイナス基調となった。
テナントは、前年同月比プラス12.7%となった。前年に緊急事態宣言の影響が顕著であった飲食、理美容、アミューズメント、シネマなどで前半は回復傾向が見られた。ただし、まん延防止等重点措置による営業時間短縮等もあり、後半は再び厳しい状況となった。
キーテナントは、前年同月比プラス4.7%となった。中心地域はプラス21.4%、周辺地域はプラス1.8%となった。中心地域は前年の落ち込みがマイナス33.4%と大きかった分、プラス幅が周辺地域を大幅に上回った。
立地別では、中心地域・大都市は総合で前年同月比プラス20.4%となった。前年に緊急事態宣言の影響でマイナス41.6%と大きく落ち込んだ反動に加え、百貨店をキーテナントとした東京区部のSCの売上げ伸長が見られた。
中心地域・中都市は総合で前年同月比プラス11.8%となった。東北、北陸、中部などの中核都市では、2年振りに帰省客で賑わったSCが多く見られた。また、前年は1月7日に1都3県で緊急事態宣言が発出され、「出勤者7割削減」の呼びかけもなされたことからテレワークが増え、平日の仕事帰り等の購買機会が減少したが、本年は前年秋の宣言解除以降、出勤者の増加傾向が見られ、関東のベッドタウンと呼ばれる都市では駅立地のSC等で前年を大きく上回った。
周辺地域は総合で前年同月比プラス8.9%となった。テナントはプラス11.3%と大きく伸びたが、これは、前年1月の緊急事態宣言に伴う時短営業による飲食の苦戦や、衣料品、身の回り品等の不振によるマイナス23.1%という大幅減の反動があったと推察される。一方、キーテナントはコロナ下でも食品や日用雑貨などの巣ごもり需要が堅調であり、前年も1桁台のマイナスに踏みとどまったことから、プラス1.8%と微増となった。
地域別では、前年は緊急事態宣言が発出された地域が多かったことから、反動増もあり全ての地域で前年を上回ったが、コロナ前の2019年比では厳しい状況が続いている。
関東は、総合で前年同月比プラス13.2%となった。特に、東京区部がプラス16.9%と高い伸長率となった。これは緊急事態宣言下であった前年よりもオフィスワーカーの出社率が増加したことにより、オフィス街立地や繁華街立地のSCの多くが前年を大幅に上回った等の要因によるものである。
北陸は、総合で前年同月比プラス13.9%となった。特に、中心地域がプラス24.0%と伸長率が高かった。前年と比べると帰省客の賑わいが戻り、お土産や飲食を中心に売上げを伸ばしたことが要因と言える。
近畿は、総合で前年同月比プラス6.1%となった。大阪市プラス12.3%、神戸市がプラス10.3%と牽引した。これは前年の1月14日に関西3府県に緊急事態宣言が発出されたことなどによって売上げが大きく落ち込んだ反動が主な要因と考えられる。大阪市は前年にマイナス38.2%と大幅にマイナスとなったが、今年は中心地域の繁華街立地や駅立地のSCを中心に前年を大きく上回った。神戸市はレジャー需要にも対応する広域大型SCが好調であった。
業種別にみていくと、「ファッション」では、年始の外出機会の増加にともない、アクセサリー、靴、スーツなどの需要が増加した。年末からの気温低下により、冬物の売上げを伸ばした。ラグジュアリーも年末に引き続き好調だった。ファッションは価格に関わらず、気に入れば購入する傾向があり、プロパー商品が売上げを引き上げた。
「飲食」は、年始は年末からの好調が継続していたが、月後半にかけて感染者増により全国各地でまん延防止等重点措置がとられ、来客数減の傾向が見られた。特に宴会需要が減った居酒屋や喫茶の落ち込みが目立った。一方、テイクアウトを主としているテナントは好調だった。
「サービス」は、『劇場版 呪術廻戦0』などのお正月映画のヒットにより、「シネマ」が好調だった。