2月SC統計|既存SC売上高4.4%減・緊急事態宣言のエリア拡大が要因

(一社)日本ショッピングセンター協会(東京都文京区、清野智会長)が3月25日(金)、2022年2月の「SC販売統計調査」を発表した。36都道府県がまん延防止等重点措置下での営業となった2月度は、既存SC売上高の前年同月比マイナス4.4%と、1月のプラス11.0%から一転、マイナスとなった。

前年も緊急事態宣言下の営業だったが、宣言等の対象地域が前年の11都府県に対して今年は36都道府県と広範囲にわたったことで、周辺地域での来館者数の落ち込みがマイナス6.0%と大きく、前年を下回る結果となった。2019年比でもマイナス18.8%と、前月からさらに0.8ポイント減となった。

テナントは、前年同月比伸長率マイナス4.9%となった。特に、前年通常営業ができた地域のSCでは、まん延防止等重点措置発出に伴う営業時間短縮によりディナータイムの売上げの落ち込みが大きかった。また、物販も、全国的に気温が低く推移したこともあり、春物商材の動きが低調だった。

キーテナントは、前年同月比伸長率マイナス2.4%となった。中心地域は同プラス2.9%と前年を上回った一方で、周辺地域では前年と比較して来館者数の減少が郊外立地のGMSを中心にみられ、同マイナス3.3%と前年を下回った。

立地別では、中心地域・大都市は総合で前年同月比伸長率プラス0.9%と前年をわずかに上回った。前年は緊急事態宣言下で20時閉店としていたSCが、 今年は21時閉店と営業時間を伸ばせたことで、厳しいながらも、飲食を中心に前年から売上げを伸ばした。しかしながら、仙台を除く13都市がまん延防止等重点措置の対象地域となったこともあり、2019年比では前月から0.6ポイント減となるマイナス29.4%と厳しい状況が続く。

中心地域・中都市は総合で前年同月比伸長率マイナス2.2%となった。中都市の中でも、東京都近郊の、比較的人口規模の大きい都市部は、 前年の反動もありプラスとなったSCが多かった一方で、地方都市は、外出自粛と寒い日が続いたこともあり、春物商材の需要が低調 で地元客の来館が伸び悩んだという声も聞かれ、前年を下回るSCが多く見られた。

周辺地域は総合で前年同月比伸長率マイナス6.0%となった。北海道など、前年は緊急事態宣言等の対象地域ではなかったが、今年はまん延防止等重点措置下での営業となった地域が苦戦した。特に、夜間帯の利用者の落ち込みが顕著との声が聞かれた。

地域別では、まん延防止等重点措置が36都道府県で発令されたことで、各地域で外出自粛傾向がみられ、全9地域で前年を下回った。

北海道は、総合で前年同月比伸長率マイナス14.4%と全地域中最大のマイナス幅となった。まん延防止等重点措置に加えて、札幌などで記録的な大雪で交通機関が大幅に乱れたことも影響した。

関東は、総合で前年同月比伸長率マイナス2.3%となった。中心地域プラス1.5%、周辺地域マイナス4.0%と明暗が分かれた。中心地域は東京区部の繁華街やオフィス街に立地するSCが全体の数字を引き上げた。東京は、感染が急拡大していた上旬は厳しい状況が続いたが、月末に向けて感染者が減少傾向となり、飲食では平日のランチ利用や近隣オフィスワーカーが徐々に回復してきたとの声も聞かれた。

マイナス4.9%となった近畿も中心地域プラス1.4%、周辺地域マイナス6.9%と、同様の傾向が見られた。

業種別に見ていくと、「ファッション」は、気温が低く推移したなかで、春物は実需に強いテナントが苦戦した一方、セレクトショップなどのファッション感度の高いテナントでは動きがみられたとの声が聞かれた。

「飲食」は、前年が緊急事態宣言下で20時閉店だったSCでは伸長したとの声も聞かれたものの、それ以外のSCでは営業時間短縮や 人数制限の影響で夜間帯を中心に前年を下回った。

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