小売各業態10月統計月報 台風特需でスーパーマーケットのみプラス
各小売業態10月の販売実績数値が出そろった。
10月は2週連続の大型台風上陸などによる天候不順が、
小売りに大きく影響したひと月であった。
百貨店
日本百貨店協会が発表している「全国百貨店売上高概況」。
調査対象は83社238店。
売上高総額は4783億4425万円で既存店前年同月比マイナス2.2%。
地区別では大阪と福岡を除き、すべての都市・地区でマイナスだった。
特に京都が著しく不調で、マイナス9.2%。
商品別に見ると、衣料品が1769億3137万円でマイナス2.8%。
身のまわり品が607億3605万円のマイナス1.2%、
雑貨716億5975万円でマイナス0.6%。
家庭用品の中で家電はプラス12.3%と好調だったが、
家具がマイナス11.9%で、家庭用品全体としてはマイナス6.2%。
食料品は1196億8214万円のマイナス1.5%だった。
10月前半、2週末連続して台風が本州に上陸したことにより、
特に西日本では営業時間の短縮などにより来客数が大幅に減少した。
後半の低温基調は冬物商材の動きに好影響を及ぼしたが、
全体をカバーすることはできずに終わった。
コンビニ
日本フランチャイズチェーン協会発表の「コンビニエンスストア統計調査月報」。
加盟企業の大手コンビニ10社を調査している。
ココストア、サークルKサンクス、スリーエフ、セイコーマート、
セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ポプラ、
デイリーヤマザキ、そしてローソン。
全店舗の売上高は8295億4500万円でプラス3.6%。
全店ベースでは実に20カ月連続のプラスとなった。
しかし、既存店ではマイナス1.1%で7カ月連続マイナス。
店舗数はもちろん増加のプラス5.2%。
そして既存店の客数はマイナス1.2%。
平均客単価は587.6円でプラス0.1%となった。
台風の影響で来客数は減ったものの、
気温が低かったことによりコーヒーを含むカウンター商材は好調で、
客単価にプラスをもたらした。
総合スーパー
総合スーパーは「チェーンストア販売統計月報」から分析する。
日本チェーンストア協会が調査し、発表するもの。
調査対象は大手総合スーパーを含むチェーンストア60社。
この協会の売上げの半分ほどが総合スーパーによるもの。
しかし食品スーパーマーケットも40社ほど含まれているし、
ニトリやケーヨー、ダイソーやキャンドゥも参加している。
だから総合スーパー業態の動向を推測するのに役立つし、
一方で、小売業全体のトレンドと見ることもできる。
総販売額は1兆0482億4334万円、既存店前年同月比マイナス1.9%。
食料品が6728億2415万円でマイナス0.5%、
衣料品は965億9334万円のマイナス7.5%、
住関品は2113億6772万円でマイナス4.0%。
すべての部門で残念ながらマイナス。
唯一、食料品部門では畜産が相場高の影響でプラス、
そして惣菜が揚げ物、中華、米飯を中心にプラスだった。
スーパーマーケット
日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、
新日本スーパーマーケット協会から合同発表されている、
「スーパーマーケット販売統計調査」。
285社、7348店舗の調査。
総売上高は8147億3088万円で既存店前年同月比がプラス0.7%。
食品合計は7183億7241万円でプラス1.1%。
生鮮3部門合計は2725億4583万円でプラス2.5%、
うち、青果は1092億7570万円でマイナス1.4%、
水産が714億7537万円でプラス2.5%、
畜産が917億9476万円でプラス7.6%。
ずっと相場が高騰していた青果がここにきて、
相場安でマイナスに転じた。
惣菜は760億4718万円のプラス3.4%、
日配が1572億9976万円でマイナス0.1%、
一般食品は2124億7964でマイナス0.5%。
さらに非食品が660億9012万円でマイナス2.4%の、
その他が302億6835万、マイナス1.8%だった。
今月の発表者は増井徳太郎さん。
新日本スーパーマーケット協会副会長。
「10月は全店でも既存店でもプラスだった。
節約志向だか、売上げは順調に推移している。
企業規模の大小にかかわらず、スーパーマーケット業態全体が順調で、
地域企業も知恵を絞り、好調であった」
「台風18号・19号が相次いで上陸し、
営業時間の短縮や休業に追い込まれた企業も少なからずあった。
2週末連続での上陸で特需が発生した」
「それ以外はほぼ平年並みの秋らしい気候。
上旬は気温が低く、飲料に影響した。
また生鮮・惣菜の好調が一服した感じ。
青果の相場が下がったものの、畜産はまだまだ好調で、全体を牽引している」
「ハロウィン商戦も活況だった。
近年は大人も楽しむイベントとしてプロモーションの幅が広がっている。
関連アイテムで売上げを伸ばしている。
また、ボジョレヌーヴォーの予約販売は前年並みだった。
5000円台の高いものから2000円台の安いものまで幅広く売れている」
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百貨店や総合スーパーと違って、
毎日の買物の場であるスーパーマーケットは、
気象状況によって特需が生まれやすい。
これはコンビニ業態にも当てはまる。
台風などが来ると、消費者は近隣の店舗で買物を済ますからだ。
水や買い置き可能な食品はもちろんのこと、
数日分の生鮮食品を買いだめすることによって、
ある種の特需が発生する。
それは他の業態から顧客を奪うことになる。
業態別の既存店前年対比の数値は、
百貨店、マイナス2.2%、
総合スーパー、マイナス1.9%。
コンビニ、マイナス3.6%、
そしてスーパーマーケットのみ、プラス0.7%。
スーパーマーケットに関してはそれが、10月の結果に如実にあらわれた。
コンビニの既存店マイナスは客数マイナス1.2%が示すとおり、
カニバリゼーションの影響だと考えられる。
つまり「共食い」。
コンビニ業態の飽和がこの統計に現れていると見ることができる。
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