3月の百貨店売上高は前年比▲19.7%、コンビニは既存店12カ月連続ダウン
4月下旬、業態ごとに各協会から3月の実績が統計発表される。
今日は最大面積を誇る百貨店と最小面積のコンビニエンスストア。
百貨店
平成27年3月の全国百貨店売上高概況が、日本百貨店協会から発表された。
対象は82社239店。前月から1社1店減少。2月末日で、熊本の伝統の県民百貨店が閉鎖したため。結果として、熊本県内唯一のデパートメントストアは㈱鶴屋百貨店だけになってしまった。その鶴屋は旧県民百貨店から120名の社員を受け入れている。
さて、全国百貨店売上高は5441億9294万円、前年同月比19.7%減。2カ月ぶりのマイナス。
百貨店協会はその要因を二つに分析する。
第一は、昨年4月の消費税増税による駆け込み需要による高伸の反動減。
第二は、休日が前年よりも2日少なかったことの影響。
地区別では、
東京は、1432億9565万円、マイナス16.5%(5カ月ぶり)
大阪は、658億7247万円、マイナス22.1%(8カ月ぶり)
札幌は、139億0839万円、マイナス19.5%(2カ月ぶり)
前年比はすべての地区でマイナスであったものの、消費税増税前の駆け込み需要という特殊要因を除く一昨年比では主要都市はプラスを記録した。
商品別では、
衣料品 1919億6523万円 マイナス18.8%(2カ月ぶり)
身のまわり品 715億7548万円 マイナス25.8%(4カ月連続)
雑貨 885億3173万円 マイナス32.2%(5カ月ぶり)
家庭用品 264億1862万円 マイナス28.5%(12カ月連続)
食料品 1338億6934万円 マイナス5.7%(2カ月ぶり)
細分類では、
化粧品 358億3139万円 マイナス25.8%(9カ月ぶり)
家具 76億3053万円 マイナス35.4%(12カ月連続)
食料品が比較的小幅な減少で健闘したものの、他の品目は大幅にマイナス。特に昨年3月に統計開始以来最高売上伸率を示した身のまわり品、雑貨、衣料品に影響が及んだ。
細分類でも駆け込み需要で数字を伸ばした化粧品、家具などの落ち込みが激しかったが、株高、企業収益の改善、それに伴う賃上げ期待による消費マインドの向上、外国人売上高による底上げにより、一昨年より上回った。
商品ではラグジュアリーブランド、高級時計、化粧品、日本酒や国産ウィスキー等に動きが出ている。
訪日外国人売上高は、ビザ緩和や円高、花見ツアーの客増加により、なんと売上高プラス218.6%、客数プラス251.7%と、引き続き絶好調。
訪日外国人の売上げには今後も期待が高まるが、ゴールデンウイークの4月下旬から5月にかけては、衣料品、家具、家電等の買物を家族で計画する日本人客も増える。ハレの消費に強いはずの百貨店の出番だ。
コンビニ
一方、日本フランチャイズチェーン協会の「コンビニエンスストア統計調査月報」。
上位コンビニエンスストア10社の統計。
既存店ベースでみると、
売上高は7626億1100万円(前年同月比マイナス2.8%)12カ月連続のマイナス。
来店客数は12億6107万人(前年同月比プラス0.2%)2カ月連続のプラス。
平均客単価は605円(前年同月比マイナス3.0%)2カ月連続のマイナス。
3月は降水量が多かったが、平均気温が全国的に高かったため、来店客数は、全店、既存店共にプラス。客単価は、セブン-イレブンが先鞭をつけて、ほとんどのコンビニチェーンが追随した淹れたてコーヒーを含むカウンター商材や惣菜が引き続き好調。
しかし消費税増税前のたばこ等の駆け込み需要の反動を受け、全店、既存店共に前年を下回った。なお、既存店売上高は前年を下回っているものの、たばこの売上高減少分を勘案すると前年よりプラスとなる。
既存店ベースの分野別構成比と増減動向は、次の通り。
日配食品 35.5%(プラス2.4%)
加工食品 26.9%(マイナス0.3%)
非食品 31.4%(マイナス12.4%)
サービス 6.2%(プラス14.6%)
非食品がまだまだ減り続け、日配品とサービスが伸び続ける。問題の加工食品をいかに伸ばすか。
今月末からはいよいよゴールデンウィークが始まる。
家族連れの小旅行に欠かせない、菓子類、飲料、弁当、惣菜等で消費者にいかに魅力的にアピールできるか。淹れたてコーヒーもドライブ休憩でますます売れ行き好調を堅持しそうである。
コンビニ統計は、調査対象が10社と、少ない。したがって、比較的楽な調査となる。協会にお願いしたいのは、チェーン別の詳細な統計を付け加えて欲しいということ。コンビニ全体が良くなったり、全体が悪くなったりといった傾向はなくなった。セブン-イレブンとローソンはいいけれど、ほかは悪い。ビッグ3は健闘したが、4位以下は落ち込んだ。セブン-イレブンはいいけれど、あとは全滅。あるいはセブン-イレブンまで悪くなった。
この傾向が商品カテゴリーごとに整理されると、すぐに役に立つ情報となる。百貨店協会やチェーンストア協会、スーパーマーケットの3協会ほどに調査に苦労をしないのだから、そのくらい手間をかけてくれるとありがたい。コンビニ業界をもっともっと宣伝し、知らしめることに貢献するだろう。蛇足ながら、お願い。
検索ワード;百貨店 コンビニエンスストア