5月の百貨店売上高は訪日客246%増で前年比6.3%増

平成27年5月の全国百貨店売上高概況が、日本百貨店協会から発表された。
調査対象は前月と変わらず82社239店。
ゴールデンウイークを含む5月の百貨店の動向をみてみよう。

5月の全国百貨店売上高は4886億5486万円。
前月同様、昨年の消費税引き上げ後の買い控えの反動、
および休日2日増などの影響により
昨年同月比6.3%増と2カ月連続でプラスとなった。

地区別には、
東京は、1303億5038万円、プラス11.6%(2カ月連続)
大阪は、614億4553万円、プラス8.4%(2カ月連続)
名古屋は、309億9988万円、プラス8.1%(2カ月連続)
北海道のマイナス1.2%を除くと、
他地区はすべて、2カ月連続のプラスと好調であった。
特に東京をはじめとして大都市圏では絶好調。

商品別では、
衣料品は1691億1567万円、プラス3.0%(2カ月連続)
身のまわり品682億4016万円、プラス9.8%(2カ月連続)
雑貨796億5520万円 、プラス23.7%(2カ月連続)
家庭用品234億2993万円、プラス7.0%(2カ月連続)
食料品1174億7097万円、プラス0.4%(2カ月連続)
主要5品目はすべて2カ月連続のプラスであった。
特に雑貨は前月に続き二桁のプラスとなり、好調を維持している。

細分類では、化粧品がプラス25.2%。
高級時計を軸にして美術・宝飾・貴金属がプラス38.0%と、
大きな伸びをみせている。

訪日外国人客の売上げは、中国、韓国、タイを中心とするASEAN諸国からの旅行客の伸長で、購買客数は246.3%プラス。
売上高も過去最高の266.4%のプラスを記録した。

JNTO(日本政府観光局)の発表によると、
5月の法人外客数は164万2000人で前年同月比プラス49.6%となり、
5月としては過去最高であった。
例年5月は、お花見シーズンの4月と夏休みの狭間で伸び率鈍化の傾向が見られたが、
今年は勢いが衰えず、単月としては4月に次ぐ過去2番目の記録となった。
6月以降は夏休みシーズンに入り、訪日旅行市場も繁忙期を迎えることから、
一層の増加が期待される。
ただし韓国におけるMERSの感染拡大については、動向を注視する必要がある。

大手百貨店グループの5月の売上高をみてみると、どの企業もプラスである。
  ・㈱三越伊勢丹ホールディングス  9.6%プラス  
       家電が大きな伸び。
  ・J.フロント リテイリング㈱   10.5%プラス  
       初夏のファッションアイテムや訪日外国人売上げの効果などにより、
       ラグジュアリーブランドや美術宝飾品、化粧品が大幅プラス。
  ・㈱髙島屋  10.0%プラス  
       夏物用品や高額品が売上げ伸ばす。
  ・エイチ・ツー・オー リテイリング㈱  5.6%プラス  
       雑貨が好調。

6月はなんといってもお中元シーズンに突入する。
百貨店にとっては勝負の月である。
それに加え、伸び続ける訪日外国人の購買力。
MERSの動向は心配だが、今後もやはり期待せずにはいられない。

衰退業態の代表格の百貨店だが、商圏がアジアに拡大して、好調に転じた。日中、日韓の政治的関係も、徐々にではあるが改善され、2020年の東京オリンピックに向かう。百貨店業態の商品やサービスのさらなる進化は日本全体の消費を引き上げる牽引力となる。消費は常に高度化、高品質化、高額化のベクトルを持つからだ。その意味で、百貨店の好調は他業態にも福音となる。

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