9月外食産業は前半の天候不順盛り返してシルバーウイーク絶好調、全店売上げ1.6%増
外食産業は食品小売業の水先案内人――一般社団法人日本フードサービス協会(JF)が、9月の外食産業市場動向調査の結果を発表した。新規店も含めた「全店データ」を業界全体及び業態別に集計したものである。シルバーウイークは外食産業にどう影響したのか。
全体概況
9月は天候に影響され前半ふるわず。前線や低気圧による低気温、台風による関東・東北の豪雨のため客足が減った。しかし、5連休のシルバーウイークが好天に恵まれ、需要を取り戻し、売上げは1.6%のプラスとなり、3カ月連続で前年を上回った。
業態別概況
<ファストフード業態>
全体売上高は0.3%とわずかながらプラスを確保した。
洋風――雨天が響き、新メニュー、季節メニューを打ち出したものの、マイナス2.6%。
和風――新メニューやクーポンが奏功し、6.4%プラス。先月は二桁の伸びを見せたが、それには及ばないものの、今月も健闘した。
麺類――夏メニューが引き続き好調で4.2%のプラス。日本人の麺好きは変わらず。
持ち帰り米飯・回転寿司――0.4%とわずかにマイナス。店舗数の減少が今月も影響。
その他――低温気候によりアイスクリームが不調。カレーは好調だった。
<ファミリーレストラン業態>
全体売上高はプラス4.0%と、29カ月連続して前年を上回った。
洋風2.4%・和風5.1%・中華1.7%・焼肉12.9%とすべての業種でプラスを計上した。特に焼肉は二桁の伸び。先月の夏休み効果に続き、シルバーウイークも家族連れに一番人気だった。
<パブ・居酒屋業態>
パブ・ビアホール――前半、天候不順の影響を受けたが、後半はイベントやキャンペーンが奏功し、2.0%のプラス。店舗数は減ったものの、客数、客単価がプラスとなり、前年を上回った。
居酒屋――7.3%マイナス。こちらは店舗数、客数、客単価すべてマイナスで厳しい状態が続いている。
<ディナーレストラン業態>
売上高8.2%、店舗数4.3%、客数3.0%、客単価5.1%と全てプラスなり、この業態は引き続き元気だ。繁華街立地の大型店などが好調で数字を引き挙げている。
<喫茶業態>
前半の天候不順が影響し、客数はマイナス2.4%となったが、秋のキャンペーンが奏功し、店舗数0.4%、客単価3.2%プラスとなり、売上高0.8%増となった。
(表はすべて(社)日本フードサービス協会・外食産業市場動向調査 平成27年9月度結果報告より)
9月は前半天候不順に悩まされたが、後半はシルバーウイークの好天に助けられてプラスを計上。これは、小売業も全く同じ傾向だった。下記の表をみると、東京も大阪も昨年より雨の日が5日も多かったのがわかる。
今月の外食産業で好調だった業態は、インバウンド効果もあり、伸び続けているディナーレストラン。そして、ファミリーレストランの焼肉系、強し。また、ファストフードの和風と麺類。
夏休み、シルバーウイークと大型連休が続いて、売上げが伸びた2カ月であったが、10月は体育の日を含む3連休が一度あるだけだ。ただ、ここ数年で急に認知度があがり、日本人に浸透してきたハロウィンのイベントがある。いまや、バレンタインデーをしのぐ。小売業にとっても重要なビジネスチャンスのひとつとなり、仮装した店員があちこちに登場している。
外食産業にはどのような影響を与えるのか。街中がオレンジに彩られ、雰囲気は伝わってくるが、それを外食がどう取り込むのか。ケンタッキー・フライド・チキンは、期間限定メニューで「パンプキンビスケット」「ハロウィンバーレル」を販売。ミスタードーナツでもハロウィンシーズン限定の新作ドーナツや「ミスドハロウィーン セットボックス」を用意した。もちろんサーティワン・アイスクリームは、「我こそは主役なり」と派手に仕掛けるだろう。その他の各業態も個々に着々と準備をしていることだろう。
その結果、10月のフードサービス業はどう化けるのか・・・。大いに楽しみだ。
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