百貨店10月は好天とインバウンド消費で主要都市・主要品目すべて増加

11月19日の今日、全国百貨店の10月売上高概況が日本百貨店協会から発表された。

調査対象百貨店は、今月も変わらず82社238店。
総店舗面積は、603万9389㎡(前年同月比▲0.9%)、総従業員数は、7万7420人(同▲1.3%)。
店舗面積と従業員数ともに前年同月より減った。

10月は東日本以西では、前半は寒気が流れ込みやすく気温が低かったが、後半は大陸からの温かい空気に覆われたため気温が高くなり、月平均気温は平年並みとなった。全国的に秋らしい穏やかな天候が続いたこと、土曜日が昨年より1日多かったことが好影響し、売上高は4974億7238万円、前年同月比4.2%増となり、7カ月連続でプラスとなった。

地区別に見ると、特に好調だったのは以下の4都市。プラス幅の大きい順に並べた。
京都が、202億5149万円、プラス8.2%(3カ月連続)
東京は、1323億7727万円、プラス7.4%(7カ月連続)
大阪は、636億3261万円、プラス6.9%(7カ月連続)
福岡は、165億7567万円、プラス6.1%(4カ月連続)
他の名古屋3.3%、神戸3.3%、横浜2.4%、札幌1.8%、仙台0.8%、広島0.8%の6都市も昨対増となり、10都市すべてがプラスを記録した。

その他の地域では、北海道▲7.2%、関東▲0.1%と2地区はマイナスだったが、九州4.7%、四国3.2%、近畿1.8%、中国1.6%、東北1.4%、中部1.3%がプラスとなり、10月は全国的に好調だった。

商品別に見ると、
衣料品1792億8883万円、プラス1.5%(3カ月ぶり)
身のまわり品639億8798万円、プラス5.5%(7カ月連続)
雑貨826億1642万円 、プラス15.5%(7カ月連続)
家庭用品230億5575万円、プラス3.4%(2カ月連続)
食料品1212億7663万円、プラス1.6%(2カ月連続)
これら主要5品目はすべてプラス。

細分類はどうか。
主力の衣料品は、紳士服7.6%、婦人服2.7%、子供服3.9%、その他衣料5.0%と揃ってプラスとなり、10月は秋らしい天候が続いたことで、秋物が好調だったとみることができる。

雑貨は、化粧品22.5%、美術・宝飾・貴金属16.2%プラスと相変わらず高い伸びを維持し、7カ月連続で二ケタ増となっている。

家庭用品は、家具が7.6%増と好調。ただし家電は▲6.2%と不調が続く。

食料品は、菓子2.7%、惣菜1.9%、その他食料品2.1%がプラスとなり堅調に推移した。
しかし、生鮮食品は▲0.9%で19カ月連続マイナスが続いている。
本来生鮮は相場高が続いているから、スーパーマーケット同様プラスに転じなくてはならないが、
逆に百貨店での需要が、価格高で嫌忌されているのかもしれない。

訪日外国人客の動向は、購買客数が94.1%増、売上高も96.0%増となり、2倍近い伸びで、33カ月連続でプラスとなった。昨年10月の免税制度改正から一巡したが、好調はまだまだ続いている。
特に10月は国慶節を中心としたホリデーシーズンもあり、訪日中国人の需要が高かった。

大手百貨店グループの10月の売上高を見てみよう。

・㈱三越伊勢丹ホールディングス  3.1%プラス  
  雑貨が23.6%と二ケタの伸び。
  衣料品は1.2%の伸びだったが、その中で、子供服が、11.9%と好調。
  呉服寝具も10.8%と二ケタのプラスとなっている。
  これは、10月14日に三越銀座店リニューアルオープンしたことが大きい。
  予算比105%、前年同月比118%を達成している。

・J.フロント リテイリング㈱   4.6%プラス  
  婦人服が、ラグジュアリーブランドを中心に好調に推移。
  化粧品・宝飾品が訪日外国人により活発に消費された。
  また心斎橋店本館の建て替え前の売り納めセールによる嵩上げ効果もあり好調であった。

・㈱髙島屋(単体13店舗) 7.3%プラス  
  雑貨が21.4%と高い伸び。
  細分類では化粧品25.9%、美術・宝飾品・貴金属24.9%と好調。
  家庭用品も20.0%。
  細分類では家具43.2%先月大きくマイナスだった家電は、10月は31.1%と大幅増となった。
  身のまわり品12.2%、衣料品6.9%、食堂・喫茶6.5%、食料品1.2%と
  ずらりとプラスが並び、好調を維持した。
  インバウンド需要に加え、営業施策が奏功し来店客数が増加したことによる。

・エイチ・ツー・オー リテイリング㈱  6.2%プラス  
  雑貨が好調で、35.8%のプラス。
  衣料品は3.7%プラス。その中で紳士服が15.2%と好調。子供服2.7%プラス。
  婦人服は9月に続きマイナス1.1%であった。

10月は9月同様、どの百貨店もプラスだった。
商品分野では、雑貨と身のまわり品が相変わらずの好調が続いている。
また売れ筋商品の違いはあったものの、百貨店全般に衣料品が好調に推移した。
天候に恵まれたとはいえ、やはり、国慶節のインバウンド需要が大きく寄与している。

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