10月外食産業は好天とイベントで、全店売上げ5.0%増

一般社団法人日本フードサービス協会(JF)が、10月の外食産業市場動向調査の結果を発表した。新規店も含めた「全店データ」を業界全体及び業態別に集計したものである。食品小売業の水先案内人である外食産業の10月の動向をみてみよう。

全体概況
10月は好天に恵まれたこと、また土曜日が前年より1日多かったことが大きく影響し、売上げは前年同月比5.0%と大きく伸び、4カ月連続で前年を上回った。客数1.5%プラス、客単価も3.4%プラスと好調であった。

業態別概況

<ファストフード業態>
全体売上高は3.8%プラス。客数は0.1%とわずかにプラスだったものの客単価が3.7%であった。
洋風――バリューを訴求した値頃感あるキャンペーンが奏功し、プラス2.5%の伸び。
和風――主力商品の期間限定値引き、クーポン配布等で8.5%プラスと今月も好調。
麺類――既存店売上が着実に伸び6.2%プラス。
持ち帰り米飯・回転寿司――商品改革や期間限定セールで1.2%増。先月はマイナスだったので健闘した。
その他――売上高3.9%プラス。「カレー」「アイスクリーム」共に賢調に推移。

<ファミリーレストラン業態>
全体売上高はプラス7.0%と、30カ月連続して前年を上回った。
洋風――高単価商品、低価格商品共に好調でプラス5.7%の伸び。
和風――メニューの見直し等で客数4.5%、客単価4.0%とバランスよく伸び、売上げも8.6%プラスとなり今月も好調。
中華――食材、商品サイズの見直し等で客単価が2.4%とアップし、売上げは4.2%のプラス。
焼き肉――ファミリー層に相変わらず強く、客数8.8%、客単価5.5%、そして売上げは14.8%増となり、今月も二桁の伸び。焼き肉人気に季節は関係ないようだ。

<パブ・居酒屋業態>
パブ・ビアホール――屋外イベントの帰り客、ラグビーW杯のスポーツバーなどの集客が好調に推移。客単価は1.0%のマイナスであったが、客数が4.9%と伸び、売上げも3.8%のプラスとなった。
居酒屋――店舗削減が影響し、売上げ、客数、客単価全てマイナスだが、インバウンド消費の外国人観光客が増加傾向にあり、今後に期待できる。

<ディナーレストラン業態>
ハロウィン・プロモーションを展開したディナーレストランには効果が表れ、観光地のインバウンド消費にも成果が出て、売上高11.8%と二桁の伸び。今年一番の対前年度増加率となった。店舗数4.7%、客数7.9%、客単価3.6%と全てプラス。

<喫茶業態>
付加価値の付く電子マネーの導入、商品キャンペーン等により、売上高4.2%、客数2.5%、客単価1.7%と全てプラスで好調。

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(表はすべて(社)日本フードサービス協会・外食産業市場動向調査 平成27年10月度結果報告より)

今月の好調の要因はなんといっても好天に恵まれたことだ。下記の表を見るとよくわかるように、昨年に比べ東京都、大阪府ともに雨天日数がかなり少ない。昨年は2度の台風上陸に見舞われ、苦戦していたが、今年は穏やかな月となり、また土曜日も1日多かったことが好影響し、客数を獲得した。

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今月の外食産業で好調だった業態は、ハロウィン効果、インバウンド効果のディナーレストラン。そして、ファミリーレストランの焼き肉。売上高二桁を計上し、好調は続いている。10月は各業態でハロウィン対策に取り組んだ結果、それが全体を押し上げた。

また、「パブ・ビアホール」の売上げに貢献した今注目のラグビーW杯。福岡のショッピングセンターにはプロ野球のホークス優勝セールが影響したが、スポーツも消費や経済に大きくかかわっている。つまりはスポーツはビジネスチャンスにつながる。それを水先案内人が教えてくれる。

そして11月24日は「和食の日」。ファストフードもファミリーレストランも和風商品は好調を維持しているが、11月は様々なキャンペーンを用意して、ますますの売上効果を狙ってくるだろう。

最後に、マクドナルドが大量に閉店している。その一方、ニューヨークのシェイクシャック・バーガーが東京の神宮外苑に登場。新しいグルメハンバーガーのブームが他業種・他業態にも影響を与えるだろう。

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