商業動態統計2015年通算はコンビニ&ドラッグが好調だった
各協会から続々と報告されている業態別売上速報に続き、経済産業省からは昨年12月の商業動態統計速報と、平成27年1年間の通算の結果が発表された。
12月の商業販売額は42兆0170億円(税込み)で前年同月比2.9%の減少となった。
そして、季節調整済前年同月比も▲0.4%となり、振るわなかった。
(*季節調整とは、経済統計の原計数から季節の変動による業績のばらつきを取り除いた指数である。月ごとに変化する休日数、気温による需要の変動などの季節の要因を取り除いて、業績を正確に評価するために生まれたものである。)
1.卸売業の販売額動向
販売額は、28兆6530億円(前年同月比▲3.7%)。
季節調整済みでも、▲0.5%と減少した。
卸売業の業種別で前年同月比でプラスとなったのは、以下のとおり。
食料・飲料7.6%、医薬・化粧品4.0%、繊維品2.2%、建築材料2.0%
一方、減少したのは、鉱物・金属材料▲13.4%、家具・建具・じゅう器▲9.0%、
化学製品▲8.3%、その他▲8.2%、機械器具▲6.6%、各種商品▲3.9%、
衣服・身の回り品▲2.7%、農畜産物・水産物▲2.4%。
マイナスカテゴリー多かった。
大規模卸売店販売額は9兆6357億円となり、前年同月比▲6.8%となった。
商品別にみるとプラスだったのは、輸送用機械器具で72.6%。大幅に伸長。
その他では、医薬品・化粧品14.7%、食料・飲料11.8%。
一方マイナスは、一般機械器具▲37.1%、鉱物▲35.2%、石油・石炭▲22.7%、
鉄鋼▲17.3%、非鉄金属▲12.8%。
2.小売業の販売額動向
販売額は、13兆3640億円、(前年同月比▲1.1%)。
季節調整済みも▲0.2%。
商品別で前年同月比で増加となったのは以下のとおり。
医薬品・化粧品4.4%、織物・衣服・身の回り品3.9%、飲食料品3.2%、
その他1.0%。
一方、減少したのは、燃料▲16.3%、自動車▲2.1%、各種商品(百貨店など)▲0.8%、
機械器具▲0.3%。
3.百貨店・スーパーの販売額動向
販売額は、2兆0924億円(前年同月比プラス0.9%)。季節調整済はプラス1.4%となった。
既存店では0.0%と横ばい。
●百貨店
百貨店は7826億円(前年同月比▲0.1%)。
しかし、季節調整済プラス2.6%で、既存店は0.3%増。
主力の衣料品は、全体で▲3.4%。
詳細をみると、紳士服・洋品▲6.5%、婦人・子供服・洋品▲5.3%、その他の衣料品▲3.7%、
身の回り品だけが1.1%のプラス。
飲食料品は、プラス0.2%。
その他は、全体でプラス5.0%。
内訳をみると、その他商品6.6%、家具2.9%、家庭用品1.6%とすべてプラス。
一方、家庭用電気機械器具▲1.7%、食堂・喫茶▲0.6%の減少となった。
●スーパー
ここでいう「スーパー」は総合スーパーと大手食品スーパーマーケットである。
販売額は1兆3098億円(前年同月比プラス1.2%)。
季節調整済では0.8%。既存店は▲0.2%であった。
衣料品全体では前年同月比▲7.8%。
内訳をみても、その他の衣料品▲14.4%、身の回り品▲8.5%、紳士服・洋品▲8.1%、
婦人・子供服・洋品▲5.8%と全滅。
しかし、「スーパー」の主力商品である飲食料品は2.6%増加となった。
また、その他は全体では前年同月比プラス4.2%。
なかでも家庭用電気機械器具プラス10.8%と二桁の伸び。
その他の商品プラス4.7%、家具プラス3.6%。
一方、マイナスは、食堂・喫茶▲6.2%、家庭用品▲1.8%だった。
27年の百貨店・スーパーの年間販売額は20兆0486億円、前年比でみると1.3%の増加。
百貨店は、6兆8257億円で0.0%の横ばい
スーパーは、13兆2230億円で1.9%の増加となった。
4.コンビニエンスストアの販売額動向
12月の商品販売額及びサービス売上高は9718億円(前年同月比プラス5.1%)。
内訳は商品販売額が9134億円(プラス4.7%)、サービス売上高は584億円(プラス11.6%)。
商品別にみると、
ファストフード及び日配食品は3631億円(プラス6.5%)
加工食品は2518億円(プラス7.3%)
非食品は2985億円(プラス0.5%)と、すべてプラスと好調。
コンビニの年間売上高は10兆9938億円、前年比5.5%のプラスだった。
5.家電大型専門店の販売額動向
12月の販売額は、4575億円(前年同月比▲2.8%)。
商品別でプラスとなったのは、その他1.6%だけであとはマイナス。
カメラ類▲14.6%、情報家電▲5.3%、生活家電▲2.2%、通信家電▲0.8%、
AV家電▲0.3%。
店舗数も▲0.5%減と家電業界は厳しい。
27年1年間の家電大型専門店の結果は、売上高4兆2467億円、前年比▲6.3%と不調だった。
6.ドラッグストアの販売額動向
12月の販売額は、4909億円(前年同月比プラス5.9%)。
商品別では、食品9.5%、ビューティケア(化粧品・小物)8.3%、
健康食品5.9%、その他5.4%、家庭用品・日用消耗品・ペット用品4.2%、
トイレタリー4.2%、ヘルスケア用品(衛生用品)・介護・ベビー3.3%、
OTC医薬品3.2%、調剤医薬品2.9%と12月もすべてプラスと好調を維持。
27年1年間では売上高5兆2495億円で、前年比6.3%の増加と好調だった。
7.ホームセンターの販売額動向
12月の販売額は、3380億円(前年同月比▲2.6%)。
商品別でプラスとなったのは、
家庭用品・日用品4.3%、ペット・ペット用品1.9%のプラス
オフィス・カルチャー1.2%、インテリア1.1%。
マイナスは、その他▲13.7、電気▲9.3%、カー用品・アウトドア▲8.6%、
園芸・エクステリア▲4.2%、DIY用具・素材▲1.7%。
経済産業省が発表した商業動態統計速報を見る限り、小売業で好調だった業態は、店数を増やしているコンビニとドラッグストア。ドラッグストアはインバウンド消費の恩恵を強く受けているが、同じくインバウンド消費を当て込んだ家電大型門店はマイナスの結果となった。
訪日外国人の購買行動が、変化を見せ始めていることは確かだ。それが2016年のインバウンド消費の明暗を分けることになる。
百貨店は横ばい。スーパーは微増だったが、このスーパーのカテゴリーは、総合スーパーと大手食品スーパーマーケットで構成されているから、正しくは総合スーパー業態は低迷したが、食品スーパーマーケット業態が好調だったため、カテゴリー全体では微増という結果になったと見てとれる。
経済産業省の統計では、いまだに総合スーパーと食品スーパーマーケットの業態分類を明確になっていない。業態概念が希薄だ。それはインバウンド購買分析にも障害となるに違いない。蛇足ながら繰り返し問題を提起しておこう。
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