【5月商業動態統計】ドラッグストア3.7%で伸び率トップだが、調剤医薬品・健康食品は▲

6月29日の今日、経済産業省から5月の商業動態統計速報が発表された。
5月の「卸売業」と「小売業」を合わせた商業販売額は34兆5790億円となり、前年同月比▲5.1%。季節調整済も▲2.4%という結果だった。

(季節調整とは、経済統計の原計数から季節の変動による業績のばらつきを取り除いた指数。月ごとに変化する休日数、気温による需要の変動などの季節の要因を取り除いて、業績を正確に評価するために調整される数値である。業界ごとの協会の統計にはこの調整がない。実数値である。経済産業省統計の意義はここにある といってよい)

1.卸売業の販売額動向

販売額は、23兆0360億円で▲6.6%。季節調整済は▲3.6%。
業種別にみるとプラスとなったのは、食料・飲料2.0%、建築材料1.8%の2項目だった。

一方、減少したのは、衣服・身の回り品▲13.9%、鉱物・金属材料▲13.6%、
各種商品▲13.5%、繊維品▲12.8%、その他▲11.1%、家具・建具・じゅう器▲10.2%、
農畜産物・水産物▲7.3%、化学製品▲5.5%、機械器具▲3.4%、医薬品・化粧品▲2.7%
とマイナスが並ぶ。

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(表はすべて経済産業省大臣官房調査統計グループ編商業動態統計月報による)

大規模卸売店
販売額は7兆3997億円となり、昨年同月比▲6.4%の減少。
商品別に見るとプラスは、その他の輸送用機械器具37.3%と大幅に増加。
それに続き、医薬品・化粧品10.9%、紙・紙製品が6.5%増となった。

マイナスは、石油・石炭▲28.9%、非鉄金属▲24.9%、繊維品▲16.3%、
化学製品▲16.3%、鉄鋼▲16.2%の減少だった。

2.小売業の販売額動向

販売額は、11兆5430億円で▲1.9%。季節調整済でみると0.0%の横ばい。
業種別でプラスとなったのは、自動車3.1%、飲食料品0.6%、医薬品・化粧品0.5%。

一方、減少したのは、燃料▲12.8%、各種商品(百貨店など)▲4.0%、機械器具▲2.7%、
その他▲0.5%、織物・衣服・身の回り品▲0.2%とマイナス項目が多かった。

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小売業の中の業態別結果をみると、百貨店・スーパーの販売額の合計は1兆5979億円となり、▲1.9%の減少。既存店も2.2%。しかし季節調整済は0.9%の上昇となった。
以下、それぞれの業態の結果を見てみよう。

【百貨店】
百貨店は5125億円で▲5.4%の減少。既存店は▲4.8%。しかし、季節調整済はプラス1.4%となった。

主力の衣料品は、全体で▲8.1%(既存店▲7.6%)。
詳細を見ると、婦人・子供服・洋品▲8.6%、身の回り品▲7.8%、 紳士服・洋品▲7.7%、
その他の衣料品▲6.5%。すべてのカテゴリーでマイナスとなった。

飲食料品は、▲2.8%(既存店▲2.3%)。

その他は、全体で▲3.0%(既存店▲2.4%)。
詳細は、家具が▲15.3%と二桁マイナス。食堂・喫茶▲9.4%、家庭用電気機械器具▲8.7%、
家庭用品▲7.2%、その他▲0.4%という結果になった。

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日本百貨店協会から発表された5月の百貨店売上高概況によると、売上高は4629億2215万円。爆買い効果も薄れ、前年同月比▲5.1%となり、3カ月連続のマイナスが報告されている。

【スーパー】
ここでいう「スーパー」は総合スーパーと大手食品スーパーマーケットである。
販売額は1兆0855億円で▲0.1%。(既存店▲0.8%)。しかし季節調整済ではプラス1.3%となった。

「スーパー」の主力商品である飲食料品は1.4%増となり(既存店0.1%)、なんとかプラスを維持した。

しかし、衣料品の結果は、マイナスが並ぶ。全体では▲4.8%(既存店▲4.6%)。
内訳を見ると、その他の衣料品▲11.6%、身の回り品▲4.9%、婦人・子供服・洋品▲4.5%、
紳士服・洋品▲3.3となりすべてマイナスだった。

また、その他は全体では▲3.2%(既存店▲2.3%)。
内訳でプラスだったのは、食堂・喫茶8.9%、家庭用電気機械器具1.4%、
マイナスとなったのは家具▲17.0%、家庭用品▲13.6%、その他▲1.2%とういう結果だった。

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日本チェーンストア協会から発表された「チェーンストア販売統計5月度速報」によると、総販売額は1兆1036億5676万円で既存店前年比▲1.3%となり、2月から3カ月連続でマイナスと報告された。

そして一般社団法人日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、一般社団法人新日本スーパーマーケット協会の合同調査である「スーパー マーケット販売統計調査5月実績」によると、全店総売上高は8929億3245万円、 既存店前年同月比はマイナス0.2%となり、1年2カ月ぶりにわずかにマイナスに転じたと発表された。

【コンビニエンスストア】
商品販売額及びサービス売上高の合計は9593億円で、プラス2.6%。
内訳は商品販売額が9092億円でプラス2.8%。
商品別に見ると、ファストフード及び日配食品は3547億円(プラス3.2%)、
加工食品は2651億円(プラス3.7%)、非食品は2895億円(プラス1.5%)となった。
サービス売上高は501億円となり、▲0.9%。唯一マイナスだった。

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日本フランチャイズチェーン協会から発表された5月「統計調査月報」によると、既存店は8115億3100万円、前年同期比▲0.3%。2カ月ぶりのマイナス。全店ベースでは、8888億9100万円でプラス2.3%となり、こちらは39カ月連続で増加となった。

【家電大型専門店】
販売額は、3224億円で▲2.1%。
プラスだったのは1カテゴリーのみで生活家電。売上高は1407億円で1.6%増となった。

一方、マイナスだったのは、通信家電245億円(▲0.5%)、AV家電419億円(▲1.2%)、
その他344億円(▲4.8%)、情報家電652億円(▲5.2%)、カメラ類157億円(▲17.0%)となった。
また店舗数も0.7%減少している。

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【ドラッグストア】
販売額は、4789億円でプラス3.7%。
プラスだったのは、食品1251億(7.8%)、その他116億(6.9%)、
家庭用品・日用消耗品・ペット用品742億(4.6%)、トイレタリー486億(4.4%)、
ビューティケア(化粧品・小物)720億(2.1%)、OTC医薬685億(1.8%)、
ヘルスケア用品(衛生用品)・介護・ベビー330億(0.1%)。

一方マイナスは、調剤医薬品295億(▲2.3%)、健康食品163億(▲0.4%)の2項目。

本業の商品群がダウン、あるいは低成長で、食品や日用品などスーパーマーケットでグロサリーと呼ばれるカテゴリーが伸びている。

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【ホームセンター】
販売額は、3148億円で▲1.4%。
商品別でプラスとなったのは、電気147億(2.9%)、ペット・ペット用品220億円(2.5%)、
DIY用具・素材644億円(2.0%)、家庭用品・日用品655円億円(1.0%)。

一方マイナスは、オフィス・カルチャー129億円(▲0.9%)、
カー用品・アウトドア169億円(▲4.4%)、園芸・エクステリア726億円(▲4.6%)、
インテリア216億円(▲4.8%)、その他242億円(▲7.7%)。

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2016年5月の結果をまとめると、
卸売業は▲6.6%、その中の大規模卸売店は▲6.4%。
小売業は▲1.9%となり、両者を合わせた商業合計は▲5.1%。

小売業の業態別の前年同月比をプラスの高い順に並べてみると、
プラスだったのは、ドラッグストア(3.7%)とコンビニエンスストア(2.6%)の2業態。
一方マイナスは、スーパー(▲0.1%)、ホームセンター(▲1.4%)、
家電大型専門店(▲2.1%)、百貨店(▲5.4%)。

相変わらずドラッグストアが伸び率トップを走り、コンビニがそれに続く。しかし好調を維持しているドラッグストアのここ数カ月の結果をみると、1月(7.8%)、2月(10.4%)、3月(6.3%)、4月(9.2%)となっている。この上昇率に比べると、5月の3.7%は少し落ち着ついた感がある。また商品別にみると、この4カ月だけを見てもずっとすべての項目がプラスだったのに対し、5月は2項目がマイナスとなっている。中国政府の政策転換による爆買効果の薄れがここにも見えてくる。

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また、この統計では小売業販売額を、後方3カ月移動平均で前年比と比べた報告もされている。
それによると、5月の前月比は、0.5%プラスと7カ月ぶりの上昇。
業種でみてもプラスとなった項目がある。飲食料品は0.5%(惣菜、畜産品に動き)、
織物・衣服・身の回り品1.3%(気温高の影響で夏物衣料が上昇)、
自動車2.2%(新型車効果)、機械器具0.5%、燃料0.8%などがプラスとなっており良い報告もされている。

(移動平均とは、時系列データを観察する時、データの変化が激しく、基本的な変化の傾向がつかみにくいことがあり、これを解決する一つの手段として使われる方法である。この移動平均とは、ある個数分のデータの平均値を連続的に求めそのデータ全体の変化の傾向を解析するもの)


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