【6月百貨店】売上高▲3.5%、20カ月ぶりに主要5品目すべて減

6月の百貨店売上高概況が、6月20日の今日、日本百貨店協会から発表された。前月と変わらず調査対象百貨店は81社236店。

売上高は4699億9616万円、前年同月比▲3.5%、4カ月連続でマイナスとなった。

都市別の詳細から見てみよう。
主要10都市は、すべて対前年同月比マイナスとなった。
広島▲1.0%、札幌▲1.8%、仙台▲2.2%、福岡▲2.5%、名古屋▲2.8%、
横浜▲2.9%、東京▲3.2%、神戸▲3.8%、京都▲4.4%、大阪▲5.7%
全体でも▲3.5%だった。

また10都市以外の結果は、九州が唯一プラスで、1.2%増。
しかし他はマイナス。
北海道▲1.6%、近畿▲2.8%、中部▲3.9%、関東▲4.4%、中国▲4.5%、
四国▲4.9%、東北▲6.1%となり、全体では▲3.5%。

主要10都市、10都市以外の地区ともにマイナス3.5%という結果だった。

主要5品目の6月の動向はどうだったのか。

主力の衣料品は、1376億9345万円、▲5.7%で8カ月連続マイナス。
細分類をみると、紳士服▲6.5%、婦人服▲5.5%、子供服▲4.0%、
その他衣料▲6.3%となり、すべてマイナスとなった。

身のまわり品は、587億9582万円、▲5.7%となり4カ月連続でマイナス。

雑貨は、 809億0402万円 、▲1.2%。細分類をみると、化粧品が7.6%増と15カ月連続でプラスとなり好調だったが、美術・宝飾・貴金属▲9.2%、その他雑貨が▲3.0%と不調におわり、全体では15カ月ぶりのマイナスとなった。

家庭用品は、215億4956万円、▲8.2%で6カ月連続のマイナス。
家具▲3.0%、その他家庭用品▲8.3%、そして家電は▲23.7%と大幅なマイナスとなった。

食料品は、1431億3085万円、▲0.7%で4カ月連続のマイナス。
生鮮食品▲3.2%、菓子▲0.4%、その他食料品▲0.3%で、惣菜は±0.0%と横ばいだった。

他の品目は、食堂喫茶▲5.8%、サービス▲8.2%、商品券▲6.8%。その他は▲1.0%という結果だった。

6月の主要5品目はすべて前年を割り、これは2014年10月以来20カ月ぶりのこととなった。

百貨店の部門別推移を見ていくと、その業界の動向を知ることにもなる。例えばイオンリテールの「ユニット」戦略などは、こういった情勢の変化を見定めるところからチャンスが生じてくる。

大手百貨店グループの6月の業績も見てみよう(%はすべて対前年同月比)。

㈱三越伊勢丹ホールディングス
国内百貨店事業(三越伊勢丹計+国内グループ百貨店計)▲4.0%
三越伊勢丹計は▲4.7%。

三越伊勢丹の項目別では、主力の衣料品は▲4.6%。父の日ギフトでネクタイやカフスに動きがあった。婦人雑貨では、化粧品が好調だったほか、帽子や傘などの夏物が好調だった。しかし、インバウンド需要の宝飾時計などが、引き続き苦戦し、全体ではマイナスとなった。他のカテゴリーを見ても、家庭用品▲17.2%、食料品▲0.1%、食堂・喫茶▲6.1%、サービス▲31.2%とマイナスが並んだ。中元ギフトは、基幹3店計で前年を上回るペースで好調に推移。7月本番が期待できる。

J.フロント リテイリング㈱  ▲6.8%。
好調だったのは化粧品。また松坂屋名古屋店のメンズ売場改装効果も順調で紳士物の売上げを伸ばしたが、大丸心斎橋店本館建替えによる面積減の影響が大きく、全体ではマイナスとなった。また婦人の夏物衣料の動きも鈍く、雑貨に関しては化粧品は好調を維持したが、時計・宝飾品が苦戦した。

㈱髙島屋(単体13店舗) ▲2.4%
商品別では、紳士服・紳士雑貨・婦人服、また株価の影響も受け、高額品の特選衣料雑貨や宝飾品も前年を下回った。一方、化粧品は好調に推移し、食料品もプラスを計上した。免税販売額は化粧品などが好調だったものの、前年比1.6%のマイナスに終わった。
店舗別売上げを見ると関西地区8店舗で▲2.8%、関東地区9店舗は▲2.3%となり、全店舗で前年実績を下回った。

エイチ・ツー・オー リテイリング㈱  百貨店は▲1.8%。
部門別詳細データは、全店(阪急阪神百貨店・阪食のスーパーマーケット事業・イズミヤ事業)の数字だが、プラスだったのは家庭用品10.7%。食料品が±0.0%の横ばい。他はマイナスで、衣料品▲4.6%、身の回り品▲2.3%、食堂・喫茶▲2.5%、サービス▲9.3%、その他▲0.7%という結果だった。

ここにあげた大手百貨店グループも前月に引き続きすべて売上げはマイナスとなり、苦しい月となった。6月の特徴としては、どの百貨店も化粧品が好調で、高額品が苦戦した。中国人観光客の「爆買い」の変化がそのまま業績に反映された。

協会では、次シーズンに向けて次の4項目を対策方法としてあげている。
 ①明確な市場戦略の徹底
 ②顧客戦略見直し
 ③集客手段の再検証
 ④販売チャネル磨き直し

訪日外国人の購買客数は前年同月比プラス14.0%。約23万人で41カ月連続でプラスを確保。しかし、売上高は▲20.4%で約130億円となり、3カ月連続でマイナスとなった。購買単価が▲30.2%と大幅に下落している。

日本政府観光局(JNTO)は、6月の訪日外国人客数は前年同月比23.9%増の198万6000人で、過去最高となったと発表がした。夏休みシーズンの開始と継続的なプロモーションの展開、クルーズ船の大幅な寄港増加などがその要因である。テロや英国のEU離脱問題など国際情勢不安もあり、旅行動向に影響を及ぼすことも懸念されるが、7月は年間を通じて最も訪日外国人客が多い月である。これまで売れていた高額商品の販売は縮小しているが、購買客数は増えるのだから、彼らが何を求めているかを知ることが、今、最も重要な戦略であろう。つまり中国人観光客への本格的なマーケティングの季節となってきたのだ。

爆買いを続けても、消耗する商品は、相変わらず売れている。化粧品、医薬品、そして高級食品。面白い現象は「すでに起こった未来」として現れている。

検索キーワード : 百貨店  6月  売上高  雑貨  化粧品 

関連カテゴリー

統計 最新記事

一覧

最新ニュース

一覧