【7月総合スーパー・食品スーパー】うなぎ効果もあって0.2%、1.4%とともにプラス
日本チェーンストア協会が「チェーンストア販売統計7月度速報」を発表した。この統計から総合スーパーの販売動向を読み取ることができる。それは、チェーンストア協会加盟企業の売上高の過半数は総合スーパー業態を運営する企業が占めているからだ。7月の調査対象企業は57社、9421店。昨年同月より20店、前月より5店増加。売場1㎡当りの売上高は4万3913円だった。
さて、7月実績は以下のとおり。
総販売額は1兆1050億6825万円、既存店前年比0.2%増。5カ月ぶりにプラスとなった。
1)食料品 7159億4612万円(構成比64.8%)プラス1.4%
a)農産品 982億6130万円(8.9%)プラス1.9%
b)畜産品 795億0281万円(7.2%)プラス1.2%
c)水産品 657億3581万円(5.8%)マイナス0.8%
d)惣菜 857億4614万円(7.8%)プラス2.9%
e)その他食品 3867億0006万円(35%)プラス1.3%
2)衣料品 992億0581万円(9.0%)プラス0.3%
a)紳士衣料 184億4082万円(1.7%)マイナス1.7%
b)婦人衣料 322億0132万円(2.9%)マイナス2.5%
c)その他の衣料・洋品 485億6367万円(4.4%)プラス3.0%
3)住関品 2225億0953万円(20.1%)マイナス3.0%
a)日用雑貨品 884億1036万円(8.0%)プラス0.1%
b)医薬・化粧品 293億7055万円(2.7%)マイナス9.5%
c)家具・インテリア 516億6959万円(4.7%)マイナス0.9%
d)家電製品 134億6026万円(1.2%)マイナス8.2%
e)その他商品 395億9877万円(3.6%)マイナス5.2%
4)サービス 31億5982万円(0.3%)マイナス9.5%
5)その他 642億4697万円(5.8%)マイナス1.5%
食料品は既存店ベースで1.4%増となり好調だった。衣料品、住関品に関しては、上旬は気温が高かった影響で夏物商材が堅調に推移したが、中旬以降は低気温、また梅雨明けが遅かったこともあって苦戦した。しかしその衣料品も既存店ベースでは0.3%のプラスを計上し、総販売額も0.2%と微増ながらプラスとなった。
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次に、日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、新日本スーパーマーケット協会の3団体から発表された「スーパーマーケット販売統計調査7月実績速報版」を報告しよう。
今月の発表担当は
新日本スーパーマーケット協会の増井徳太郎副会長が行った。
集計数は270のパネル企業で、総店舗数は7715店。総売場面積は1267万6882㎡。店舗平均月商は1億1530万円、さらに売場1㎡あたりの売上高は7.0万円であった。
7月の販売実績。
総売上高は8895億5811万円、 既存店前年同月比プラス1.4%。2カ月連続のプラスとなった。
1)食品合計 7947億3993万円(構成比89.3%)プラス1.5%
①生鮮3部門合計 2937億4432万円(33.0%)プラス0.9%
a)青果 1187億3817万円(13.3%)プラス1.8%
b)水産 802億3320万円(9.0%)マイナス0.1%
c)畜産 947億7295万円(10.7%)プラス0.7%
②惣菜 891億1972万円(10.0%)プラス2.5%
③日配 1720億7002万円(19.3%)プラス1.8%
④一般食品 2398億0587万円(27.0%)プラス1.8%
2)非食品 699億6206万円(7.9%)プラス1.6%
3)その他 248億5662万円 マイナス2.4%
増井さんは部門別の説明をしてくれた。まず生鮮3部門から。
「青果は、全体的に安値傾向だったが、果物は国産品を中心に高値で推移した。キウイフルーツやスイカ、ブドウなど季節感のある果物が好調だった。また取り扱う店舗が増えているカットフルーツは売場にバラエティを添えていて夏場涼味商材として売上げを伸ばしている。気温の上昇によりサラダ商材、カット野菜も好調だった」
「水産は、依然として入荷不足と価格高騰により全体ではやや不調となった。国産うなぎは価格の高騰により一部では伸び悩みの声もきかれた。しかし土用の丑の日が土曜日となり、イベントを仕掛けた店舗が多かったことや、気温の上昇により元気をつけたいとの消費者の心理も働いたようで好調に推移した。ほかにも刺身類、特にまぐろ、サーモン、かつお、タコが売上げを伸ばした」
「畜産は、土曜の丑の日に『牛』を売込むという仕掛けに取り組んだ店舗もあったが、国産牛肉の相場高が続き、国産から輸入牛へのシフトも進んだことで伸び悩み。しかし暑い日が続いていることで、スタミナメニューの焼き肉や冷しゃぶ用の豚肉は売上げを伸ばした。鶏肉に関しては、相場の低下で売上げをつくりにくい状況だった。」
「惣菜は、猛暑となった地域では、家庭での調理を敬遠する傾向がみられ、好調に推移した。土用の丑の日は蒲焼を買っても食べきれない単身者用のためのうな丼が人気だった。また気温上昇によりサラダやそうめん、冷やし中華などの麺類や寿司も好調に推移した。」
「日配は気温の増加でアイスやデザート、飲料、麺類、豆腐、こんにゃくなどが良く売れた。引き続き健康がキーワードとなっている機能性ヨーグルトや乳酸菌飲料が好調で、パンについては、好不調が分かれた結果となった。」
「一般食品は、気温の上昇によりアイスや飲料、酒類、乾麺が好調だった。米は昨年に比べて、単価が上昇し回復傾向を見せており、種類の多さや、小分けにしたパックなどの工夫により非常に好調である。一方で競合との価格競争が厳しいとの指摘もあった。」
「非食品は、住宅用洗剤や殺中剤などの季節商材の動きはよくなっている。しかしドラッグストアなど他業態との競合が厳しい状況だ。タバコは、値上げもあって伸び悩んでいる。」
協会が分析した7月の食品スーパーのキーワードTOP3は下記のとおりである。
①曜日めぐり(土日が1回多い)による来客数増加
②天候要因(台風なし、気温上昇)
③地域振興券の反動
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最後に7月の各業態の結果は以下。
食品スーパーマーケット 1.4%
コンビニエンスストア 0.3%
総合スーパー 0.2%
百貨店 ▲0.1%
7月も百貨店が唯一マイナスとなり、苦戦が続く。訪日外国人の売上げが大きく影響するこの業態にとって、インバウンドの購買単価が下がっていることが他の業態にはない主なマイナス要因である。
好調だった食品スーパーは、土、日が1回多い曜日めぐりにより、集客数で売上げを伸ばした。また土用の丑の日が30日の土曜日だったこともあり、水産・惣菜、その他の部分が連動して、週末イベントとして盛り上がりをみせた。値段は高くとも国産の品物に人気があったとの報告が多く、消費者には「ハレの場で少しの贅沢を」という余裕がある。
総合スーパーも0.2%増という結果だが、食料品はプラス1.4%となっており、ほかのカテゴリーの不調によって伸び率が抑えられた。7月は食料品が好調だったといえるだろう。
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